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32bitフロートに対応したソニーの新型ワイヤレスマイク

αとの親和性も高い「ECM-W5」

ソニーが新型のワイヤレスマイク「ECM-W5」を11月20日(金)に発売する。さっそく実機をお借りできたので使い勝手や音質をレポートしたい。

基本となるパッケージはトランスミッター2台とレシーバー1台のセットで、価格は5万9,400円。トランスミッターとレシーバーは単体でも販売する。

同社には「ECM-W3」(トランスミッター2台)と「ECM-W3S」(トランスミッター1台)というワイヤレスマイクがあったが、それが機能向上したアップデート版という形になっている。

使いやすいタッチパネルを採用

レシーバーにはモニターやダイヤルが新たに加わり、操作性が格段に向上した。タッチパネルになっているため、メニュー操作や設定はすこぶるしやすい。ダイヤルは各種ボリュームの設定やメニューの移動に使え、押して確定も可能だ。

レシーバーを「α7 V」に装着したところ

モニターには接続されているトランスミッターの電波状況やバッテリー残量が表示される。また、音量やノイズリダクションの有無などが表示されるようになった。これだけでも従来モデルからかなり大きな進化といえる。

モニターで情報が一覧できる

もちろん純正ということでマルチインターフェース(MI)シューでの通信に対応している。そのため同社の対応カメラであればアナログケーブルでレシーバーとカメラを接続する必要がない。取り回しもすっきりし、ケーブルを引っ掛けるといったトラブルもなくなる。

miシューに対応。スマホ用のアダプターも付属する

さらにカメラ本体での32bitフロート記録にも新対応した。32bitフロートはダイナミックレンジが広く、実質的に音割れが起きないフォーマットだ。

対応するαシリーズは「α7R VI」と「α7 V」のみとなるが、他社マイクのようにトランスミッターに記録した音声ファイルを同期させるなどの手間がないのがメリットとなる。

レシーバーにはアナログ接続のマイクがつながるほか、マイク出力もあるため一般的なカメラであればステレオミニケーブルの接続で使用可能だ。USB Type-Cアダプターも付属しており、スマホへの接続も可能となっている。

側面には電源(兼戻る)ボタンがある
反対の側面には外部マイク入力とマイク出力の端子を装備

トランスミッターはスティック型なのだが、従来モデルよりも大幅に小型化して今風のルックスになった。リンク状態などを知らせるLEDも搭載している。

ウインドスクリーンも2個付属する。下の丸いものはマグネットで、衣服を挟んで固定できる
マイク端子を備えており、オプションの有線マイクも接続可

トランスミッター内に64GBのメモリーを内蔵しており、単体での記録も可能。その際、32bitフロートでの記録にも対応している。バックアップとして安心できる仕様だ。

旧モデル(ECM-W3/W3S)のレシーバー(右)との比較
ECM-W3/Sのトランスミッター(右)との比較。大幅に小型化された

ところで、各社のトランスミッターを見るとブランドロゴが非常に目立つものが多い。宣伝の意味もあるのだろうが、映像の内容によっては適切でない場合もあろう。

その点本機は目立ちにくい黒のロゴになっており、プロレベルでもそのまま使えそうな雰囲気。放送・業務用機器も手がけるソニーらしい配慮を評価したいところだ。

音質をチェック

付属のケースからトランスミッターとレシーバーを取り出すと自動で電源が入り、すでにペアリングされている。レシーバーをホットシューに装着すればすぐに録音ができる。

カメラ側にはMIシューのオーディオ設定ページがあり、ここで32bitフロートの設定ができる。なお、本機はトランスミッターを追加すると最大4チャンネルまで対応可能だ。

カメラの設定画面。「32bit float WAV記録」は、音声ファイルだけを別に保存できる機能
フォーマットの種類はカメラで設定する。本機では96kHzの32bitフロートは非対応となる

今回はカメラにα7 Vを使い、カメラ内に32bitフロートで記録した。室内での録音は明瞭で、高音にキツさもなく聴きやすい音質だった。

室内での音質

次に屋外でノイズリダクションを試してみた。ノイズリダクションの設定はレシーバーで行う。他社のマイクではノイズリダクションの効き具合を変えられるものもあるが、本機はOFFとONの2通りとなっている。

ノイズリダクションの設定画面

雨天での撮影で雨の音が大きいが、ノイズリダクションを使うと雨の音が小さくなり声が聴きやすくなった。ノイズリダクションを強くかけると声が不自然になる機種もあるが、本機は自然な処理のようで常用しても良さそうだ。

ノイズリダクション

また今回は試していないが、対応する同社製ワイヤレスヘッドホンで音声モニタリングが可能なほか、ワイヤレスヘッドホンのマイクを用いてのバイノーラル録音にも対応し、臨場感のある音声収録が可能という。こうしたソニー独自の取り組みも購入の動機になるだろう。

シンプルで設定に迷わない

こうしたワイヤレスマイクは、有名どころではRODEやDJIなど海外勢が先行していたが、小型トランスミッター、モニター付きレシーバー、32bitフロート録音などのトレンドにソニーも追いついた格好だ。

カメラ内で32bitフロート録音ができるのはやはり便利。編集ソフトでクリップをタイムラインに入れると当然音声トラックもついてくるので、その後が速い。

32bitフロートに対応していなくても、デジタルオーディオインターフェース対応のαならケーブル不要でカメラに録音できるのも本機のメリットになる。

一方気になったのはケースのデザインで、ウインドスクリーンを装着した状態で収納できない点。ケースから出し入れするたびにウインドスクリーンの付け外しが必要になるのは少々面倒ではないかと感じた。

ケースはバッテリー内蔵で、出先でマイクに充電できる
ケース内部。ケースのバッテリー残量は手前の3つのLEDで確認可能

そのほかは、さすが純正品とあって音質やカメラと連携した使い勝手は良好。なにより純正という安心感もある。

他社製品に見られるスマホアプリからの設定変更には対応していない。ただ、機能がシンプルにまとめられており、レシーバーのタッチモニターが使いやすいので、筆者は専用アプリの必要性までは感じなかった。

強さを複数段階で設定できるノイズリダクションや音質設定、指向性の変更などの機能もないが、素の音で十分インタビューなどプロレベルの録音は可能だろう。設定項目が少ないぶん、あれこれ迷わず使える点で、動画初心者にもおすすめできるワイヤレスマイクといえそうだ。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。