フィルター活用術

「レトロ」「フォギー」「ファンタジー」…ソフトフィルターの違いを紹介!

マルミ光機「DHG ソフト」全製品を徹底研究

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 150mm(300mm相当) / 絞り優先AE(1/320秒・F2.8・+1.7EV) / ISO 200 / DHG ソフトファンタジーII

マルミ光機から「DHGソフトシリーズ」と銘打った、5種類のソフトフィルターが一挙に発売されました。

ソフトフィルターとは、光が滲んだように写るフィルターです。コントラストや輪郭の描写が柔らかくなり、夢の世界のような表現になるものです。

こうしたソフト効果は、製品ごとに違ってきます。

今回発売された「DHG ソフト」シリーズの場合、

1)DHG ポートレートソフト
2)DHG レトロソフト
3)DHG ソフトファンタジー
4)DHG ソフトファンタジーII
5)DHG フォギーソフト

の順番で、ソフト効果が強くなっていきます。

もっとも、製品ごとに光の滲み方などに特徴があるため、一概に「どれが良いか」というようには決められません。自分の表現に合わせて使い分ける必要があります。

そこでこのページでは、「DHG ソフト」シリーズそれぞれの特徴を作例で紹介していきます。描写の違いをご覧いただく中で、好みにあったソフトフィルターを見つけてください。

ちなみにソフトフィルターは、明るい部分ほど光が拡散される効果が強く出ます。光の当たり方によっても描写が変わってくるため、かなり奥深い使い方ができるフィルターです。

ソフトフィルターは撮影ジャンルを選ばず使えます。私の場合、ソフトフィルターを花のクローズアップや子どもを撮影するときに使いますが、ポートレート、風景、テーブルフォト、夜景、イルミネーションといった幅広いシーンに合います。きっと、皆さんにとっても、ぴったりの被写体があることでしょう。

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ここからは5種類の「DHG ソフト」シリーズについて、それぞれの特徴を見ていきましょう。

DHG ポートレートソフト

解説

DHG ソフトの中で最もソフト効果が控えめ。一見すると、フィルターを使っていないように感じられます。しかし、ほのかにやわらかな描写となるのが特徴。暗部も少し持ち上げられたようになり、コントラストが緩やかです。

製品名にポートレートと名前がついていますが、人物に限らず、強い光を少しやわらかくしたい場合の“隠し味”として使うといいかもしれません。フィルター無しの組写真に織り交ぜても自然です。

作例

コントラストのある部分の境目がかすかに滑らかになっています。はっきりとしたソフト効果を得るというよりは、強い光を拡散させるディフューザーの感覚で使うといいでしょう。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 40mm(80mm相当) / 絞り優先AE(1/125秒・F2.8・+1.7EV) / ISO 200 / DHG ポートレートソフト

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強い逆光が引き起こす透明感にDHG ポートレートソフトの効果が加わり、このような描写になりました。+1.7EVの露出補正を加えることで、明るく仕上げています。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 150mm(300mm相当) / 絞り優先AE(1/250秒・F2.8・+1.7EV) / ISO 200 / DHG ポートレートソフト

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全体にやわらかなベールがかかったような描写です。効果が自然なので、フィルターをつけていない作品ともうまく合わせられます。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 150mm(300mm相当) / 絞り優先AE(1/250秒・F2.8・+1.7EV) / ISO 200 / DHG ポートレートソフト

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はっきりとした明暗差がある夜景は、特にソフトフィルターの効果が映えるシーンです。噴水に当たるライトやビルの窓などの明るい箇所が、その他の暗い部分へと滲んでいるのがわかるでしょうか。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 20mm(40mm相当) / 絞り優先AE(1.3秒・F5.6・+0.3EV) / ISO 200 / DHG ポートレートソフト

DHG レトロソフト

解説

「レトロ」と名がつくように、昔の写真を思わせる仕上がりになります。オールドレンズを使ったような、ピントをあえて甘くしたような仕上がりになるのが特徴的で、最近のレンズのカリカリっとしたシャープさとは対照的な味わいが得られます。

そうした像の滲みは、遠距離・中距離で感じられやすく、逆に近距離では解像感が損なわれず写るように感じました。背景に丸ボケを入れると、横線がかすかに入ったような独特な滲み効果も現れます。

5製品に中では独創的な製品で、その個性を上手に取り入れるといいですね。

作例

全体的にやわらかな描写。拡大してみるとピント面の像の滲みがわかります。セピアに仕上げた作品が、このフィルターの個性とマッチしました。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 17mm(34mm相当) / 絞り優先AE(1/80秒・F2.8・±0.0EV) / ISO 200 / DHG レトロソフト

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像の滲みが抑えられ、シャープな描写が保たれています。注目して欲しいのは背景の丸ボケ。軽く筋が入ったようになり、その流れる方向もまちまちです。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro / 60mm(120mm相当) / 絞り優先AE(1/80秒・F2.8・±2.0EV) / ISO 200 / DHG レトロソフト

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DHG レトロソフトはDHG ポートレートソフトに次いで光が拡散される度合いが弱いことから、自然なソフト感を演出してくれます。とはいうものの、光の強い画面の上側では、はっきりとしたソフト効果が出ています。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 12mm(24mm相当) / 絞り優先AE(1/30秒・F2.8・+1.3EV) / ISO 200 / DHG レトロソフト

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ソフトフィルターは光源が強くなるほど効果が出ます。噴水とイチョウ並木の周辺が夜空に滲み、特に噴水は全体的に明るさが増したように華やかになりました。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 16mm(32mm相当) / 絞り優先AE(1/30秒・F2.8・±0.0EV) / ISO 200 / DHG レトロソフト

DHG ソフトファンタジー

解説

5製品の中でちょうど中間の効果を持つフィルターです。DHG ポートレートソフトやDHG レトロソフトの効果が、どちらかといえば隠し味のようであったのに対し、このフィルターは自然さを残しつつも、よりわかりやすいソフト効果が得られます。初めて買うソフトフィルターとしてお勧めです。

作例

本来ソフト効果の出にくい順光での撮影ですが、被写体の色味が白だったこともあり、ほんのりと品の良い表現になりました。全体的にやわらかく、優しい描写になっています。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 12mm(24mm相当) / 絞り優先AE(1/1,600秒・F4.0・+0.7EV) / ISO 200 / DHG ソフトファンタジー

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逆光での撮影です。全体にソフト効果がかかっていますが、袖から枝にかけて、そして髪の輝きに強い効果が見られます。それでいて、眼をはじめとした表情はしっかり残っています。このバランスは扱いやすく感じました。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 12mm(24mm相当) / 絞り優先AE(1/400秒・F2.8・+1.0EV) / ISO 200 / DHG ソフトファンタジー

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ソフト効果が強く出ています。逆光で明暗差が強かったためでしょう。順光の桜の写真とは同じフィルターと思えないほど光の滲みを強く感じる幻想的な仕上がりです。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 150mm(300mm相当) / 絞り優先AE(1/800秒・F2.8・+1.0EV) / ISO 200 / DHG ソフトファンタジー

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空がほのかに明るく、明暗差が少ないため、全体のソフト効果は弱め。それでも効果はわかるでしょう。夜景はコントラストが高いのでメリハリが出てきつく感じられるものですが、ソフト効果を加えることで、優しい雰囲気にもできます。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 12mm(24mm相当) / 絞り優先AE(1/8秒・F4.0・-0.7EV) / ISO 200 / DHG ソフトファンタジー

DHG ソフトファンタジーII

解説

「DHG ソフトファンタジー」よりも効果がはっきりしています。ただしよりソフト効果が強い「DHG フォギーソフト」に比べると、暗部がしっかりと締まり、ほどよくコントラストが残ります。ソフトフィルター初心者の方にも使いやすいでしょう。

作例

画面左上は逆光気味で、右側は順光寄り。逆光の方がソフト効果を感じやすいのですが、桜の手前が影になります。桜の色を出すことを優先して、順光をメインにしつつ、「DHG ソフトファンタジーII」で強めのソフト効果をかけました。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 12mm(24mm相当) / 絞り優先AE(1/1,250秒・F4.0・+1.0EV) / ISO 200 / DHG ソフトファンタジーII

室内で撮影したので光は弱いのですが、全体的なソフト効果を感じます。特に白いお皿の部分が明るく感じます。夕方だったので窓からの自然光がなく、室内照明だけでしたが、ソフト効果でふんわり感が出ました。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 12mm(24mm相当) / 絞り優先AE(1/80秒・F2.8・+1.0EV) / ISO 640 / DHG ソフトファンタジーII

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逆光気味ですが、葉が透けないほどの弱い光です。しかし、強めのソフト効果のおかげで、光溢れる写真になっています。ソフトフィルターは白で滲みが強まるので、主役の葉の後ろに白いボケを入れました。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 150mm(300mm相当) / 絞り優先AE(1/250秒・F2.8・+2.3EV) / ISO 200 / DHG ソフトファンタジーII

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夜のイルミネーションは明暗差がはっきりしており、滲むことで明部が強調され、より明るく表現できます。ソフトフィルターを使わないとこうした雰囲気は出ません。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 100mm(200mm相当) / 絞り優先AE(1/60秒・F2.8・+0.3EV) / ISO 200 / DHG ソフトファンタジーII

DHG フォギーソフト

解説

フォグ、つまり霧の中にいるような演出をするフィルター。弱い光でも滲みが強く表現され、まるで被写体自体が光を放っているような写りになります。

ソフト効果が控えめなソフトフィルターの場合、暗いシーンではあまりソフト効果が出ませんが、DHG フォギーソフトなら、夜景や光の弱いシーンでもソフト効果が発揮されます。

作例

登校前に気軽に撮った1枚です。「露出補正で明るく写す」「背景をぼかす」「ソフト効果をかける」という3つのテクニックを組み合わせました。ソフト効果が強いので、背景が明るく溶けこんでいます。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 40mm(80mm相当) / 絞り優先AE(1/125秒・F2.8・+1.7EV) / ISO 200 / DHG フォギーソフト

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明るい部分と暗い部分の境で滲みが強く出るので、光の当たった花と日陰の背景では花が強く滲んで見えます。好き嫌いはあると思いますが、この特徴的な写りが私は好きです。花のオーラが出ているようです。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro / 60mm(120mm相当) / 絞り優先AE(1/800秒・F2.8・-0.3EV) / ISO 200 / DHG フォギーソフト

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こちらは明暗差が少ないシーン。DHGソフト5製品の中で最も光が拡散される度合いが強いのですが、拡大してみると葉脈がはっきり分かるほどシャープな描写も併せ持っています。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 12mm(24mm相当) / 絞り優先AE(1/50秒・F2.8・+3.0EV) / ISO 200 / DHG フォギーソフト

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それほど強い光源があったわけではなく、実際はとても暗いシーンでした。しかし露出補正をややプラスにしたのと、DHG フォギーソフトの強い効果のおかげで、どこか未来的な明るい都市夜景になりました。

E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 12mm(24mm相当) / 絞り優先AE(1.3秒・F5.6・+0.3EV) / ISO 200 / DHG フォギーソフト

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まとめ:ソフトフィルターはこんなにも楽しい!!

ソフトフィルターは他のフィルターとも相性が良く、重ねがけしての撮影もできます。

例えばクロスフィルターと重ねてイルミネーションの輝きを強調。PLフィルターと重ねて青空の強調や反射除去に。NDフィルターと重ねてスロー表現+ソフト効果も面白いでしょう。

「DGH ソフト」シリーズは、それぞれに個性があります。シーンによってどうソフト効果を取り込みたいかを考えながら、使い分けてみてはいかがでしょうか。

制作協力:マルミ光機株式会社

吉住志穂

1979年東京生まれ。高校入学後から本格的に撮影を始める。2001年日本写真芸術専門学校を卒業後、写真家の竹内敏信氏に師事。自然の「こころ」をテーマに、主に花のクローズアップを撮影している。2016年には和紙にプリントし、掛軸に仕立てた展示「花時間」を開催し、好評を博す。また各地での講演会や写真誌での執筆を行う。公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員。