デジカメアイテム丼

飾っても美しいクラシカルな三脚

Tiltall「TE-01」

皆さんは「Tiltall三脚」をご存知だろうか? アメリカでTiltall三脚が生まれたのは1946年、なんと今から70年も前の話である。その後1973年にはレンジファインダーカメラで有名なエルンスト・ライツ社と契約し、ライツブランドで発売されていたこともあった。

1978年には映画「girl friend」でカメラマンである主人公がTiltall三脚を使用し、2014年にはJR東日本のテレビCMでも登場することになる。要するにとても長い歴史を持つ三脚というわけだ。

現在のTiltallブランドではカーボン三脚やトラベル三脚もラインナップされているが、今回プロ機材ドットコムからTiltallオリジナルとも呼ばれるTE-01シリーズの復刻版に、新色となるシルバー(TE-01S、税込実勢価格3万240円)とブラック(TE-01B、同2万7,000円)が追加された。今日はこの歴史ある美しい三脚をレビューしたいと思う。

脚を外して一脚になる機能も

この個性的で美しいデザインのTE-01はアルミ製となっており、3ウェイ雲台一体型となっている。同じく長い歴史を持つハスキー三脚にも雲台一体型のモデルがあるが、TE-01も雲台は交換できないため注意されたし。とは言え、この美しく一体感のあるデザインを見れば、敢えて雲台を取り替えようとは思わないだろう。

TE-01の基本的なスペックだが、全伸高185cm、全高152cm、最低高70cm、格納高75cm、耐荷重10kg、脚段数3段、重量2.9kgとなっている。

汎用性の高い中型三脚となっているが、開脚角度に制限があるためグラウンドレベルにはできない。その代わりセンターポール下部にカメラネジが設けられているので、そちらにカメラを取り付けることが可能となっている。

また復刻されるにあたり、最近流行りの「脚を一本を外して一脚として使用する」機能が追加された。

TE-01の中でも雲台は目を引く造形となっている。自由雲台のようなスマートな本体に長いパン棒がセットになっている。

カメラ台部分は滑り止めのゴムが貼られている。またカメラ台は大きく、カメラとの設置面積が広いため、35mmフルサイズ一眼レフなども十分に支えられる大きさとなっている。

この雲台はコマ締め方式ではなく割り締め方式ではあるが、締め付け時のオンオフの感触はクイックでわかりやすい。

各ハンドルには滑り止め効果のあるローレットが刻まれている。冬場は冷たくなるので良いことばかりではないが、ゴムやプラスチックパーツの少ないTE-01ではこのハンドルがデザイン的に非常にマッチしていて美しい。

エレベーターストッパーは現代の3ウェイ雲台とは異なった作りになっている。センターポールの根本にある左右に突き出た2本のハンドルを締め付けることでセンターポールを固定するのだが、高い位置のハンドルを締め付けると雲台根本部分のパンの動きが固定され、低い位置のハンドルを締め付けるとセンターポールの回転が固定される。両方締め付けることで完全にパン方向の動きがロックされる。

脚部の伸縮はナットロック方式となっている。空転防止構造にはなっていないため、複数のナットを持って一気に全段を緩めるといったことはできない。順番を守ってロック/アンロックを行う必要があるが、ハスキー三脚など昔からある三脚はこういったものが多く、手が順番を覚えてしまえばそれほど手間取ることはないだろう。

石突きは可変タイプ。ゴムの石突きを回転させるとスパイクが現れる。

センターポール下部には着脱可能なベースプレートがあり、こちらにカメラを取り付けることも可能。バリアングル液晶を搭載したカメラなどと組み合わせれば、地面すれすれの花の撮影などにも使えるだろう。

Tiltallのシールが貼られた脚は、取り外すことで一脚としても使用できる。この際センターポール下部のベースプレートを外し、外した脚部に付け替える。

まとめ

中型アルミ三脚は数多あるが、部屋の片隅に無造作に置いてあっても美しい三脚はそうそうあるものではないだろう。

今回、新色のシルバーとブラックが加わったことで選ぶ楽しみもできた。この美しくレアな三脚が日本でも気軽に購入できるようになったことを喜びたい。

山崎將方

(やまさきまさかた)フォトグラファーとして都市風景写真を発表する傍ら、写真教室の講師を務める。カメラメーカーの講師や作例集制作を経て現在に至る。写真とカメラの事ならネジ一本に至るまで、ありとあらゆることを知りたいと思っている。