デジカメドレスアップ主義:フォーカシングレバーに憧れて

キヤノンEOS 5D Mark II + インダスター22 50mm F3.5
Reported by澤村徹

  • ボディ:キヤノンEOS 5D Mark II
  • レンズ:インダスター22 50mm F3.5
  • マウントアダプター:EOS-M42マウントアダプター(ノンブランド品)
  • マウントアダプター:ディスカバーフォト L39-M42マクロアダプター
  • ストラップ:デテ 一眼レフしわしわカメラストラップ ウォッシュヌメ革(バケッタキャメル)
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 オールドレンズは個性的な描写に加え、そのクラシカルな佇まいも魅力的だ。なかでも沈胴エルマーやズマールなど、初期のライカLレンズはピントリングにレバーが付き、独特の雰囲気を醸している。今回はこうしたレバー付きレンズをキヤノンEOSに装着し、新旧スタイルのミックスを楽しんでみよう。

 ライカLマウントのフランジバックは28.8mm、キヤノンEFマウントは44mmだ。ライカLマウントの方が短いため、仮にライカLレンズをEOSに装着しても無限遠が出ない。そこで沈胴エルマーはあきらめ、ゼニットに着目してみた。ゼニットは1950年代に登場したロシア製一眼レフで、ゾルキー(ロシア製ライカLマウント互換レンジファインダーカメラ)にビゾフレックス(ライカを一眼レフ化する装置)を無理やり埋め込んだような奇妙なカメラだ。マウントは39mm径のスクリュー式で、一般にM39マウントと呼ばれている。フランジバックは約45.2mmで、M42マウントの45.5mmに近い。ゼニット用のマウントアダプターは発売されていないが、EOS-M42マウントアダプターとM42-M39変換リングを組み合わせると、ゼニット用レンズがEOSに付く。0.3mmほどフランジバックを満たしていないが、絞り込んで撮ればおおむね無限遠が出るという算段だ。

 ゼニットシリーズは、代々インダスター22 50mm F3.5を標準レンズとして採用してきた。そして初期型ゼニットとセットになっていたインダスターは、ピントリングにレバーが付いている。このレンズなら、クラシカルなスタイルを描写と外観の両面で楽しめるわけだ。レバー付きレンズの憧憬を満たすセットアップである。

39mm径の小さなレンズなので、EOS 5D Mark IIに付けるとレンズキャップのような姿だレバー付きレンズをEOSに付けると、現代的なボディがクラシカルな佇まいに様変わりする
レンズ前面が絞りリングになっている。撮影中に前面を確認する必要があり、絞り変更は少々やりづらいインダスター22 50mm F3.5は、沈胴エルマー(左上)やズマール(右上)のように距離調整レバーが付いている

 レバー付きインダスターのビンテージテイストに合わせ、ウォッシュドレザーのストラップを装着してみた。デテの一眼レフしわしわカメラストラップは、ヌメ革をウォッシュ加工している点が特徴だ。ウォッシュドレザーは使い込んだ風合いが魅力だが、そこにヌメ革ならではの素朴なテイストが加わり、レバー付きインダスターの無骨さと相性がよい。レザーカラーは全4色で、ステッチは全11色から選択できる。

ディスカバーフォトのL39-M42マクロアダプターは2,480円。EOS-M42アダプターはノンブランド品を使用したレンズ付きのゼニットは5,000円〜1万円程度。レバー付きレンズは初代ゼニットに付属することが多い
デテの一眼レフしわしわカメラストラップは9,450円。ソフトヌメ革にウォッシュ加工をほどこしている手縫いのステッチがクラフト感を醸す。ウォッシュ加工してあるが、しっとりとやわらかい風合いのレザーだ

 ロシアレンズは「古いほど写りがよい」と言われることがある。インダスター22 50mm F3.5は、それを裏付けるかのような描写だ。発色とシャープネスはナチュラルで、コントラストもしっかりしている。素朴ながらも芯を感じさせる描写だ。半世紀以上むかしのレンズだが、素性のよいレンズといえそうだ。一方、開放ではたっぷりと周辺光量が落ち、レトロな描写が存分に味わえる。フランジバックが0.3mmほど短いため、無限遠はF11まで絞ってもわずかに甘い。ただし、中遠距離はしっかりピントが合い、運用次第で十分に楽しめるレンズといえるだろう。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなしのRAW現像画像(JPEG)を別ウィンドウで表示します。
EOS 5D Mark II / インダスター22 50mm F3.5 / 5,616×3,744 / 1/1,600秒 / F3.5 / -0.67EV / ISO100 / WB:オート / 50mmEOS 5D Mark II / インダスター22 50mm F3.5 / 5,616×3,744 / 1/60秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 50mm
EOS 5D Mark II / インダスター22 50mm F3.5 / 5,616×3,744 / 1/60秒 / F11 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 50mmEOS 5D Mark II / インダスター22 50mm F3.5 / 5,616×3,744 / 1/320秒 / F11 / -0.67EV / ISO100 / WB:オート / 50mm
EOS 5D Mark II / インダスター22 50mm F3.5 / 5,616×3,744 / 1/320秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 50mmEOS 5D Mark II / インダスター22 50mm F3.5 / 5,616×3,744 / 1/800秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 50mm


(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。ライター、写真家。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、こだわり派向けのカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」シリーズをはじめ、オールドレンズ関連書籍を多数執筆。http://metalmickey.jp

2010/12/1 00:00