フォトアプリガイド

Vignette(Android)

シンプルかつ使いやすい、定番の老舗カメラアプリ

「Vignette」というカメラアプリがある。Android端末の歴史からすると“古参”アプリのひとつだ。今でこそ純正カメラアプリはサクサクと動くが、2010年前期発売モデルなどは機能的にも動作的にも“まだまだ感”があった。そんな時代から重宝されてきたカメラアプリなのである。

現在でも進化を続けている「Vignette」。今回はそんなカメラアプリ「Vignette」を紹介する。

価格は222円。利用バージョンは2013.10。

「Vignette」の構造はこれでもかというほどシンプル。アプリを起動するとすぐさま撮影モードになり、画面をタップしてシャッター、ロングタッチしてAF&シャッターとなる。

撮影機能アイコンなどは表示されず、画面全体に被写体が表示されるというわけだ。

では、どうやって機能を呼び出すか。メニューの呼び出しは画面上部から下部、あるいは下部から上部へのスワイプによって行なう。

例えば画面上部から下部へのスワイプでは、「Camera」「Flash」「Exposure」「Zoom」という4機能にアクセスできる。「Exposure」「Zoom」はスライダによる調整。「Camera」(Rear camera、Front camera、Video camera)と「Flash」(Off、On、Auto、Torch)は選択式だ。

画面下部から上部へのスワイプでは、いわゆる「撮影モード(Shooting mode)」や「設定(Camera settings)」、「解像度(JPEG file settings)」などの“基本”機能にアクセスできる。

撮影モードで選べるのは「Normal」のほか「Underwater」「Fast shot」「Steady shot」「Self timer」「Time lapse」「Strip」「Grid」「Double」の計9種類。

撮影モードの中で特に変わっているのが「Double」モード。これは撮影した2枚の写真データを重ねる機能で、多重露光写真のような感じで利用できる。

設定では「Focus mode」や「White balance」などを調整できる。Focus modeでは「Autofocus」「Macro」「Infinity」と初期設定の「Hybrid」の4モードが用意されており、White balanceでは初期設定の「Auto」、「Incandescent」「Fluorescent」「Daylight」「Cloudy-daylight」の5種類が利用できる。

「☆」アイコンは「Effect」機能。初期設定では「Random」が選択されており、シャッターを切ると「Filter」と「Frame type」が自動で設定される。

つまり“素”の状態で撮影するのであれば、自動でフィルタ効果やフレームが付加されるのである。

このことから、「Vignette」のカメラアプリとしての立ち位置は“多機能”というよりも“フィルター系”と解釈するのがわかりやすい。

ちなみに「Effect」では、「Random」のほか、「Filter」と「Frame type」の組み合わせであるプリセットが複数登録されている。組み合わせ要素なども確認可能だ。

もちろん、プリセットだけでなく「Filter」と「Frame type」を個別に設定して撮影も可能だ。「Toy camera」「Lens effect」「Cross-process」などにカテゴリ分けされているので、好きな効果を選ぼう。なお、ここでも「Random」が選択できる。

「Filter」や「Frame type」を選択したら、Effectの組み合わせを保存しておこう。保存した組み合わせはプリセットとして登録しておけるので、好きなタイミングで利用可能。「Random」を上手く利用すれば、フレームを固定してフィルター効果だけを撮影ごとに変化させるといったプリセットも作成できる。

細々とした設定が終わったら、後は被写体に対してロングタッチ。これでピントが合い、シャッターが切れる。一応「Macro」モードなどでは「タップ」でもフォーカスが機能するが、些か精度が悪い感じがする。

撮影し終えると、写真をそのまま保存する、あるいは保存せずに閉じるといったメニューが表示される。ここで注目したいのが「Effect...」と「Adjust...」の2つ。

「Effect...」を選ぶと、撮影した写真データに対して再度エフェクトの変更が行なえる。つまり、撮ってみたけれどイメージと違うといった場合にエフェクトだけを撮影後に変更できるわけだ。

「Adjust...」では、「Brightness」や「Contrast」といった要素をスライダーで微調整できる。編集アプリほど細かな調整はできないが、必要十分な編集項目を備えている。

「Vignette」は、日本語メニューに対応していないが、カメラアプリ自体はシンプルなため、さほど困らないハズだ。

「Vignette」の代替アプリとしての役目は、昨今の純正カメラアプリ事情を鑑みるに終えているのだろう。しかし、単純に“フィルター系”カメラアプリとしては実に扱いやすい。これぞというアプリが見つからないなら、操作性、機能性ともに高水準な本アプリはオススメできる。

飯塚直