写真展告知
角田和夫写真展:哀糸豪竹
2020年1月8日 07:00

写真家とはと、いきなり聞かれたらどう答えるだろうか。写真家とは写真という手段を通じて作家の心の内を表現する表現者をさすのではないか。その表現の奥に潜むものに触れることができたとき、初めて作品を鑑賞したことになる。そのためには表現者に根差すものを理解しなければならない。それには自ずと、作者の生い立ちを遡ることとなる。幼少の頃から対人関係に悩み、就職した職場で上司からのいじめに遭い、世界が苦悩の闇に覆われた。内に閉じこもり、生きているのか死んでいるのか分からない絶望の中、なんとか二十歳を迎えた頃、兄から1台の写真機を手渡された。この写真との出会いがなければ角田和夫は存在していない。カメラは彼にとって、外に出るための魔法の道具だった。暗室作業には膨大な時間とエネルギーがいる。そこには禅にも似た心の安定を感じ、癒された。三十歳の時、愛すべき父の死を経験したことで、写真家として世界に挑戦する覚悟を決める。次々に作品を発表し、「ニューヨーク地下鉄ストーリー」が第11回林忠彦賞に輝いた。ほかに発表した「シベリアへの旅路 我が父への想い」、「土佐深夜日記」、「マニラ深夜日記」もすべてモノクローム作品、すなわち、彼が時間と手間を惜しまず注ぎ込み生み出す渾身の銀塩写真である。今回の展示は、それらのモノクローム作品と合わせて、初めてのカラー作品となる「ゴッホ」によって構成する。ゴッホとは不思議な繋がりがある。彼がアルル国際写真フェスティバルを訪れた時に南仏の光と色に洗礼を受けた。世紀を跨いでゴッホが、南仏で出会った光と色に開眼したのと同じだ。そして不思議にも彼はゴッホの人生と重なるものを感じ、アルルへ再び足を運ぶこととなる。このシリーズはデジタルによる撮影である。今までの暗室作業をパソコンへと変えた。一見して違う作業に見えるが、根底にあるものは一致している。命を懸けた撮影魂と緻密なプリントワークによって紡ぎだされた作品は我が子のように愛おしい。彼にとってプリントとは、実在してくれる生きものなのである。いつ死んでもおかしくない時期に養った繊細な心優しさと、苦しみに耐え抜いて、それでも生き抜くと誓った強烈な意志、角田和夫が持つその両面が写真表現の中で重奏し、世界への慈愛になることを願って、今回の写真展の名前をつけた。彼の愛が滲み出るイメージは、カメラという魔法の道具が奏でる音色である。彼の音楽が皆様の心に届いたとき、初めて『哀糸豪竹』は意味をなす。本写真展は、ゼラチンシルバープリントのモノクロームとピグメントプリントによるカラー作品約40点により構成し、展示作品はすべて販売する。

リコーイメージングスクエア銀座 ギャラリー A.W.P
 東京都中央区銀座5-7-2 三愛ドリームセンター8階 
 
開催期間
 2020年1月22日(水)~2月9日(日) 
 
開催時間
 11時00分~19時00分(入館は18時30分まで/最終日は16時00分まで) 
 
定休日
 火曜日 
 
入場料
 一回入場:税込520円 
 ペンタックスリコーファミリークラブ会員:無料 
作者プロフィール
 1952年生まれ 高知県高知市出身 
 高知県立高知工業高等学校機械科卒 
 大阪写真専門学院卒 
 日本写真作家協会(JPA)会員 
 主な個展歴 
 1988年 
 「満月の夜」 東京銀座コダック・フォトサロン・大阪 御堂筋コダック・フォトサロン 
 1989年 
 「土佐深夜日記」 東京銀座ニコンサロン 
 1993年 
 高知新聞学芸部「元無名兵士の手記から-旧・満州へ-」連載 
 1995年 
 「追憶の旅-旧・満州へ-」 東京銀座フジフォトサロン・プロスペース・大阪マルビル・フジフォトサロン 
 1996年 
 ロシア、タタールスタン共和国撮影取材 
 1997年 
 ロシア、ウドムルト共和国、タタールスタン共和国撮影取材 
 1997年 
 「散歩の風景-私の見たニューヨーク-」 東京新宿コニカプラザ・大阪コニカフォトギャラリー 
 1999年 
 文化庁派遣芸術家在外研修員としてアメリカニューヨーク、ICP (国際写真センター)で研修 
 2001年 
 ロシア沿海州撮影取材 
 「ニューヨーク地下鉄ストーリー」 新宿ニコンサロン 
 2002年 
 ロシアタンボフ州撮影取材 
 第11回林忠彦賞受賞 山口県徳山市美術博物館作品収蔵 
 受賞記念写真展「ニューヨーク地下鉄ストーリー」 徳山展(徳山市美術博物館) 
 ・東京展(京セラ・コンタックスサロン銀座)・東川展(北海道東川町文化ギャラリー) 
 高知県立美術館常設特別展「NO BORDER-2」展 
 写真集、「ニューヨーク地下鉄ストーリー」出版 
 「シベリアへの旅路-我が父への想い」出版 
 2003年 
 高知新聞学芸部「シベリアへの旅路-我が父への想い」連載 
 2004年 
 ロシア沿海州招待撮影 
 「シベリアへの旅路-我が父への想い」 東京銀座コダック・フォトサロン 
 2004年 
 IPA カテゴリー 写真集 2位 
 2005年 
 「ウラジオストック Day Time 」 ロシア、ウラジオストック アルカ・ギャラリー 
 「New York Days, New York Nights」OK HARRIS WORKS OF ART (ニューヨーク) 
 2006年 
 高知県香美市立美術館 宮崎進&角田和夫二人展「シベリアから平和を考える」 
 2007年-2008年 
 土佐フォトギャラリー 高知新聞連載 
 2010年 
 “My Journey to Siberia”  コダックフォトサロン 
 UK-JAPAN ADF AWARD 2010 ファイナリスト 
 2011年 
 New York Offer ARLATINO ギャラリー(アルル、 フランス) 
 2012年 
 パリフォト出品 (ローレンスミラーギャラリー) 
 2013年 
 ローレンスミラー ギャラリー写真展 
 “Notes from Underground: Memories of my Uncle.” 
 AIPAD Photography Show (ニューヨーク)アメリカシカゴ美術館 作品収蔵 
 “Notes from Underground: Memories of my Uncle.” 
 アメリカシカゴ美術館 パーマネント グループ写真展 
 アメリカシカゴ アート 国際写真祭 出品 
 パリフォト2013出品 (エージェント:ローレンスミラーギャラリー) 
 2014年 
 ラサール大学 (フィリピン)School of Design and Arts 教授 
 ロシア、ウラジオストック Vladivostock State University of Economics and servicee 
 Vladivostock State University of Economics and servicee 短期写真講師 
 2015年 
 AIPAD Photography Show (ニューヨーク) 
 パリフォト出品 A Story Of the New York Subway 
 スライドショー Bureau of General Services- Queer Division in NY 
 アメリカシカゴ アート 国際写真祭 出品 
 2016年 
 Black and White Photography magazine 掲載in the UK 
 コンテンポラリー Photography Asian Perspectives 
 AIPAD Photography Show (ニューヨーク) 
 PGH Photo Fair return to the Carnegie Museum of Art 
 マニラ深夜日記  東京銀座 ソニーイメージグギャラリー 
 2017年 
 THE BIG APPLE From Tycoons to Raccoons ローレンスミラーギャラリー 
 CLASSIC PHOTOGRAPHS LOS ANGELLES ローレンスミラーギャラリー 
 2018年 
 AIPAD Photography Show (ニューヨーク) 
 2019年 
 Grace Gender- Race-Identity ローレンスミラーギャラリー 
 The Space Between Curated by Edna Cardinale JUIE SAUL Gallery 
 AIPAD Photography Show (ニューヨーク) 
 パリフォト出品 (ローレンスミラーギャラリー) 
 New York –Night and Day 東京銀座 ソニーイメージングギャラリー