デジカメアイテム丼

スマートに持ち歩ける VANGUARD 新トラベル三脚「VEO 2」

三脚収納スペースを持つバッグ「VEO DISCOVER 38」と組み合わせてみた

トラベル三脚をスタイリッシュに持ち歩きたい

いま三脚があればっ……! と、撮影中に後悔したことのある人は少なくないと思う。電車移動の日や長時間歩く撮影などでは三脚を持ち歩きたくない人も多いだろう。さらに近年はカメラの手ブレ補正の強化、高感度化などによって、手持ち撮影が増えて三脚の出番は減るばかり。

しかし、スローシャッターや低感度による緻密で滑らかな表現など、三脚がなければならない表現や場面はあり、やはり小さくても三脚は持っておきたい。そうした理由で以前から、小型でじゃまにならず、町中でもスタイリッシュに三脚を持ち歩けるシステムをずっと求めていた。

そんな折、VANGUARD(バンガード)のトラベル三脚、一脚、バッグの「VEO」コレクションがリニューアルしたと小耳にはさみ、試用させてもらえる機会を得たのでレポートしたい。

三脚をバッグの底部に収納できる

今回紹介するのは「VEO DISCOVER 38」というモデルでワンショルダータイプのバッグと「VEO 2 265 CB」というトラベル三脚だ。

このコンビならトラベル三脚がじゃまにならず持ち運べるというのだ。実は以前からVANGUARDでは同様のコンセプトのバッグと三脚を販売しており、今回紹介するのはそれらのいわば2017年版のアップデートモデルとなる。

(参考)従来のVEOバッグとVEO三脚(VEO 265CB)

バッグ、三脚とも基本的なサイズやコンセプトは前モデルと変わっていないが、デザインはかなり洗練された印象を受ける。

前モデルは横方向を意識したデザインだったが本モデルは斜め方向を意識したデザインとなりシャープさが増した。三脚も前モデルは赤のラインがやや派手目だったが、本モデルではグレーを基調とした落ち着いたデザインとなった。

VEO DISCOVER 38(奥)とVEO 2 265 CB(手前)

バッグに三脚がスポっと収まる

ショルダーバッグの大きさはW420×H290×D160mmで、重量は0.92kgと小型〜中型のサイズ感。肩に掛けてみると、幅広の肩当てが機材の重さも軽減してくれるように感じた。末広がりのデザインもちょっとおにぎりっぽくてかわいい。

収納部は黄色の内装でとても明るく見やすい。これなら小物類も見つけやすそうだ。カメラ収納部は想像していたよりも大きく、ミラーレスカメラシステム一式を入れても余裕がある。

35mmフルサイズ一眼レフカメラも交換レンズ1〜2本とともに入れられそうだ。内部には11インチのノートPCが入るスペースも確保されているのもうれしい設計。僕の使用する13インチのMacBook Airは残念ながらギリギリ入らなかった。

VEO DISCOVER 38の一番の特徴である底部の三脚スペース。まさにアイディアの勝利で、これが非常に使いやすい。ジッパーの開閉もスムーズで、三脚VEO 2 265 CBもピッタリと収納できる。収納した状態のバッグを見ても、まさか三脚が入っているとは誰も思わないだろう。

底部の三脚スペースには望遠レンズなどを入れることもできる。その際にはバッグ側面に三脚を取り付けることができ、スムーズな持ち運びを可能にしている。バッグの底面でなく側面に三脚を取り付けることで、地面に置いても倒れない設計も秀逸だ。

三脚にも抜かりなし!

注目したいのはバッグだけではない。トラベル三脚「VEO 2 265 CB」も非常に優れたユーザビリティを持つ製品だ。

多くのトラベル三脚が脚部分を折り畳む構造をしているのに対し、VEO 2 265 CBはセンターポール部分を折り畳むタイプ。

脚を畳むタイプは展開するのに3回脚を開く動作が必要となるが、センターポールは1本なので1回の動作で撮影準備が完了する。動作もスムーズで、ほとんど一瞬でセンターポールを撮影ポジションにセットできる。せっかちな僕にとってこれはかなり大きな差だ。

ワンショルダーバッグにすっぽりと入るトラベル三脚なので収納時の全長はかなり小さく、なんと41.5cm。重さも雲台込みでわずか1.3kg。数値で見るよりも持ってみた感覚はさらに軽く感じる。

トラベル三脚は小型軽量を求めるあまり高さが低すぎるものがあるが、VEO 2 265 CBは脚を5段にすることでセンターポール込みではあるが最伸高は150cmを確保。身長165cmの僕にとってはほとんどの場面で不自由を感じない高さだ。

5段ということで強度が心配になりそうなものだが、直径26mmのカーボン製チューブで耐荷重8kgを実現しており大抵の機材では不安を感じることはないだろう。ツイストタイプのロックも加工精度が高く、軽い力でもしっかりとロックできる。

ただし、いくら剛性が高くても三脚自体が良くも悪くも軽すぎるため、急な横風などで転倒しないように注意が必要だ。

なお、センターポールを付属のローアングルアダプターに交換すれば、ローアングル撮影にも対応できる。マクロ撮影などの際に重宝する機能だ。ただしローアングルへの変更はパーツ交換を必要とするため一瞬とはいかない。

脚は20度、45度、80度に開くことができるが、その際の動作も極めて優秀だ。脚の付け根にあるボタンを押しながら引き上げるだけで簡単に開脚できる。強い力が必要ないため無理をして指をはさみそうになる心配もなく安心だ。三脚自体の軽さと相まって女性ユーザーにもおすすめできる。

石突き部分も特徴的な形をしており、脚を20度、45度、80度に開いてもそれぞれぴったりと地面に設置できるような平面加工が施されている。

付属雲台もトラベル三脚だからといって手を抜いていることは一切ない。正直、雲台に関してはトラベル三脚ということもあってそれほど期待していなかったが、考えを改めた。

ロック、パンに加え、フリクションコントロールのノブを独立して装備し、非常に安定した使用感を実現していた。ためしに中判デジタルカメラもセットしてみたが、フリクションコントロールを適度な重さに調整することで不安なく使用できた。

クイックシューも汎用性の高いアルカスイス互換タイプなので、手持ちのクイックシューが使えるのがうれしい。外装は雲台、脚部ともにマットなガンメタリック仕上げでかっこいい。

ノブの形も円形でなくレバータイプになっており、指がかりが非常によく素早く確実なロックを実現している。大きめのノブで力もかけやすい。

まとめ

三脚をバッグに収納し、カメラ一式を入れて持ち運んでみても三脚が入っていることを忘れるくらい軽い。それもそのはず、バッグと三脚を合わせても2.22kgしかない。そして三脚は使いたいときに素早く取り出して一瞬でセットできる。

このVEO DISCOVER 38とVEO 2 265 CBは、三脚の必要性はわかってはいても、できれば持ち歩きたくないと考えているユーザーにこそ使ってもらいたいシステムだ。

また、三脚に求める要求が高ければ高いほどVEO 2 265 CBの良さを理解できると思う。トラベル三脚であっても作り込みがとても丁寧でなんともかわいいヤツなのだ。

都会の撮影や旅行、ハイキングなど、三脚を持っていくにはちょっと面倒だなと思えるシーンにこそVEO DISCOVER 38とVEO 2 265 CBを持っていくといい。唐突にスイッチオンしてしまったあなたの“本気撮影モード”にきっとVEOシリーズは全力で応えてくれるはずだ。

制作協力:株式会社ガードフォースジャパン

今浦友喜

(いまうらゆうき) 1986年埼玉県生まれ。風景写真家。雑誌『風景写真』の編集を経てフリーランスになる。日本各地の自然風景、生き物の姿を精力的に撮影。雑誌への執筆や写真講師として活動している。