マニュアルレンズギャラリー

SAMYANG MF 85mm F1.4 MK2

最新ミラーレスカメラにマッチ…ボケも美しい大口径中望遠レンズ

デジタルカメラだからこそ使いたいマニュアルフォーカスの交換レンズ。自分の意思と努力と根性でピントを合わせる撮影行為には、不思議とAFにはない魅力があるものです。本連載で、描写性能はもちろん、プロダクトデザインなどなど、MFレンズならではの拘りを感じてもらえればと思います。

最新のミラーレスカメラにもマッチするデザイン

2020年9月に発売されたSAMYANG(サムヤン)の大口径中望遠レンズ。“MK2”とあるように、前モデルから、外観デザインや操作性の変更、防塵防滴への配慮、絞り羽根枚数の追加などが施された2代目にあたります。キヤノンEF、キヤノンEF-M、ソニーE、ニコンF、富士フイルムX、マイクロフォーサーズ用をラインアップしています。

従来モデルから一新された外観デザインで、最新のミラーレスカメラともマッチするところは、なかなかに好印象です。絞りリングのクリックの有り/無しを設定できる「デクリック機構」は、本レンズのデザイン上のワンポイントでもありますが、指がかりをよくするための突起が強めなため、逆に絞りリングの操作性を阻害しているのはやや残念。とは言っても、すぐに慣れることですし、動画と静止画の使い分けが多い分にはむしろ便利かもしれません。

肝心の描写性能ですが、絞り開放付近でわずかな軸上色収差を残しているものの、作画上気になるほどではなく、よく抑えられていると思います。中望遠で重要な背景のボケ味は意外なほどに美しく、歪曲や周辺光量低下などもまったくの許容範囲内。「この価格でこの写り!?」というのが正直な印象でした。

外観

作例

一眼レフカメラ用を含め各マウント用が用意されていますが、フルサイズミラーレスカメラ用という意味では今回のソニーEマウント用が一番使い出があるかもしれません。価格以上に優秀な写りで中望遠の世界を楽しめます。

α7C II/MF 85mm F1.4 MK2/85mm/絞り優先AE(1/3,200秒、F1.4)/ISO 100

主な仕様

  • 焦点距離:85mm
  • 最小絞り:F22
  • レンズ構成:7群9枚
  • フィルター径:72mm
  • 最短撮影距離:1.1m
  • 最大撮影倍率:0.09倍
  • 絞り羽根:9枚
  • 対応マウント:キヤノンEF、キヤノンEF-M、ソニーE、ニコンF、富士フイルムX、マイクロフォーサーズ
  • 外形寸法:φ78×74.7mm(EF)
  • 重さ:547.5g(EF)
  • 直販価格:税込47,800円
曽根原昇

(そねはら のぼる)信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「イスタンブルの壁のなか」(オリンパスギャラリー)など。