気になるデジカメ長期リアルタイムレポート

ニコンD7100【第3回】

連続撮影可能コマ数の向上策を考える

 前回のレポートで「約2,400万画素CMOSセンサー&光学ローパスフィルターレス仕様」の描写性能を、従来モデル「D7000」と比較して、その結果に概ね満足した(思ったほど差は大きくなかったけど)。そして、レリーズ時の感触がより軽快だったり、ファインダー内情報の仕様や視認性が向上していたりと、基本的な部分でもD7000より好印象な点が多かったので、「ああ、やっぱり新しいモデルは良いナァ」と感心した次第である。

 ……だが、その一方で、撮影中に少しストレスも覚えた。基本的に、自分は画質モードを「RAW+FINE」に設定して撮ることが多い(当然、画像サイズはL)。その画質モードで、被写体に意識を向けながら連続的に撮影(必ずしも連続撮影ではなく、1コマ撮影モードでも)していると、かなり早い時点で“記録メディアへのデータ書き込み待ち”が発生するのである。まあ、このD7100は、D7000よりも画素数が大幅にアップしてるので、単純に考えても連続撮影速度や連続撮影可能コマ数の面では不利になるだろう(データ量が大きくなるため)。

 そこで、撮影速度を維持しながら撮影できる「連続撮影可能コマ数」を、画質モードや各種の設定を揃えて(画素数は違うが)、D7000と比較してみた。「RAW記録:ロスレス圧縮RAW、記録ビットモード:14ビット、JPEG圧縮:画質優先、長秒時ノイズ低減:する、自動ゆがみ補正:する」という画質を重視した設定だ。

 この設定だと、表示パネルに表示される連続撮影可能コマ数は、D7000は「7コマ」になるが、D7100は「3コマ」になってしまう。ただし、実際にD7100をこの設定で撮影すると、表示より1コマ多い「4コマ」まで撮影速度が維持できた。とはいえ、満足できる数値ではない。

 ちなみに、D7000の高速連続撮影の速度は、RAWの記録ビットモードが12ビット記録でも14ビット記録でも「約6コマ/秒」。これに対してD7100の高速連続撮影の速度は、12ビット記録だと「約6コマ/秒」だが、14ビット記録だと「約5コマ/秒」にスピードダウンしてしまう。このあたりも“動きモノ”の撮影では気になってくる。

このような“画質重視の設定”だと、表示パネルには「3コマ」という非常に寂しい連続撮影可能コマ数が表示される。何と言っても、5コマ設定のオートブラケティングで一気に撮りきれない数値だからねぇ……。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
この設定で撮影した画像の一例。そのデータ量は、JPEG(この画像)18.5MB、RAW31.5MB、計50MB。ちなみに、同じシーンをD7000で同様の設定で撮影すると、JPEG11.5MB、RAW21.2MB、計32.7MB。という結果になった。

 スポーツや乗り物を高速連続撮影で追い続ける場合などを除き、これまでD7000を使ってきて、RAW記録設定で“記録メディアへのデータ書き込み待ち”が気になる事は、ほとんどなかった。それだけに、今回のD7100に関しても、画質の設定変更などの設定の工夫によって、連続的に撮影する場合にできるだけ書き込み待ちストレスが起きないようにしたい。

 D7100の使用説明書によると、連続撮影可能コマ数は、JPEG圧縮:画質優先、ISO感度をHi0.3以上に設定、長秒時ノイズ低減:する、自動ゆがみ補正:する……などの設定で減少すると記載されている。これらの設定(機能)は、いずれも画質に関係してくるので、そのすべてを変更する事には抵抗もある。ただし、ISO感度をHi0.3以上に設定することは極めて稀だし、長秒時ノイズ低減や自動ゆがみ補正が必要になるケースも限られてくる。ということで、自分としてはこれらを「しない」に変更する事に抵抗はなかった。この設定変更によって、連続撮影可能コマ数の表示は「3コマ」から「5コマ」に増加する(ISO100設定時)。

「長秒時ノイズ低減」や「自動ゆがみ補正」は、常時「する」にして撮影したくなる(切り換えるのが面倒なので)。だが、連続撮影コマ数を考慮すると、不必要な時には「しない」に設定しておきたい。

 さらに連続撮影コマ数を増やす設定も考えてみたい(もちろん、RAW記録を前提にして)。前述のとおり、D7100の高速連続撮影は、12ビット記録だと「約6コマ/秒」だが、14ビット記録だと「約5コマ/秒」に速度がダウンしてしまう。そういった点も考慮しながら、「RAW記録:圧縮RAW、記録ビットモード:12ビット、JPEG圧縮:サイズ優先、長秒時ノイズ低減:しない、自動ゆがみ補正:しない」という設定にしたら、連続撮影可能コマ数の表示は「7コマ」に増加した。

「RAW記録:圧縮RAW、記録ビットモード:12ビット、JPEG圧縮:サイズ優先」と、けっこう画質面で妥協した感のある設定だが、連続撮影可能コマ数「7コマ」に増えるのはウレシイ。ちなみに、画質モードを「RAW+FINE」から「RAW+BASIC」に変更すると「8コマ」に増える……けど、ソコまでやらなくてもイイか(笑)。

 今回は、撮影速度を維持しながら撮影できる「連続撮影可能コマ数」に注目したが、その点に関しては、大幅な高画素化によってD7000よりも不利になるのは致し方ない。だが、設定変更で「7コマ」くらいまで確保できれば、データ書き込み待ちのストレスはかなり減ってくる。

 また、一時的に“書き込み待ち”が発生しても、高速タイプのメモリーカードを使用すれば(今回の撮影では「サンディスクExtreme Pro SDHC UHS-I」を使用)、高速連続撮影モードでシャッターボタンを押し続けるような撮影でない限り、そう不満に感じることはないだろう。

吉森信哉