写真展告知

「病いと生きる。希望と生きる。写真展 ~まだ見ぬ答えを、生み出す未来へ~」

ハービー・山口さんのモノクロポートレート

写真家のハービー・山口さんが撮影した写真展「病いと生きる。希望と生きる。写真展 ~まだ見ぬ答えを、生み出す未来へ~」が開催中だ。会場はsorama gallery(東京都渋谷区神宮前)。会期は12月17日(日)まで。

病気と向き合う患者やその家族、がんサバイバーや支援者、医療関係者などを被写体とした写真展。さまざまな立場で病気と闘いながら希望を失わずに挑戦している姿や想いを、モノクロのポートレートにメッセージを添えて展示している。一つ一つの写真とメッセージから、医薬品や医療領域における社会課題を多くの人に知ってもらい、共に考えるきっかけを作っていく。

主催は日本製薬工業協会(以下、製薬協)。協力は公益社団法人日本臨床腫瘍学会、一般社団法人日本癌学会、一般社団法人日本癌治療学会、一般社団法人CancerXの4団体。

日本製薬工業協会 会長 上野裕明さん

明日の幸せを祈って

左からハービー・山口さん、半澤絵里奈さん(一般社団法人CancerX)、水田悠子さん(株式会社encyclo)、古川孝広さん(公益社団法人日本臨床腫瘍学会)、上野裕明さん(日本製薬工業協会)

開催初日となる12月12日(火)には、ハービー・山口さんも参加してトークセッションが行われた。

撮影を終えたハービーさんは「使命を持った方々の表情は美しい」と感想を語った。必死に生きている人たち。目的や使命感を持って生きている人たちの美しさ。その人の存在感や、生きている価値を撮りたいと思ったという。

その作品を、“優しい写真”や“あたたかい写真”と多くの人に愛されるハービーさんは、生まれて間もなく脊椎カリエスという病気を患った経験が、今の撮影に生きているのだと話す。つらく、苦しいことも多かった幼少期。十代の終わりころに医師から告げられた言葉によって、はじめて生きる希望を感じた。

ハービーさんの写真のテーマは「生きる希望を撮る」。自身のそうした経験があったからこそ、人々を見る目が養われ、“優しい写真”を撮れるようになったのだとハービーさんは振り返る。

「その人の明日の幸せを祈ってシャッターを切る」

それが“あたたかい写真”を撮るためのテクニックだというハービーさんは、これからも「生きてる限り希望をもって明日のより良い世界を作りたい」と語った。

ハービー・山口さん

公益社団法人日本臨床腫瘍学会に所属する古川孝広さんは、「新薬の開発についてのメッセージを共有できれば」と、本展参加への想いを述べた。日本国内における薬剤の開発環境について、その現状を少しでも多くの人に知ってもらいたいという。

普段は癌研有明病院に勤務する古川さん。「患者が少しでも笑顔になってくれるよう」に今後も努めていくと力強く語った。

公益社団法人日本臨床腫瘍学会所属 癌研有明病院 古川孝広さん

一般社団法人CancerXの半澤絵里奈さんは、医療的な課題と社会的な課題の両方に向き合う必要があると話す。医療の発展に伴い、「治療して治る」という人が増えてくると、そうした人たちがその後の暮らしをどうしていくかという課題が生まれる。薬剤開発、治療、その後のサポートなど、これまではそれらが縦割りだったところにも課題があるとして、そうしたそれぞれの分野を繋いでいくプラットフォームづくりに注力しているという。同団体は、「がんといわれても動揺しない社会」を目指している。

自らも被写体として参加した半澤さん。本展で被写体となった人はそれぞれ立場、価値観、生き方も異なるが、それらがハービーさんの写真によって強く肯定されたように感じたという。

一般社団法人CancerX 半澤絵里奈さん

株式会社encycloの水田悠子さんは、自らも11年前に子宮頸がんを患った経験を持つ。水田さんが立ち上げた「MAEÉ」というブランドは、後遺症を持つ人たちが治療しながらも、人生を前向きに、オシャレや人生を楽しめるようなケア用品を作っている。

「病を経ても、その人らしい生き方やユニークさは失われない」。そのはっとするようなきらめく瞬間を、ハービーさんが切りとってくれたと水田さん。「いろんな形で病と向き合って、いろんな形で希望をもって、すごく彩りあふれるカラフルな世界がモノクロの写真展にあふれていると思う」と写真展についての感想を語ってくれた。

株式会社encyclo 水田悠子さん

写真展概要

開催期間

2023年12月12日(火)~12月17日(日)

開催時間

10時00分~19時00分
※12月17日(日)は17時00分終了予定

会場

sorama gallery
※東京都渋谷区神宮前1-12-6 ドヒビル1階

入場料

無料

sorama gallery