デジカメアイテム丼
本体をスライドさせると冷却ファンが作動…スタイリッシュなUSB4対応ポータブルSSD
バッファロー SSD-PE2.0U4-SA
2024年2月19日 13:32
株式会社バッファローが、2023年12月に発売したポータブルSSD「SSD-PEU4A」シリーズ。最新のUSB規格である「USB4」(Gen 3×2)に対応した製品として、速度面をアピールするのが本来であろうが、もっと重要なことがある。見た目だ。
高速な「USB4」に対応
とはいえ、スペックも重要なので、まずはここで軽く触れておこう。
本製品は、接続インタフェースとして「USB4」(Gen 3×2)を採用し、最大転送速度40Gbps(規格値)を実現するポータブルSSDだ。容量の異なる1TB(税込3万6,800円)と2TB(税込4万9,100円)の2モデルで展開している。
外形寸法は63×16×118mm。質量は約190g。外部電源は利用せず、USBバスパワーで駆動する。
なお、シーケンシャルリードは3,800MB/秒だが、シーケンシャルライトは2TBモデルが3,700MB/秒なのに対し、1TBモデルは3,600MB/秒なので注意したい。
理論値でいうと、USB4(Gen 3×2)の転送速度は5,000MB/秒(40Gbps)。昨今普及している「USB 3.2(Gen 2)」なら1,250MB/秒(10Gbps)となり、「USB 3.2(Gen 1)」ならその半分の625MB/秒(5Gbps)となる(1Gbpsでは、1秒間に125MBのデータ量を転送できる)。
規格的にこなれてくると、理論値に近い公称値の製品が出てくる。例えば、同社の「SSD-PHPU3A」シリーズなら、シーケンシャルリードは1,050MB/秒で、規格的な上限の1,250MB/秒に近い。
もちろん、それよりも遅い製品はあるし、速い製品だってある。小型を特徴とする「SSD-PSTU3A」シリーズなら、同じ「USB 3.2(Gen 2)」仕様だが、シーケンシャルリードは600MB/秒とさらに遅い。
とはいえ、これは速度よりも小型であることを評価するべき製品なので、なんら問題はない。むしろ、ほぼUSBフラッシュメモリサイズでありながら、SSDを実現したことを評価したい。
実測結果
そういった意味では、規格上の上限である5,000MB/秒に対し、シーケンシャルリード3,800MB/秒という数値はちょっと物足りないかもしれない……が、いやいや、外付け機器でここまでの速度が出れば御の字ではないだろうか?
実際に、2TBモデルを利用して、ベンチマークソフト「CrystalDiskMark」で速度を測ってみると、データサイズが「1GiB」(GiB=ギビバイト)の時、シーケンシャルアクセス(SEQ)のリードとライトが約3,197MB/秒と約3,025MB/秒だった。公称値よりも低い結果となったが、この速度なら使用時にストレスを感じることはないだろう。
ランダムアクセス(RND)については、リードが約324MB/秒でライトが約254MB/秒と、こちらもまずまずといえそうだ。
データサイズを「4GiB」「8GiB」「16GiB」「32GiB」「64GiB」に設定して計測したが、「64GiB」の時に「SEQ1M Q1T1」のリードの値が不自然に下がったものの、全体的な数値でいえば、大きな変化はなかったといえる。
チェック環境
- PC:ThinkPad X13 Gen2
- OS:Windows11 Pro 22H2 64bit
- CPU:Intel Core i3-1115G4
- メモリ:8GB
- 接続端子:USB4(Thunderbolt4対応)
- 利用ソフト:ベンチマークソフト「CrystalDiskMark」
- 備考:付属のUSB Type-Cケーブルを使用
USB4の実力を発揮させるには
極めて当たり前のことだが、接続先のPCがUSB4(Gen 3×2)または、Thunderbolt 4に対応していなければ、十全にスペックを生かし切れない。
また、Windows PCで同製品をUSB4接続する場合、OSの設定でデバイスの書き込みキャッシュを有効にする必要がある。この設定を行わないと、製品本来の速度が出ない仕様なのだそうだ。ちなみに、Windows PCでのUSB3.2運用および、macOSでの利用では設定は不要。
設定は、「デバイスマネージャー」の「ディスク ドライブ」にある製品名をダブルクリックし、「ポリシー」の「取り外しポリシー」で「高パフォーマンス」を選び、「書き込みキャッシュ ポリシー」の「デバイスの書き込みキャッシュを有効にする」にチェックを入れる。
手動での設定が不安なら、同社が提供している「書き込みキャッシュ設定変更ツール」を利用すると、より簡単に設定が可能だ。「有効(高パフォーマンス)」を選択して、「変更する」をクリックし、再起動するだけで設定は完了する。
キャッシュ設定をせずに、付属のUSB4ケーブルで接続した場合(1GiBで比較)、シーケンシャルリードこそ健闘したが、シーケンシャルライトは約3,025MB/秒から約294MB/秒と、まさに桁違いの遅さとなった。
ランダムアクセスも、ライトが約254MB/秒から約5MB/秒と、こちらも大幅に遅くなっている。
さらに、キャッシュ設定をせずに、USB4ケーブルではない「Anker PowerLine III Flow USB-C & USB-C ケーブル」(データ転送速度最大480Mbps)を利用したところ、シーケンシャルリードも大幅に遅くなった。
本製品のポテンシャルを生かすなら、キャッシュ設定&USB4ケーブルは必須だろう。
ちなみに、Windows用のファイルコピーソフト「CopyBooster」に対応しており、同ソフトの利用により、ファイルの転送速度はさらに高速化できるという。
取得したS.M.A.R.T.情報を活用して異常を検知する故障予測サービス「みまもり合図」にも対応。実際に壊れた際には、障害レベルに応じた固定料金でデータが復旧できる「バッファロー正規データ復旧サービス」が利用できる。
なお、保証期間内かつ、軽度の論理障害であれば、ユーザー登録を行うことで無料で復旧サービスが受けられるのもポイントだ。
このほか、パターン認証と暗号化方式「AES256bit」に対応した暗号化ソフト「SecureLock Mobile2」や、フォーマットソフト「DiskFormatter2」「DiskFormatter for Mac」、データ消去ソフト「データ消去ユーティリティー」などにも対応する。
なお、書き込みキャッシュを有効にしたことで、速度は確保されたが、その分デバイスを安全に取り外すために、タスクバーに表示された「ハードウェアを安全に取り外してメディアを取り出す」から取り出し操作を行う必要がでてくる。
キャッシュを利用している関係で、不慮の事故でケーブルが抜けてしまった、あるいは停電などの障害によって、データ破損が発生する場合がある。このへんは、従来の外付けHDDなどと扱いは一緒だ。
余談だが、「USB4」には、Gen3×1のシングルレーン(20Gbps)とGen3×2のデュアルレーン(40Gbps)の2つの規格がある。つまり、「USB4ケーブル」には20Gbps対応と40Gbps対応の2種類あることになる。
ややこしくなるが、「USB4 Version 2.0」という80Gbpsのデータ転送を可能とする規格も発表されており、これに合わせて、現在の「USB4」は「USB4 Version 1.0」と称されることになる。正直、市場的に混乱しそうなのが怖い。
単なるストレージの域を超えたデザイン
さて、前置きが長くなったが、本製品の魅力はメカメカしいデザインにあると思う。
昨今流行のUSBタイプのSSDをはじめ、外付けSSD機器においては、発熱対策もしっかりしているし、温度を下げるためにわざと性能を低下させるサーマルスロットリングという機能が搭載され、発熱を原因とする認識エラーや故障などを抑える機能が搭載されている。
発熱対策としては、外装と一体化(あるいは密着)するヒートシンク構造あるいは、強制的に冷却するファンの搭載など、さまざまな対策がある。
本製品は、筐体に金属を採用し、「筐体の開閉によりファンがオン/オフできる」構造を採用。
筐体を閉じていても(つまり、ファンはオフ)動作はするものの、推奨する使い方ではなく、利用する時には筐体を開けるのが基本作法となる。
強度の事を考えれば開閉機構は不要だし、ファンの動作を推奨するなら強制的にファンを作動させればいい。わざわざ、パカっと本体を開かせる必要はないのだ。
だが、そこがいい。ほんのり光る青色のアクセスランプも悪くない。おそらく、メーカーもこの構造が必要なのか、不要じゃないのかと、やり合ったのは想像に難くない。
本来的には、ポータブルSSDという実用的な製品であるため、遊び心は蛇足だ。しかし、全ての製品が右に倣えで、全て同じようなデザインだとちょっと物足りない。
データ速度が遅い製品であれば、検討外になるだろうが、本製品はUSB4対応製品として十分に利用できるポータブルSSDとなっている。しっかりした下地をもっているからこそ、こういったユニークな製品は応援したい。
欲をいえば、同梱のケーブル(30cm)がやや固めなので、もう少し柔らかくなるか、長さがもうちょっとあると運用しやすくなると思う。
評判の良さそうなUSB4ケーブル(1m)が、およそ2,600円〜4,500円なので、同梱ケーブルももうちょっと頑張ってほしいなぁと。どうでしょう? メーカーさん。