Leofoto FIELD REPORT 三脚のある美しい写真
特別な“改造三脚”で心静かに自然風景を表現する
辰野清さんがプロデュースする風景撮影に特化した三脚「LS-364CTK+LH-47TK」
2023年4月19日 12:00
卓越した画面構成により、時に力強く、時に厳かな風景写真を描き出す辰野清さん。風景と心静かに向き合い、画面を組み立てていく過程において、三脚は絶対に欠かせない。
そんな重要機材をより理想的な形にするために、辰野さんのプロデュースによって「LS-364C」(三脚)と「LH-47」(雲台)をベースにあらゆるカスタマイズが施された特別な三脚「LS-364CTK+LH-47TK」が、この春に発売される。辰野さんのこだわりが詰まった三脚の魅力を、ご本人に語ってもらった。
※本企画は『デジタルカメラマガジン2023年5月号』より転載・加筆したものです。
カスタムされた三脚で心ゆくまで風景と対峙する
風景写真における三脚は、シャッター速度という制約を取り払い、思いを意のままに描ける道具だ。より感情的に伝える風景表現に一歩近づける。さらには三脚にカメラをセットし心静かに自然と対峙することで、ある種のヒーリング効果も得られる。もちろん構成を丁寧にまとめられるのは最大の利点だ。
私にとって手持ち撮影では得られない表現の幅とそれによる心のゆとりは三脚があってのこと。その重要な機材が自分の理想の形であってほしいという願望は、写真表現者なら誰もが思い描くのではなかろうか。
今春発売されたLS-364CTKは撮影現場での実用性を重視し、私の思う使い勝手の良さのみで開発された三脚だ。つまり、風景写真家のわがままな注文をストレートに反映していただいた“改造三脚”である。
既成のLS-364Cがベースではあるが、同じパーツは36mm径のカーボン脚部くらいで、それ以外は新設計のパーツを組み込んだほとんど別物の仕様だ。
風景写真家のわがままなこだわりを詰め込んだ限定三脚
では、LS-364CTKの主だった改造点を1つずつ紹介したい。まずは特製アンブレラホルダーの標準装備が挙げられる。用品メーカー各社のアンブレラホルダーは固定力や強度が弱いものが多く、私は長年傘立てを自作して使ってきた。その自作アイデアをもとに一から設計をしていただいた。軽量で自由に動くのはもちろん、ロック力はホルダー部を持って三脚を振り回せるくらい強い。
脚の接合部でもある台座パーツは、アンブレラホルダーの接合部でもあるので強度を持たせ厚みを加えた新設計。固定用の六角レンチも収納できるようにデザインされている。
さらにLS-364Cよりパイプ1本あたりの長さを約4cmずつ長くして伸長1,713mmを確保。カメラ装着時のファインダーの位置は1,800mm前後になるので、傾斜地では使いやすいはずだ。
また5段ではなく4段仕様にこだわったのは現場での機動性を重視したため。開脚改造を最初から施してあり通常より脚角が2度ほど広がる。風による不安定さも解消され、カメラブレ対策にも役立つだろう。
さらに自由雲台LH-47TKもカスタムしている。メインロックノブにはLH-55用の大きなロックノブを移植してもらった。これで同じ力でもさらに強い力で固定できる。
通常は別売のシリコンカバーも標準装備なので、冬期も滑りづらく手に優しい。限りなく風景写真に特化した三脚だが、ぜひ現場でそのこだわりを体感してほしい。
制作協力:株式会社ワイドトレード