フォトアプリガイド

Awesome Miniature Pro(Android)

ジオラマ的ボケ効果に特化した画像編集アプリ

 今回紹介するカメラアプリ「Awesome Miniature Pro」は、ボケ効果を手軽に後加工できる画像編集アプリだ。使い方のオフィシャル解説、YouTubeの解説動画など、初めて利用する人向けの解説がシッカリしており、また簡便なインターフェイスを採用していることもあって、操作は難しくない。

 試用したバージョンは「4.5」。価格は400円。

「Awesome Miniature Pro」の起動直後の画面

 まず本アプリは、最大500万画素までの画像データを推奨しており、そういった意味では最新端末の最大解像度にマッチした性能を有していない。アプリを起動し、編集したい画像を選ぶと「画像サイズを選択する」画面が表示され、「最小分解能(640×480)」「標準解像度(1024×768)」「最大解像度(1984×1488)」「超高解像度(2560×1920)」の4つから画像サイズを選択することになる。

画像を選択すると「画像サイズを選択する」画面が表示される。ブログなどにアップするのであれば、「標準解像度」で十分だろう

 表示されたそれぞれのサイズに説明書きがあり、「最小分解能」ではモバイル端末間の転送向け、「標準解像度」がメール・ウェブ掲載向けとなる。また「最大解像度」は“○○に最適”と書かれておらず、処理時間が増える旨の注意が記載されているが、こちらは保存用といったところか。最大サイズの「超高解像度」はβ扱いで、機能の保証がされていない。

 単純に画像編集アプリにおいて解像度制限はデメリットなのだが、スマートフォンでの運用を考えると説明書きにもあるように「標準解像度(1024×768)」もあれば必要十分。編集後の画像データが上書きではないため、実質的なデメリットはないに等しい。そもそも、デジカメで撮影した写真データ用の編集アプリでない限り、本アプリのような制限がかかっているものが多い。無料アプリではさらに顕著だ。

 画面解像度に問題がなければ、アプリとしてはとても使いやすい。まずメインとなるブラーは、画面下部左から3番目の「水滴」アイコンをタップしてアクセスできる。

画面下部の「水滴」アイコンをタップすると「ブラー」や「フィルタ効果」にアクセスできる

 ブラー効果の“形”としては「線」「円」「楕円」の3つが用意され、効果の強度(強弱)が調整できる。また、メイン/サブという2種類の“線”が表示され、その間隔の調整も行なえる。

ブラーの形は「線」「円」「楕円」の3種類

 この「間隔」の調整が実は重要で、メイン線に挟まれた範囲はブラー効果なし、サブ線の外側がもっともブラー効果があり、メイン線とサブ線に挟まれた部分はサブ線の外側よりもブラー効果の影響が少なくなっている。ブラー効果のメリハリがありすぎると画像として違和感がでてしまうので、間隔を調整することでその違和感を打ち消せそうというわけだ。

メイン線とサブ線の間隔も調整可能
ブラー効果の強度(強弱)も調整できる

 ちなみに、編集画面の下部にある「比較」をタップすることで、「Before」画像を表示させられる。タッチ中は元画像を表示し続け、離すと編集中の画像に戻る仕組みなので、手早く確認するのには便利。

「比較」アイコンをタッチすると「Before」画像が表示される。指を離すと元の編集画面に戻る

 ブラー効果を付加したい位置には、編集画面で直接編集ポイントを動かして指定する。「線」「円」は基本的にこれだけだが、「楕円」の場合は編集ポイントの指定だけでなくサイズ・形状変更にも対応する。いわゆるミニチュア写真のような効果を付加したいなら「線」が便利だし、写真の一部だけに付加したいなら「円」が重宝する。「楕円」は「線」「円」の両方を兼ね備えた使い方ができるので、細かくコントロールしたい場合に利用しよう。

「ブラー」と同じ「水滴」アイコンからアクセスできる「フィルタ効果」では、「Vivid」や「Sepia」、「Summer」など30種類のフィルタ効果がプリセットされている。

 効果の強弱も調整可能だ。また、「ブラー」と同様に「比較」アイコンが用意されているので、すぐに効果の掛かり具合を比較できる。

ブラー効果の範囲は、編集画面上に表示された編集ポイントを動かして指定する
サイズ自体は変更できないが円形のブラー効果を与えられる「円」
サイズ・形の変更に対応した「楕円」
「楕円」は自由度が高く、細長くすれば「線」、サイズを調整して“小”「円」といった形状に対応可能だ
「フィルタ効果」では、30種類のプリセットが用意されている。効果の掛かり具合も「強弱」で調整OK
「ブラー」だけでなく、フィルタ効果など他の機能でも「比較」は利用できる

 メインの「ブラー」だけでなく、「露出」「カラー」「ホワイトバランス」といった編集アプリらしい機能も搭載する。

「露出」では「明度」と「対比」(コントラスト)を、「カラー」では「色調」と「彩度」を、「ホワイトバランス」では「色温度」と「色合い」をそれぞれ調整可能だ。

「パレット」アイコンをタップすると、「露出」「カラー」「ホワイトバランス」という3つの機能にアクセスできる

 それぞれの効果は表示されたスライドバーを利用して調整する。比較も利用できるので、編集インタフェースとしては実に簡便で扱いやすい印象だ。ちなみにブラーのように編集画面を直接操作する機能でなければ、直接編集画面をタップしても「Before」画像を表示できる。

「露出」では「明度」と「対比」(コントラスト)が調整できる
「カラー」では「色調」と「彩度」が調整できるが、写真における「色調」調整はマニュアルとオートの2種ほしいところ。簡単に色かぶりを補正できる「色調」だが、はじめて使うと戸惑うかも
「ホワイトバランス」では「色温度」と「色合い」の調整に対応

「フレーム」アイコンをタップすると「ヴィネット」と「フレーム」という2つの効果を追加できる。

「フレーム」アイコンをタップすると「ヴィネット」と「フレーム」にアクセスできる

「ヴィネット」はいわゆる“レンズ周辺光量”を擬似的にコントロールする機能。4つのプリセットが用意され、それぞれに強弱を調整できる。

周辺光量を疑似コントロールできる「ヴィネット」では、4つのプリセットが用意されている

「フレーム」は画像の縁にフレームをアドオンする機能。白、黒のフレームだけでなく、水玉や雪結晶などカラフルな柄も用意されている。調整面では、フレームの太さ(厚さ調整)や円形の調整に対応しているのがポイント。

「フレーム」は使いやすい白・黒のフレームほか、水玉や星、花柄などカラフルなものがある。縁幅や円形の調整にも対応する

 本アプリの扱いやすい点として、画面右上に表示された「アンドゥ」(やり直し)、「リドゥ」(やり直しのやり直し)機能が挙げられる。

画面右上には「アンドゥ」「リドゥ」「リセット」という3つのアイコンが並ぶ

 本アプリの機能を使って調整を行なうと調整ごとに「アンドゥ」に数字が表示され、タップすることで直前の操作をやり直せる。例えば、5つの調整を行なうと「アンドゥ」アイコン上に「5」と表示される。タップすることで直前の操作が「やり直し」となり数字は「4」に減る。また、減ったタイミングで今度は「リドゥ」アイコン上に「1」と表示される。つまり、編集操作を終了しない限り、「アンドゥ」と「リドゥ」を繰り返し(最大10回まで)利用できるわけだ。

「アンドゥ」(やり直し)をタップすると、直前に行った調整をやり直しできる。画像は、5つ行った調整を1つだけやり直した状態なので、「アンドゥ」アイコン上に「4」、「リドゥ」アイコン上に「1」と表示される

 また、表示された画面をタップすると、画像データを選択した時と同じ状態である「オリジナル」画像に切り替わる。

編集画面ではなくても、画面をタップすることでオリジナル画像が表示でき、比較は簡単

 これはいわゆる編集画面の比較と同じ効果だ。編集後の画像データをオリジナルと比較し、編集のやり過ぎで意図した画像と大幅に変わってしまった場合は、「リドゥ」アイコンの右にある「リセット」アイコンをタップすると簡単に元の画像に戻せる。

「リセット」アイコンをタップすると、オリジナル画像、つまり元の写真に戻せる

 ブラー効果の付加機能は、画像編集アプリの多くに搭載されているが、「Awesome Miniature Pro」はメイン機能として力を入れているのが特徴だ。そのため、ブラー効果の強度だけでなく、形状の変更、間隔の調整といった機能に対応しており、コントロールできる幅は広い。

 画像編集アプリとしても、フィルタ効果の付加、露出、カラー、ホワイトバランスの調整といった機能、トリミングや回転といった基本編集機能を備え、汎用性は高い。

 無料版となる「Awesome Miniature - Tilt Shift」が公開されているため、まずはそちらを利用してみるとよいだろう。

飯塚直