OLYMPUS PEN E-P3【第8回】

150mmマクロの手持ち撮影にチャレンジ

Reported by 北村智史


 OLYMPUS OM-D E-M5の発売記念キャンペーンでもらったフォーサーズレンズアダプターMMF-3が手元にあるのだけれど、それを使ってみようというのが今回のお題である。キャンペーンのプレゼントとして32GBのSDHCメモリーカードも選べたのに、古スペックのヤツだったからっていうんで、実売価格換算が高いほうを選んだ結果のMMF-3である。手に入れてから、やっぱSDHCカードのほうがよかったかなぁって思ったときには後の祭り。


 なにせ、フォーサーズのレンズはもともとあまり持ってなかったし、手放しちゃったのもあるしで、残ってるのはシグマの50mm F1.4 EX DG HSMやAPO Macro 150mm F2.8 EX DG HSMくらい。といって、持ち腐れにするのももったいないし、一度くらいは使ってみようと考えた次第である。

 もっとも、50mmは思い切りM.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8とスペックがかぶってる。焦点距離は5mmしか違わないし、開放F値も大差はない。まあ写りの違いはあるだろうけれど、重さの違いは無視できない。45mmがたったの116gなのに対して、50mmは530gもあるのだ。

 ちなみに、シグマのWebサイト上の数字はシグママウントのもので、530gというのはフォーサーズマウントの数字である。フォーサーズマウントのはフランジバックが短い分ちょっと重いのだ。でまあ、細かいうんちくは置くとしても、およそ4.6倍の重さ。ちょっとやる気をそがれる数字である。


E-M5のキャンペーンで手に入れたMMF-3。フォーサーズのレンズをマイクロフォーサーズのボディに装着できる。

 一方の150mmは、手持ちのレンズとのバッティングはないし、等倍まで寄れるという強みもあるが、それなりに大きくて重い。最新型のOS(手ブレ補正)付きのに比べれば軽いとはいえ、920gは十分に重い。


シグマのAPO Macro 150mm F2.8 EX DG HSMをE-P3に取り付けたところ。見た目からしてバランスがよろしくない。

 これでボディがパワーバッテリーホルダーHLD-6付きのE-M5なら何とかなりそうな気もしないではない。このセットなら重さ的にもまあまあ釣り合いそうだし、ホールド性もいい。EVF(電子ビューファインダー)も内蔵している。カメラを顔に押し付けて安定させることができるし、ワキもしっかり締められる。半押し中に手ブレ補正を働かせるオプションまで用意されているので望遠には強い。


HLD-6付きのE-M5に取り付けたところ。このくらいのバランスなら文句はない。

 が、E-P3だとEVFをつけない限り、モニター画面を見ながら撮るのが基本である。腕を伸ばした状態で機材の重さを支えなくてはいけない。なので、機材が重いとしんどいことになる。なのに、300mm相当の画角で、しかも等倍まで寄れる。そのうえ重さはボディとレンズとマウントアダプターの3点セットで1,331g。

 ついでに、AFも使いづらい。シグマのフォーサーズ用レンズは、どれもコントラストAFには対応していない。シャッターボタンを半押しすれば、一応レンズは動いてくれる。けれど、駆動スピードは遅いし、ピントが合うともかぎらない。合うときもあるが、どちらかというと、合わないときのほうが多い。合うときにしても、クケケケケケッみたいな音を発しつつだったりすると、うーん、これならMFのほうがいいや、って気になってしまう。

 で、結果として、中途半端に腕を伸ばしたワキあまあまの体勢をとらなきゃいけない時間が長くなっちゃうわけだ。ちょっとした筋トレ気分である。問題は、運動不足の腕力が、1.3kgの重さに負けてしまうこと。見つけた被写体を、どっち側からどのくらいの大きさで撮ろうかとか考えているうちに、腕がぷるぷるしてきちゃうんである。

 元気なうちはまだしも、ちょっと疲れてくると、構図やフレーミングを考えたり、フォーカスリングを回してピントを合わせたりするあいだ中、ずっと画面がぷるぷるしてしまう。抑えたくても抑えられない。フルタイムぷるぷるである。

 ピントをきちっと合わせるために拡大表示しようものなら、さらにひどくなる。画面のぷるぷるまでいっしょくたに拡大されるからだ。ピント合わせの精度なら、拡大倍率は高いほうがいいわけだが、倍率と同時に上がる画面のぷるぷる度との兼ね合いで5倍が精いっぱい。それ以上は、ぷるぷるすぎてなにがなんだか分からない状態になって、ピント合わせどころではなくなってしまうのだ。

 そんなこんなで400枚ちょっと撮って、手ブレに被写体ブレにピントがアマいのをぽいぽいしたら、残ったのが4割くらい。ちょっとずるをしてISO感度を1段上げているものの、ファインダーレスのE-P3で撮ったのを考えればまあ悪くない結果だと思う。E-P3にボディ内手ブレ補正機構がなければ、さらに歩留まりは低かっただろう。


  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
ある程度、撮影距離が長ければ、拡大表示なしでもピント合わせはできなくはない。心持ち前ピンな気もするが。E-P3 / SIGMA APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 4,032×2,688 / 1/320秒 / F4 / 0.7EV / ISO200 / WB:晴天札幌は8月半ばにはコスモスのシーズンだったりする。ピントを合わせるだけでもひと苦労なのだが、風で揺れるからさらにしんどい。E-P3 / SIGMA APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 4,032×2,688 / 1/640秒 / F5.6 / 0.3EV / ISO200 / WB:晴天
たぶん、ほぼ等倍。ピントがあること自体がまぐれ。E-P3 / SIGMA APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 4,032×2,688 / 1/500秒 / F2.8 / ISO200 / WB:晴天民家の庭先という表現はよく使うが、この郵便ポストは民家の「庭中」にあったりする。E-P3 / SIGMA APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 4,032×2,688 / 1/1250秒 / F5.6 / ISO400 / WB:晴天
腕を伸ばして持たなきゃいけないので、水平よりも上に向けて構えるのがけっこうしんどいのでありました。E-P3 / SIGMA APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 4,032×2,688 / 1/500秒 / F5 / ISO400 / WB:晴天ISO200のままだとブレ率が高くなってしまうので、こっそり1段アップ。あと、カメラの揺れに露出が影響されるのでマニュアル露出である。E-P3 / SIGMA APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 4,032×2,688 / 1/500秒 / F2.8 / ISO400 / WB:晴天
コスモスが風に揺れてる横で元気に咲いているヒマワリ。後ろ姿は案外に毛深いのであった。E-P3 / SIGMA APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 4,032×2,688 / 1/400秒 / F4 / ISO400 / WB:晴天公園の地面に座り込んでの等倍撮影。膝でレンズを支えていても、拡大表示の画面はぷるぷるしっぱなしなのである。E-P3 / SIGMA APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 4,032×2,688 / 1/200秒 / F4 / ISO400 / WB:晴天
デジタルだから、失敗したのは後で捨てればいいし、ってのもあって、ワンシーンで30枚とか撮ってたりする。E-P3 / SIGMA APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 4,032×2,688 / 1/125秒 / F3.5 / ISO400 / WB:晴天遠目の背景を選んでちょい開き気味の絞りにすれば馬鹿ボケも簡単。望遠マクロならではの写り。E-P3 / SIGMA APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 4,032×2,688 / 1/500秒 / F3.5 / ISO400 / WB:晴天
赤トンボを見かける機会も増えてきた。まだアジサイが咲き残ってるところもあるけれど。E-P3 / SIGMA APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 4,032×2,688 / 1/160秒 / F4 / ISO400 / WB:晴天大きくて重いのとAFが使えないのは難点だけれど、シャープさは文句なし。ボケもいい。腕力さえ大丈夫なら楽しめるレンズだ。E-P3 / SIGMA APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 4,032×2,688 / 1/125秒 / F4 / ISO400 / WB:晴天





北村智史
北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら

2012/8/27 15:12