デジカメドレスアップ主義:クビレが悩ましいアバンギャルドスタイル

オリンパス・ペンE-P1ホワイト + ペンタックス110 70mm F2.8
Reported by澤村徹

  • ボディ:オリンパス・ペンE-P1ホワイト
  • レンズ:ペンタックス110 70mm F2.8
  • マウントアダプター:RJ Camera オート110アダプター
  • ファインダー:ツァイス・イコン ターレットファインダー
  • レンズフード:旭光学 Super-Takumar 135mm F3.5用フード
  • ボディジャケット/ストラップ:ROBERU E-P1ホルダー&ストラップ

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 2005年以降、リコー「GR DIGITAL」をレンジファインダーカメラ風にカスタムするホビーが流行りだした。2009年には、「オリンパス・ペンE-P1」向けにカジュアルなストラップやケースが続々と登場。こうしたトレンドを背景に、デジタルカメラのドレスアップはホビーとして着実に裾野を広げている。その一方で、マイクロフォーサーズ機にオールドレンズを装着するというホビーも過熱気味だ。本コーナーはこうしたコア系カメラホビーに焦点を当て、デジタルカメラを深く楽しむアイディアと具体例を紹介していこう。

 初回はE-P1をベースに、ドレスアップとオールドレンズを同時に楽しむ例をピックアップしてみた。レンズはペンタックス「オート110」用の「ペンタックス110 70mm F2.8」をマウントアダプター経由で装着。ホットシューにはツァイスイコンのターレットファインダーを載せている。このままだといわゆる「クラカメ風」に落ち着いてしまうので、ROBERU製のケース&ストラップでビンテージテイストにふってみた。脱クラカメ風という微妙なさじ加減が、最近の気分だろうか。

 レンズ形状のおもしろさも、このスタイルを特徴づけている。ペンタックス110 70mm F2.8は先端に向けてテーパー状(ラッパ型)になっている。ここに円柱状のレンズフードを付けると、鏡胴にクビレが生まれるのだ。ターレットファインダーの迫力と相まって、アバンギャルドなスタイルに個性が宿る。レンズフードは旭光学の「Super-Takumar 135mm F3.5」用で、レンズ先端(49mm径)に直接ねじ込んでいる。時代こそ異なるが、ペンタックスつながりのスタイルだ。

俯瞰すると、レンズからフードにかけてクビレ具合がよくわかる。ここでは白ボディのE-P1を用いているが、黒ボディのE-P2だとよりシックにおさまるだろうターレットファインダーを135mmフレームにセットして装着。実用的とは言い難いが、見た目の迫力もドレスアップの楽しみだ
E-P1はコンパクトデジタルカメラよりひとまわり大きいので、大柄のターレットファインダーもまずまずのサイズ感で装着できる

 マウントアダプターはRJ Camera製(muk select取り扱い)のオート110アダプターを用いている。実はこのアダプター、ちょっとした弱点がある。レンズ着脱用のロックレバーから、わずかに光線漏れするのだ。試用したところ、レバーに指をそえて撮れば光線漏れはほぼ気にならない。レバーの上からパーマセルテープを貼っておけばより安心だ。弱点があるとはいえ、使いこなしでカバーできる範疇だろう。

ペンタックス110 70mm F2.8は中古カメラ店で5,000~7,000円程度。オールドレンズとしては安価だが、オート110用レンズとしては高価な部類だRJ Camera製のオート110アダプターはmuk selectで4,800円で販売している。ロックレバーから光線漏れするものの、運用で十分にカバーできる
ツァイスイコンのターレットファインダーは、25/35/50/85/135mmの切り替えが可能。価格は製品グレードによるが、2~3万円程度が目安となるROBERUのE-P1ホルダー&ストラップはタンニン染めオイルレザーを使用。ブラウンの他に、ブラック、レッド、グリーンをラインナップし、各1万4,700円だ

 さて、ペンタックス110 70mm F2.8の描写はどうだろう。オート110用レンズはひとつだけ特殊事情がある。オート110はボディ側に絞り機構があるため、マウントアダプター使用時は常時絞り開放での撮影となるのだ。その点を踏まえて作例を見ると、開放撮影のわりにシャープネスはしっかりしている。コントラストは柔らかめだが、オールドレンズらしさを安価に楽しめるレンズといえそうだ。なお、作例はRAWで撮影し、Lightroom2でストレート現像している。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなしのRAW現像画像(JPEG)を別ウィンドウで表示します。
E-P1 / ペンタックス110 70mm F2.8 / 4,032×3,034 / 1/1,600秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 70mmE-P1 / ペンタックス110 70mm F2.8 / 4,032×3,034 / 1/500秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 70mm
E-P1 / ペンタックス110 70mm F2.8 / 4,032×3,034 / 1/800秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 70mmE-P1 / ペンタックス110 70mm F2.8 / 4,032×3,034 / 1/320秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO200 / WB:オート / 70mm
E-P1 / ペンタックス110 70mm F2.8 / 4,032×3,034 / 1/1,600秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 70mmE-P1 / ペンタックス110 70mm F2.8 / 4,032×3,034 / 1/100秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 70mm
E-P1 / ペンタックス110 70mm F2.8 / 4,032×3,034 / 1/3,200秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 70mmE-P1 / ペンタックス110 70mm F2.8 / 4,032×3,034 / 1/320秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 70mm
E-P1 / ペンタックス110 70mm F2.8 / 4,032×3,034 / 1/640秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 70mm


(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。ライター、写真家。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、こだわり派向けのカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」シリーズをはじめ、オールドレンズ関連書籍を多数執筆。http://metalmickey.jp

2010/4/8 16:35