写真展告知

内田耕作写真展:山の造形

(JCIIフォトサロン)

岩とタゲガラス 燕岳 1964年撮影

内田耕作(1908-1993)は、昭和初期から活躍した山岳写真界の先達です。開成中学入学後にベストポケットコダック(ベス単)を手に白馬岳に登り、以降、山とカメラを終生の友とし、北アルプス・燕岳をメインフィールドに多数の作品を残しました。1931年より東京・神楽坂で営んだ喫茶店「RELO」は山岳写真好きが集まる場所となり、1936年に船越好文らとともに創設したカメラ・ハイキング・クラブ(略称CHC。1939年より東京山岳写真会、1948年より日本山岳写真協会)では技術指導も行いました。戦後は、1958年創刊の山岳芸術誌『アルプ』などに作品を発表しています。

今回の展覧会では、燕岳山頂付近の花崗岩郡や木々を造形的に捉えた作品や『アルプ』に発表した作品など、オリジナルプリント79点を展示します。

内田氏は燕岳について「朝夕の光線の作り出す見事な変化や、展開する風景や雲の形や流れを、観賞し、スケッチやカメラによって記録し、或いは描写することもまた楽しい。」(『アルプ』100号 1974年10月)と語っており、風雪に彫りだされた様々な形の岩、雪面上に表れる紋様、ユニークな表情の枯木などを詩的情緒豊に捉えています。氏の手によるオリジナルプリントは、自然の中に美を見出す山岳写真の真髄を表していると言えましょう。

写真展情報

霧氷の岩 燕岳 「アルプ」No.273 1980年11月号

会場

JCIIフォトサロン
東京都千代田区一番町25 JCIIビル 地下1階

開催期間

2020年11月3日(火)~11月29日(日)

開催時間

10時00分~17時00分

休廊

毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)

作者プロフィール

1908年3月26日、東京・神田に生まれる。開成中学卒業後、博文館の写真技師であった叔父の紹介で中国・天津に渡り、報道カメラマンの助手となる。
1928年頃 帰国。
1931年より東京・神楽坂で喫茶店RELOを経営。パーレット同人会会員となり、山とスキーの写真をイタリアなどで開催の国際サロンに応募して入選を重ねる。
1936年に船越好文らとともにカメラ・ハイキング・クラブを創設。
1939年頃より明治生命の保険勧誘員として銀座支店に勤務。
戦後は連合国軍総司令部(GHQ)の写真部員となり、GHQ解散後は明治生命に嘱託カメラマンとして勤務。
1958年創刊の山岳芸術誌『アルプ』に作品を発表し、深田久弥・尾崎喜八・串田孫一・畦地梅太郎ら同人と1962年より刊行の『山のABC』で編集に携わる。晩年は東京・有楽町でカメラ店や喫茶店アルプを経営。
1993年12月28日没。享年85歳。

作品集は串田孫一・畦地梅太郎と共編の『山の組曲』(創文社、1961年)、作品展は内田耕作山岳写真展(横浜・松屋ギャラリー、1972年)など。