Leofoto FIELD REPORT 三脚のある美しい写真
ロケーションに合わせた三脚・雲台で快適な野鳥撮影を
戸塚学さんが愛用する「LVM-324C」+「MH-60」
2022年11月18日 07:00
一見すると大きな変革が見られないように感じる三脚・雲台の世界だが、その設計思想は時代に合わせて着実に変わってきている。
野鳥撮影家の戸塚学さんが愛用する雲台「MH-60」もそうした製品のひとつ。不思議な形状のこの雲台について、戸塚さんはどのような感想を抱いているのだろうか。
1966年、愛知県生まれ。野鳥の「きれい・かわいい・ かっこいい」だけではない彼らの「人間っぽい」行動や仕草を写すことを得意とする。いわゆる「天邪鬼野鳥写真家」。目指すは「臭いのする写真」。最新の写真絵本は『お山のライチョウ』(偕成社)
※本企画は『デジタルカメラマガジン2022年12月号』より転載・加筆したものです。
新スタイルの雲台で野鳥の飛翔に追随させる
野鳥撮影では500mm以上の超望遠レンズが標準レンズになる。猛禽類は非常に警戒心が強いし、小鳥においては小さいのである程度の大きさに撮影するためにはどうしても超望遠レンズが必要だ。
少し前は重たく大きな機材を支える三脚と雲台の選択肢がほとんどなく、移動しながらの撮影は修行のようなものだった。
特に3Way雲台は大きいものでも撮影移動中に機材の重さで傾いて使い物にならないし、自由雲台はしっくりくるものがなかった。
2Way雲台は油圧のタイプをしばらく使っていたが、良いものはカーボン三脚より重くなるのが悩みの種だった。
そんな私が出合ったのがレオフォトの三脚だ。現在2台の三脚を必要に応じて使い分けている。
メインはレバーロック式三脚LVM-324Cで、離島や高山で機動力重視のときはLS-324CEXを持ち出す。
特にLVM-324Cはカーボン製で見た目よりも軽量なことに加えて、レバーロック式である点がとても気に入っている。足場の悪い傾斜地でも脚の伸縮の作業がとてもしやすい。また、台座部にはハーフボールが備わっているので水平出しもしやすく、斜面で野鳥の飛翔シーンを狙うにはうってつけだ。
雲台もいくつかを使い分けていて、出番が多いのはビデオ雲台のBV-15になるが、飛翔する猛禽類の動画撮影には自由雲台が適している。
そこで新たに使い始めたのがMH-60だ。一見すると変わったスタイルに思うかもしれないが、構造としてはボールに沿って可動する自由雲台だ。
私は動画撮影時に外部モニターを使わず、スチル撮影と同様にファインダーをのぞいて撮影している。超望遠レンズでも鳥を追いやすいからだ。MH-60はパン棒でアングルを変えられて、かつボールの抵抗力も調整できるので、ファインダーをのぞきながら滑らかな動きで飛翔するタカの動きに対応できた。
もちろん、スチル撮影でも使いやすい。経験者なら分かると思うが、渡りをするタカの場合、こちらの頭上を飛ぶと自由雲台かジンバル雲台でないとパン棒が邪魔になって追いきれないことがある。MH-60はパン棒が短く、真上に向けてもパン棒が干渉しないので、直上の飛翔に対応できる。
グリップが良くロックもしやすいので、うっかり手を離したときに機材がお辞儀することが防げる点もうれしい。
ロケーションに合わせた三脚と雲台の使い分けが、快適な撮影の鍵を握っている。
不整地に強い三脚とパン棒付き自由雲台のコンビ
レバーロック式三脚のLVM-324Cは脚の伸縮が抜群に楽で、足場の悪い場所での撮影に便利だ。合わせて雲台を載せる台座部にハーフボールが備わっていることで水平が出しやすく、セッティング時間を短縮できる。パン棒付きの自由雲台MH-60は、滑らかなボールの動きで野鳥の飛翔を追随しやすい。パン棒が短めなので、上向きのアングルでもパン棒がつっかえずに扱える。
MH-60は自由雲台にパン棒が付いたような構成で、ファインダーをのぞいたまま、レスポンス良くフレーミングが可能だ。
カメラを真上に向けられるなど可動域も広く、柔軟に動体を追いかけられる。
ボールのフリクションを調整できるので、抵抗を強めに設定しておくと、重たい超望遠レンズを付けている状態でも、滑らかな動作で野鳥を追いかけることが可能だ。
ハーフボールによるレベリング機構がLVM-324Cに備わっているので、傾斜地においても水平を出しやすい。
制作協力:株式会社ワイドトレード