Leofoto FIELD REPORT 三脚のある美しい写真
チャンスを逃さないビデオ雲台に軽くて強い三脚を組み合わせる
中野耕志さんが愛用する「LVM-324C」+「BV-15」
2022年9月20日 07:00
一般的に交換レンズは撮影ジャンルや被写体で変化するものだが、それは三脚・雲台も同じ。写真家それぞれが、自分の被写体に最適な組み合わせを探し続けている。
今回は中野耕志さんに、超望遠単焦点レンズで野鳥を撮影するときの三脚・雲台を説明していただいた。800mmという超望遠レンズを駆使する中野さんが三脚・雲台に寄せる思いとは。
1972年生まれ。野鳥写真や飛行機写真を得意とし、雑誌や広告等に作品を発表する。「Birdscape~絶景の野鳥」と「Jetscape~絶景の飛行機」を二大テーマに国内外を飛び回る。近著に『野鳥写真の教科書』(玄光社)、『パフィン!』(河出書房新社)など著書多数
※本企画は『デジタルカメラマガジン2022年10月号』より転載・加筆したものです。
強さと軽さを兼ね備えた三脚で野鳥の美を追求
私は野鳥そのものの美しさを引き出す作品づくりを目指しており、鳥たちの動きをシャープに写し止めるとともに、正確なフレーミングを信条としている。
野鳥撮影で多用される大口径超望遠レンズは、カメラと組み合わせたシステムが4~4.5kgにもなるので取り回しが悪いのと、画角が非常に狭いため被写体を正確にファインダー内に捉え続けるには慣れが必要だ。ゆえに重量級の機材を支えられる頑丈な三脚と被写体をスムーズに追い続けられる雲台というのは、撮影の成否を握る重要なアイテムなのである。
もちろん三脚と雲台は重い方が安定するが、撮影現場への運搬を考慮すると頑丈さと軽さのバランスが優れた三脚と雲台を選びたい。その難しい要求を満たしているのが、LVM-324CとBV-15の組み合わせだ。
LVM-324Cはレバーロック式のカーボン三脚で、耐荷重25kgという剛性の高さを持ちながら質量は2kgと軽い。さらに雲台取付部には75mmハーフボールを内蔵しており、±20°の角度調整が可能。フィールドの不整地で撮影することの多い野鳥撮影では、3本それぞれの脚の長さを調整することである程度の水平を出したのち、雲台側で微調整して完全に水平出しするのが基本だが、LVM-324Cなら一連の操作を素早くできるのでシャッターチャンスを逃さない。
雲台もまた重要で、昨今では超望遠レンズを使用した動体撮影ではビデオ雲台を選ぶのが主流だ。なぜならば野鳥撮影ではとっさのシャッターチャンスに対応するため、パンとチルトのロックをフリーな状態にしておきたいからである。普通の雲台ではチルトのロックを緩めるとレンズが前後どちらかに倒れて危険だが、ビデオ雲台ではそれぞれのバランスが取れた状態ならカメラと望遠レンズから手を離しても中立を保てる。BV-15にはパンとチルトそれぞれにテンション調整機構があり、野鳥の動きに合わせてスムーズにカメラを振ることも可能だ。
BV-15は質量1.3kgと超望遠レンズ向けのほかのビデオ雲台に比べると格段に軽く、超望遠レンズの三脚座がアルカスイス規格であればそのままBV-15に載せられるため、プレート分の軽量化はもちろん、低重心化による重量バランスの向上を図れる。
強さと軽さを兼ね備えたLeofoto LVM-324C+BV-15は、野鳥撮影の心強い相棒だ。このシステムでこの先どんな作品を残せるのか楽しみだ。
超望遠レンズに対応する剛性の高いビデオ雲台&三脚
LVM-324CはマンバM(LVM)シリーズのカーボン三脚で、脚の伸縮にはレオフォト初のレバーロック方式を採用。雲台取付部にはハーフボールを内蔵し、ハンドル操作ひとつで水平出しが可能だ。
BV-15はオイルフルードビデオ雲台で耐荷重は10kg。パンとチルトそれぞれにテンション調整機構を備え、搭載機材に合わせて操作時のテンションを最適化できる。
雲台取付部には±20°可動するハーフボールが内蔵されており、スムーズな水平出しが可能だ。また3本のネジで雲台を固定することにより、パン操作時に起こりやがちな雲台の緩みを防ぐことができる。
動体撮影時に便利なビデオ雲台は、超望遠レンズを搭載できるものとなると質量が2kgを超える。BV-15は十分な耐荷重を持ちながら、雲台質量は1.3kgと軽いので携行性が非常に高い。
パンとチルトそれぞれにテンションを調整できる機構を搭載し、カメラを振る際の重さを好みに変更できる。
クイックリリースはアルカスイス互換なので、アルカスイス互換の溝を切ってある望遠レンズフットと組み合わせやすい。
制作協力:株式会社ワイドトレード