ファーストインプレッション:キヤノンPowerShot G15
キヤノンが10月中旬に発売する「PowerShot G15」のファーストインプレッションをお届けする。
PowerShot G15は、1/1.7型約1,210万画素のCMOSセンサーと35mm判換算28-140mm相当F1.8-2.8の5倍ズームレンズを採用するモデル。センサーサイズが同じ「PowerShot G12」「同G11」「同G10」は同様の焦点距離で開放F値F2.8-4.5だったため、ズーム全域で1段以上明るくなっている。
これにより初期PowerShot Gシリーズの特徴でもあった“明るいズームレンズ”が復活したと言えるだろう。同時に、同じ高級コンパクト機にカテゴライズされる同社のPowerShot Sシリーズとの棲み分けがよりハッキリした印象だ。
また、1.5型センサーが特徴の「PowerShot G1 X」では最短撮影距離(レンズ前)が広角端20cm・望遠端85cmだったが、PowerShot G15では広角端で1cm・望遠端で40cmと、以前のPowerShot Gシリーズに近いスペックとなった。センサーサイズこそG1 Xより小さいものの、寄れる大口径レンズにより被写体を浮き上がらせるような表現も狙いやすくなっている。G1 Xにないレンズバリアも備えている。
28-140mm相当の5倍ズームレンズは、コンパクトデジカメらしい接写も可能 | 大口径レンズが売りの機種はレンズキャップ式のものが多いが、本機はレンズバリアを備える |
PowerShot G12から搭載している前ダイヤルも、右手を主として操作するコンパクトデジカメには嬉しい要素。今回は露出補正ダイヤルも右手側に移行したことで、片手で手早く撮りたい時にとても快適だった。EOS用のクリップオンストロボも流用できるなど、トータルでの携帯性や操作性を考えると“EOSのサブ機”としても有力な1台と感じる。個人的には、背面ホイールにステップズームを割り当てて、焦点距離を意識しながらの撮影が楽しかった。
グリップ部。握るように持っても、つまむように持っても安心感がある | 前ダイヤルを継承。節度ある固さで扱いやすい |
露出補正ダイヤルは右手親指で操作できる位置に移動。感度設定は背面カーソルキーのISOボタンで呼び出す | モードダイヤルと露出補正ダイヤルが重なる配置。それぞれ前後からアクセスしやすい |
AFは明らかに違いが感じられるレベルで高速化しており、スナップカメラとしての実力を高めている。約4段分の補正効果という手ブレ補正機構も、片手撮りや暗所でのスナップを助けるだろう。
光学ズームファインダーは今となっては他に採用例の少ない機構だが、カメラらしさを感じるトップカバーの形状と接眼できるファインダーは、トラディショナルな撮影スタイルも楽しみたい向きにはよいのではないだろうか。ちなみに、ファインダー使用時の撮影可能枚数は液晶モニター使用時の約350枚に対し、約770枚と2倍以上の数値になっている。
実像式光学ズームファインダーを搭載。内部に情報表示はない | ファインダーを覗いたところ |
内蔵ストロボはポップアップ式になった | バッテリーNB-10L(PowerShot G1 Xと共通)と記録メディア室 |
唯一バリアングル液晶モニターでない点だけは用途によって好みが分かれるかもしれないが、そのぶん若干ボディが小さく仕上がっているのでトレードオフと言えるだろう。スペック表でPowerShot G12と比べると、ボディサイズ・重量ともに小さくなっている。
普及価格帯のコンパクトデジカメからのステップアップや、一眼レフカメラのサブにミラーレス機を検討しているが大きさや操作性に不安が残るという向きには、このPowerShot G15もよい選択肢となるかもしれない。
・キヤノンPowerShot S110(右)と比較
・ソニーサイバーショットDSC-RX100(右)と比較
・画面
撮影画面。グリッド、ヒストグラムのほか2軸の電子水準器を利用できる | 感度はISO12800まで選択可能。オート上限はISO1600。高感度NRの強度は3段階から選べる |
Dレンジ補正は切/自動/200%/400% | HDR機能も搭載 |
操作部のカスタマイズ画面 | 空いている部分にステップズームなどを割り当てられる |
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
2012/10/1 00:00