新製品レビュー
ソニーα99 II(外観・機能編)
圧倒的なAF性能を持った高画素モデル
2016年12月9日 12:47
トランスルーセントミラー・テクノロジー(以下TMT)を採用するソニーのAマウント機に、2代目フラッグシップとなるα99 IIが登場した。35mmフルサイズセンサーを搭載し、シリーズ初のフラッグシップとして登場した「α99」の後継機という位置づけだ。
主なスペックの進化点としては、「Aマウント史上最速と謳われるAF性能」、「有効約4,240万画素へと高画素化した裏面照射型CMOSセンサー」、「最高4.5段の補正効果を発揮するという5軸ボディ内手ブレ補正機構の搭載」の3点があげられるが、前機種から体積比で8%の小型化を達成するなど、外観を含め全体のデザインが徹底的に見直され、使用感の向上が図られている点も注目だ。
コンパクトデジタルカメラのサイバーショットシリーズや、ミラーレスカメラのEマウント機にも共通することであるが、画質とスピードの両立、そして使いやすさに配慮した小型化が、ソニーのカメラづくりに見られる一貫した方向性だといえるだろう。α99 IIは、そうしたソニーの思想をAマウント機のフラッグシップとして具現化したカメラということになる。
デザイン
ボディ外観は、ペンタ部を頂点に外に向かってなだらかな曲面を描いていたα99に比べ、いくぶん「角ばった」要素が加わったことでシャープなイメージが増した印象である。内蔵マイクが目立たないように配置されたことも大きな要因だろう。α99がAPS-C機の下位機種α77に通じるデザインであったように、α99 IIもα77 II(α77 IIはα77の後継機)に通じるデザインとなっている。
外観の変更で大きな特長は、先にも述べたように、α99から体積比で8%小型化されていることである。バッテリーとメモリーカードを含めない本体の質量は、α99の約733gに対し約770gと増加しているため、設計やレイアウトなど内部機構を徹底的に見直した結果達成できたことなのだろう。スペックが大幅に進化していることを考えると、今回の小型化に対する本気度をうかがうことができるというものだ。
パッと見はそれほど小さくなったように感じないかもしれないが、実際にα99 IIを手に持てば、手の中でのフィット感が明らかに向上していることから、小型化の恩恵を実感することができる。
小型化のもうひとつのメリットが、縦位置グリップ(別売、VG-C77AM)がα77 IIと共通になったこと。APS-C機のα77 IIと同サイズの縦位置グリップとマッチするのであるから、フルサイズ機としてのα99 IIがいかにシェイプされているかがわかるとともに、Aマウント機を使うユーザーにとって、持ち運ぶ機材の量を減らせるという意味でも大変ありがたいことだ。
縦位置グリップは縦位置時でも横位置時と変わらないホールディング性と操作性を確保しているのは、ミノルタ時代から継承されたAマウント機の長所のひとつだ。本体、グリップとも防塵防滴に配慮した設計。
ホールディング性
また、小型化されたとはいえ、ホールディング性が損なわれていない理由のひとつとしてグリップ形状の改良がある。もともと同社の業務用カムコーダーで培ったノウハウを生かすことで、優れたグリップ形状が確保されていたα99であるが、α99 IIではさらに握りやすさ・構えやすさがアップしており、結果的にカメラの操作性向上にも繋がっている。
ボタン類
ボタンやダイヤルの配列は前機種のα99や下位機種のα77 IIと同様。Aマウントユーザーなら違和感なく操作できるだろう。
また、α99の「サイレントマルチコントローラー」が進化して「フロントマルチコントローラー」になった。静止画・動画撮影時に、絞り値、シャッタースピードなど多彩な設定を直感的に変更できる。クリック切り換えスイッチは動画撮影中に設定変更に重宝する。
撮像素子
機能面における大きな特長のひとつが、有効約4,240万画素となった35mmフルサイズセンサーである。α99が有効約2,430万画素だったので、一気に高画素化を果たし、α7シリーズの高解像モデルであるα7R IIと並んだカタチになる。
画素数のみならず撮像センサーのタイプもα7R IIと同じ裏面照射型の「Exmor R CMOSセンサー」が採用されており、集光効率が優れているため、高画素化に伴う画素サイズの縮小にも関わらず高感度・低ノイズ性能と広いダイナミックレンジが実現されている。
高い高感度特性は、画像処理エンジンBIONZ Xと高速フロントエンドLSIの連携による処理性能の向上も大きく関係しているとのこと。α7R IIが高画素機ながら非常に優れた高感度特性を持つため、α99 IIの撮影結果も大いに期待できるところであるが、そちらは次回の「実写編」で確認することとしたい。
ISO感度の設定範囲は常用ISO100-25600(拡張時ISO50-102400)とα99から変わらないが、高画素化しているので高感度特性は向上したといえる。また、動画撮影時も上限のISO25600が使えるようになった。
AFシステム
そして、このα99 IIの撮像センサーは35mmフルサイズセンサー搭載デジタルカメラとしては世界最多となる399点の像面位相差AFを搭載していることも大きな特長。これに79点の専用位相差AFセンサーが同時に駆動することで極めて高速・高精度な「ハイブリッド位相差検出AFシステム」が可能となっている。
AF・AE追従の連写速度は最高で約12コマ/秒となっており、超高画素機として驚異的な動態撮影能力だといえるだろう。
ここで混乱を避けるために、ソニーのデジタルカメラのAFシステムをおさらいしておきたい。
まず、前機種α99のAFシステムは「デュアルAF」と呼ばれるもので、像面位相差AFセンサー(102点)と専用位相差AFセンサー(19点)が同時に駆動する点は同じであるが、2つのセンサーは検出位置が重ならずあくまで補完的に作用しあうものであった。
その点α99 IIは2つのセンサーの位置が同軸上にあるため、重なった79点はハイブリッドクロス測距点として動作する。α99 IIのハイブリッド位相差検出AFはいわば、α99のデュアルAFを大幅に発展させたシステムといえる。
一方で、α7シリーズをはじめとしたミラーレス機やコンパクトデジタルカメラに採用されている「ファストハイブリッドAF」は、コントラストAFと像面位相差AFを併用したもの。撮像センサーとは別位置に専用位相差AFセンサーを内蔵するTMTのα99やα99 IIとは根本的に異なるAFシステムなのである。
また、TMTのα77とα77 IIは専用位相差AFセンサーを内蔵しているが、像面位相差AFセンサーやコントラストAFは搭載していないため、α99やα99 IIのようなハイブリッド系のAFシステムにはなっていない。ただし、原理的に露光中はAFが作動できない“動体予測”でなく、常時AFが駆動する“動体追従”が行える点は同じである。
ファインダー
TMTを採用しているのでファインダーは光学式でなくEVFが搭載されている。高解像な有機ELパネルに加えツァイスT*コーティングが施された光学系によって、ファインダー倍率はα99の0.71倍から0.78倍へと向上した
手ブレ補正機構
α99 IIはボディ内に手ブレ補正機構を搭載しているので、装着した全てのレンズで手ブレを抑えた撮影が可能だ。
ボディ内手ブレ補正機構はα99にも搭載されていた機能であるが、α99 IIでは2軸の角度ブレ(ピッチ/ヨー)に加え、マクロ撮影時などに顕著に現れるシフトブレ(X/Y)、夜景撮影時や動画撮影時に目立つ回転ブレ(ロール)の5軸のブレを検出し補正する5軸ボディ内手ブレ補正となった。
超高画素機となったα99 IIでは特に手ブレに対して注意を払う必要が生ずるため、解像性能を最大限に引き出すという意味で嬉しい機能進化といえるだろう。この5軸手ブレ補正機構は、静止画撮影時と同様に動画撮影時でも作動する。
新ユーザーインターフェース
フォントサイズやデザインが変更されたことで、メニュー表示が見やすく使いやすくなった。各項目の分類方法が再構築され、分類されたグループ名が画面上部に記載されることで、より情報を把握しやすくなっている。
メニュー画面を呼び出すMENUボタンがカメラの左上部にわかりやすく独立して備えられているという、ソニー製カメラ共通の仕様は踏襲されているため、このメニュー表示の変更は歓迎したいところ。ぜひ他の同社製カメラにも採用してスタンダードとなって欲しい。
動画機能
すでにα7R IIやα7S IIに搭載されている4K動画記録も可能になった。スモールセンサーで記録する4K動画などとは異なる、画素加算のない全画素読み出しによる豊富な情報量をもとに動画記録を行うため、圧倒的な解像力を誇る本格的な4K画質が楽しめる。
また記録した4K動画からは決定的な瞬間を静止画として切り出し、本体内のメモリーカードに保存できる。4K動画に限らず、HD動画からの切り出しも可能である。
測光方式
α99で搭載されていた「マルチ測光」「中央重点平均測光」「スポット測光」に加え、「ハイライト重点測光」と「画面全体平均測光」が新たに搭載された。「ハイライト重点測光」では画面内の最も明るい領域を自動で検出して、白とびを防いだ露出値を割り出すなど機能追加が行われている。
スポット測光にも新機能が追加されており、フォーカスエリアが「フレキシブルスポット」または「拡張フレキシブルスポット」の場合、スポット測光位置をフォーカスエリアに連動させる設定が可能となった。さらに、測光サークルの大きさは「スポット:標準」と「スポット:大」から選択可能だ。
ホワイトバランス
オートホワイトバランスには、白熱電球などの下で暖かみのある色味を残したい場合に便利な「雰囲気優先」と、白いものを忠実に白く表現するのに便利な「ホワイト優先」が追加された。もちろん、従来の色味再現であるオートホワイトバランスも「標準」として選択できる。
記録メディアスロット
フラッグシップ機らしくダブルスロットを搭載。上側のメディアスロットはSD/MS Duoカードに、下側のメディアスロットはSDカードに対応している。2枚のメディア間での同時記録やRAW/JPEG・静止画/動画の振り分け記録、メディア間コピーなどが可能。
端子類
接続端子には、シンクロターミナル、専用リモート端子、マイク/ヘッドホン端子(ともに3.5mmステレオミニジャック)、HDMIマイクロ端子(タイプD)、マルチ/マイクロUSB端子、DC IN端子(別売ACアダプター用)が搭載されている。
バッテリー
使用電池にはひきつづきリチャージャブルバッテリーパックNP-FM500Hが採用されている。バッテリーチャージャーもひきつづきBC-VM10Aである。ただ、撮影可能枚数がファインダー使用時で約410枚から約390枚に、LCD使用時で約500枚から約490枚(CIPA規格準拠)に落ちてしまったのは残念である。
まとめ
Aマウントフラッグシップも2代目となったα99 IIであるが、一般的な一眼レフデジタルカメラのフラッグシップとは異なる独創的な方向性を打ち出しているように思える。
もとより、透過ミラーを利用したTMTを採用するカメラなので、独創的なのは当たり前といえば当たり前のこと。しかし、Aマウントユーザーの使い勝手に配慮して、α77 IIと縦位置グリップを共通化するほど小型化したのは、最上位機種の在り方としてはやはり思い切った判断だ。
そしてTMTならではの動体“追従”性と、それを最大限に生かすため新たに開発された79点+399点のハイブリッド位相差検出AFシステムは圧巻の一言。しかもオーバー4,000万画素の高い画質をもち4K動画撮影もできる。このスペックで40万円をきる価格設定なのだから、動態撮影や動画撮影を主とする人に、もっと注目されてしかるべき存在といっていいだろう。
次回の実写編では、実際に撮影した画像やその他の使用感をお届けする予定である。