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ソニー「RX1R III」体験会レポート 前モデルとの比較や実写画像を掲載

小さなボディに、フルサイズαの性能を凝縮

既報の通りソニーは新型のコンパクトデジタルカメラ「RX1R III」を8月8日(金)に発売する。ここでは7月17日に行われたメディア向け体験会の模様をお伝えする。

RX1R IIIは、「RX1R II」(2016年2月発売)の後継モデルということで9年ぶりの新機種であり、またコンパクト機ながら66万円前後という想定価格でも大きな話題になっている。

フルサイズカメラとして究極に切り詰めたボディ

まず手にしてみると、改めて「小さい」と言ってしまうほどコンパクトだ。ボディ部分は35mmフルサイズセンサーを搭載しているとは思えないほど薄い。重量も500gを切っており、フルサイズ機と考えると持ち運びも苦になるものではないだろう。

外観もスッキリとした。特に上面は段差のないフラットな作りになり、良い意味で「塊」として感じられる。新しいボディのテクスチャやグリップの新すべり止めパターンもマッチしており、「写真を撮る道具」といった風格も増したように思う。

ソニーによるとRX1シリーズはいまだ多くのフォトグラファーに使われているそうで、新機種が欲しいという声が多かったそうだ。「10年間のソニーのテクノロジーをふんだんに入れたRX1を作れた」ことから、このタイミングでのリリースになったという。

進化点
前機種からのアップデート

バッテリーが大容量に ビューファインダーも強化

レンズは「高い評価があり、『これがいい』というユーザーも多い」(ソニー)ことから、従来機を踏襲した。そもそも初代の「RX1」(2012年発売)からレンズの基本的な部分は変わっていないとのことだ。

ボディに合わせて1台ごとに人手でレンズの調整を行っているという
マクロ切り替えのリングも引き継いだ。20cmまで寄れる

バッテリーは大型化し、「NP-FW50」を新たに採用。画素数向上やAI処理などで消費電力は増えているが、トータルでは前機種を上まわる撮影可能枚数を実現した。

底部には「MADE IN JAPAN」の表記も見られる。愛知県のソニー 幸田サイトで生産しているそうだ。

ビューファインダーは前機種のポップアップ式から固定式に変更された。今回アイポイントが約19mmから約22mm(最終光学面から)と長くなった。筆者はメガネをかけているが、従来機だとフレーム全体が微妙に見えていなかった。新モデルでは同じように覗いてもフレーム全体を見ることができた。

昔ながらのケーブルレリーズも利用できる
USB Type-C端子やクラウド対応など今風の装備も
箱は上に開く新しいタイプとなっている
ダイナミックレンジも拡大した
AIによる被写体認識も現在のレベルにアップデート
AFのカバー率も大幅に広くなった
同梱品
オプションのレンズフード「LHP-1 J2」、ボディケース「LCS-RXL」、サムグリップ「TG-2」を装着したところ
サムグリップは可動式で、メニューボタンにアクセスできる
店頭ではカタログ代わりにこのようなQRコード付きのカードが置かれる。ほぼ原寸となるRX1R IIIの型押しがあり、余白には「約10年間の空白」といった意味も込められているそうだ

RX1R IIとの比較

RX1R IIと並べてみた。光沢のあったボディテクスチャはマットな質感に変わった。上部がフラットになったことで、バッグへの出し入れがしやすくなった可能性もある。

前モデルでは目立っていたオレンジ色のシナバーリングがかなり細くなった。目立たないのでより精悍な印象を受ける。ファインダーと液晶モニターのギミックは大きな変更ポイント。液晶モニターが固定式になったのは、軽量化を優先したためという。

RX1R II(右)

前後ともきれいなボケが楽しめる

会場で撮影した実写画像をいくつか掲載する。いずれの作例も絞りは開放のF2で撮影している。

下はマクロモードの最短撮影距離付近で撮影したもの。前後ともとろけるようなボケが魅力的だ。

ソニー RX1R III/マニュアル露出(1/160秒、F2.0)/ISO 200

RX1R IIIには新たに「ステップクロップ」機能が搭載された。C1ボタンを押すと50mmと70mmにクロップされる。ボタンを押すごとに35/50/70mmを循環するので、素早く別の画角で撮影できた。

下の作例はマクロモードでステップクロップを使ったもの。マクロ時に使うと、最短撮影距離よりも拡大しての撮影が可能となる。前機種で同様の機能だった「スマートテレコンバーター」ではフォーカスフレームの位置が指定できなかったが、今回は任意の場所にピントを合わせられるようになった。

35mm
ソニー RX1R III/マニュアル露出(1/160秒、F2.0)/ISO 160
50mmクロップ
ソニー RX1R III/マニュアル露出(1/160秒、F2.0)/ISO 160
70mmクロップ
ソニー RX1R III/マニュアル露出(1/160秒、F2.0)/ISO 160

色調整機能の「クリエイティブルック」には、フィルム風の仕上がりになるFL2およびFL3が追加されている。

クリエイティブルック:ST(スタンダード)
ソニー RX1R III/マニュアル露出(1/160秒、F2.0)/ISO 200
クリエイティブルック:FL2
ソニー RX1R III/マニュアル露出(1/160秒、F2.0)/ISO 200
クリエイティブルック:FL3
ソニー RX1R III/マニュアル露出(1/160秒、F2.0)/ISO 200

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。