ニコン「AF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5 G ED」

交換レンズ実写ギャラリー
Reported by 大浦タケシ

D300 / AF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5 G ED / 約5.6MB / 4,288×2,848 / 1/320秒 / F11 / -0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 10mm



D300に装着した状態。発売は5月1日。価格は11万7,600円

 ニコンDXフォーマット専用の超広角ズームレンズだ。35mmフルサイズ判換算で15〜36mm相当の画角を持つ。レンズ構成は9群14枚。価格は11万7,600円、執筆時における大手量販店の実勢価格は9万9,800円前後である。

 AF-S DX Zoom-Nikkor ED 12-24mm F4 G(IF)の実質的な後継レンズ。一般的に開放絞りは、先代のようにズーム全域で変動しない方が好まれる。しかし、変動式とすることで、ほぼ同じ鏡銅の大きさと質量を保ちながら、ズームレンジをワイド側2mmの拡大を実現している。トレードオフの結果といえるものだが、使い勝手や実用性を優先させるのなら、いうまでもなく本レンズに軍配が上がるといってよいだろう。実際に使ってみても、超広角域では絞り値変動タイプのデメリットは感じられず、むしろこれまで以上に広い画角が得られ、より強いパースペクティブを活かした撮影を楽しむことができた方が重要に思われた。

 最短撮影距離はAF時で24cm、MFでは22cmとなる(いずれもズーム全域)。AF時のフォーカシングは、より迅速で静粛性に優れたSWM駆動を採用する。AF時にフォーカスリングを回転させれば、MFに瞬時に切り換わるM/Aモード機能を搭載しており、被写体にグッと寄ったときなどシビアなピントを合わせが必要な撮影では重宝しそうだ。絞り羽根は先代と同じ7枚。円形絞りとなる。

 描写は、歪曲収差および周辺光量の不足は、超広角ズームとしては少ないほうで、特に周辺光量の不足は開放絞りでもさほど強く現れないのはちょっと驚きだ。D300を使用したが、ビネットコントロール機能が内蔵されているのかと思ったほどである。反面、ワイド端で絞りを開いたときに像の流れが発生しやすのは残念なところ。こちらは、2〜3段程度絞るとある程度落ち着く傾向にある。倍率色収差に関しては、D300には低減機能が内蔵されているため、レンズ本来の描写特性は不明ではあるものの、画像を見る限りでは超広角ズームとして良好なものである。フレアやゴーストの発生もよく抑えられており、ズーム全域締まった描写が得られる。

 先代のAF-S DX Zoom Nikkor ED 12-24mm F4 G(IF)は、ライバル製品と比べて高価なレンズだったが、本レンズはかなり現実的な価格設定となっている。これまで純正の超広角ズームが欲しくても予算から諦めざるをえなかったDXフォーマットユーザーにとって朗報といえるものだ。この機会にぜひ検討してみたらいかがだろうか。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。



D300 / AF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5 G ED / 約5.0MB / 2,848×4,288 / 1/400秒 / F10 / +0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 10mmD300 / AF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5 G ED / 約5.1MB / 4,288×2,848 / 1/320秒 / F11 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 10mm
D300 / AF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5 G ED / 約5.1MB / 2,848×4,288 / 1/160秒 / F6.3 / +0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 16mmD300 / AF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5 G ED / 約4.7MB / 2,848×4,288 / 1/500秒 / F11 / -0.3EV / ISO400 / WB:晴天 / 15mm
D300 / AF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5 G ED / 約6.5MB / 4,288×2,848 / 1/400秒 / F10 / +0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 10mmD300 / AF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5 G ED / 約6.4MB / 2,848×4,288 / 1/400秒 / F10 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 10mm
D300 / AF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5 G ED / 約3.9MB / 4,288×2,848 / 1/2,000秒 / F4.5 / +0.7EV / ISO200 / WB:晴天 / 24mmD300 / AF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5 G ED / 約4.8MB / 2,848×4,288 / 1/320秒 / F9 / +0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 10mm
D300 / AF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5 G ED / 約6.0MB / 4,288×2,848 / 1/500秒 / F3.5 / +0.7EV / ISO2000 / WB:晴天 / 10mmD300 / AF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5 G ED / 約7.0MB / 4,288×2,848 / 1/500秒 / F7.1 / +2.7EV / ISO1100 / WB:晴天 / 16mm
D300 / AF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5 G ED / 約5.3MB / 2,848×4,288 / 1/400秒 / F10 / +0.7EV / ISO200 / WB:オート / 13mmD300 / AF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5 G ED / 約5.1MB / 2,848×4,288 / 1/125秒 / F4.5 / -1EV / ISO400 / WB:オート / 16mm
D300 / AF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5 G ED / 約4.4MB / 2,848×4,288 / 1/60秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO800 / WB:オート / 10mmD300 / AF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5 G ED / 約4.4MB / 2,848×4,288 / 1/30秒 / F3.5 / +0.3EV / ISO800 / WB:オート / 10mm
D300 / AF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5 G ED / 約5.0MB / 2,848×4,288 / 1/320秒 / F7.1 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 10mmD300 / AF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5 G ED / 約6.4MB / 4,288×2,848 / 1/400秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 10mm



D300 / AF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5 G ED / 約4.1MB / 4,288×2,848 / 1/500秒 / F4 / +0.3EV / ISO280 / WB:オート / 16mm








大浦タケシ
(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。

2009/5/25 14:19