KING「Fotoproアルミ三脚 CT-4Aチタン」

〜ミニ三脚や一脚にも。1台4役の“コンポジット三脚”

 浅沼商会が展開するKINGブランドの新製品、「Fotoproアルミ三脚 CT-4Aチタン」を紹介したい。最大の特徴は、三脚、ミニ三脚、一脚、ステッキの1台4役で使えることだ。


Fotoproアルミ三脚 CT-4Aチタンの概念図。基本は三脚だが、ミニ三脚、一脚、ステッキにも変化する

 まずは基本となる三脚形態を見てみよう。脚段数4段、脚径最大22mm、推奨耐荷重2kgのアルミ三脚だ。エレベーターを最大まで伸ばしたときの高さは1,480mmで、一般的な成人男性の場合、高さをアイレベルに届かせるには、エレベーターをかなり伸ばす必要がある。重量級の機材や超望遠での撮影だと不安を伴うが、エントリークラスのデジタル一眼レフカメラやミラーレス機なら、特に問題なく使用できるだろう。


エレベーターを下げている状態エレベーターを最も上げた状態

 また、他社製品でも良く見かけるようになった、脚を逆向きに折り畳める機構を採用。携行性は高く、携行時は縮長410mmとコンパクトに収まる。質量は1.34kg。


エレベーターを伸ばして脚を反対側に折り畳むことで、最も短い状態になる

 自由雲台も携行性を考量して、極力小さなものが組み合わされている印象。フリクションコントロールなど凝った機能はないものの、オイルレスタイプでボールの動作はスムーズだ。ノブの操作性も悪くない。クイックシューのシュープレートはアルカタイプ。小さいながらも水準器がついている。

 次にミニ三脚にしてみる。3本の脚すべてを根元から取り外そう。ねじが切ってあり、回すと三脚本体から取り外せるのだ。今までも1本だけ取り外して一脚とする製品はあったが、3本すべてが外れるのは珍しい。


脚はこうして取り外せる主な付属品。左上からストック用のグリップ、一脚用のカメラネジアダプター、ミニ三脚用の脚×3

 取り外した脚を付属の短い脚に付け替えれば、たちまちミニ三脚に早変わりというわけ。ミニ三脚の脚段数は3段で、脚径は最大22mmという本格的なものだ。地上最低高は175mm。三脚形態でも地上最低高は250mmと低いが、設置面積はミニ三脚の方が省スペースですむ。花マクロ撮影などでは、ミニ三脚形態の方が柔軟性ある運用が期待できる。


ミニ三脚にした状態。本体と雲台は三脚形態のものと同じミニ三脚の脚をすべて伸ばしたところ
三脚形態と同じく開脚機構が利用できる。ミニ三脚形態でも役立つ

 一脚にするには、脚を1本だけ取り外し、その外した脚の上に、付属のカメラネジアダプターを装着する。その上に雲台をつければ完成だ。日中は基本的には一脚、暗くなりだしたら三脚へ移行、といった使い分けも可能になる。


一脚にした状態。低いのが難点だが、バリアングル液晶モニターとの組み合わせが面白い

 最後のステッキへのトランスフォームは、一脚用のカメラネジアダプターに代わりに、付属のグリップを装着すれば良い。撮影中、次のポイントまで山中を徒歩移動するときなどに役立ちそうだ。


ストックにした状態

 このように付属品を活用することで、1台4役を果たすのが本製品の特徴。三脚にしては付属品が多くて煩わしそうだが、一式すべてを収められる肩掛け式の専用バッグが付属する。加えて、ミニ三脚用ホルダー、一脚用ホルダーも付属。いずれもベルトに留めるタイプで、ミニ三脚なら両手を空けたまま移動可能だ。


専用ケースポケットに付属品が収納できる

ミニ三脚用ホルダーも付属。専用ケースに装着できるミニ三脚単体で持ち出すときはベルトに装着するのもよい

 本製品の独自性は、やはりミニ三脚としても運用できるところだろう。そこでお勧めしたい人は、花マクロと風景の両方を撮る人。風景を撮りに行ったら、現場に撮り頃の花畑が……というケースは割とよくあるし、逆に花をメインにするつもりだったのにやっぱり遠景を撮りたくなる、でも高さが足りない……という事態も考えられる。マクロと風景の両方に対応できる本製品なら、こうした悩みも解消する。

 気になるのはやはり、取り外し式となる脚の安定性だろう。ただ試用した経験からすると、ガタつきなどは特に感じられなかった(主にAPS-Cセンサー搭載の一眼レフカメラ+大口径標準ズームレンズで試用)。その代わり、脚をしっかり回し込んでおくことが大前提。安定性以前に、きつめに回し込んでおかないと脚を伸ばしたり縮めたりするとき、脚ロックの回転につられて脚が回ってしまい、脚の長さ調節すら不可能になってしまう。またネジ溝の精度が高いためか、脚をはめるとき正確にまっすぐねじ込む必要がある。慣れないうちは上手く行かず、戸惑うこともしばしばあった。

「脚が外れる」「逆側に折り畳める」という特徴を考えると、ライバルはベンロの「MeFOTO」になるだろうか。雲台も良く似ている。ただしMeFotoは取り外せる脚が1本に限られており、外した脚は一脚になるだけだ。ミニ三脚やストックとしての併用を考えているなら、本製品を選ぶのがベターだ。





本誌:折本幸治

2012/8/31 00:00