写真展

森田剛史写真展「続 きのくに」

(ニコンサロン)

前回の展示を終え、僕は三人の写真行為が変わっていってしまう、もしかしたらこれで『良い思い出ができた』と終わってしまうかもしれないという不安がありました。

そんな僕の心配は本当にくだらないことで、展示をみた祖父と祖母は「こんなんやったらわたしらも撮ってみたいなぁ」と言いました。

なんて元気なじじいとばばあと思いながら僕は急いでカメラを用意。

じいにはニコンのF3、ばあにはペンタックスの67を渡しました。

三人で旅に出て撮影をするという僕たちのやり方に変わりはないですが、被写体、撮影者、アシスタントという境界が今はありません。

“祖父の肖像と祖父の選んだ土地を写し、和歌山という土地を繋いでいきたい”という思いはまだ見る人に伝わる形ではできていないかもしれません。

それでも撮影から発表というひとつの決着を終え、なお続いているこの写真行為の中間を僕はとても愛しく思っています。

この展示をもって三人の関係にまた一つ楔を打ち、次の展開が始まる。

そんなことを考えて、もういちど写真をおきたいと思います。 (森田剛史)

(以下、写真展キャプションより抜粋)

平成26年8月3日

じいとばあにカメラを渡す。じいにはNIKON F3、ばあにはPENTAX67。

自分たちの写真が展示されているところを見た二人が写真を撮ってみたいと言ったからだ。

平成27年3月14日

「しんどいから写真やめとこ」とじいは言った。初めてのことだった。ちょっとさびしくて一人で歩いた。

平成27年5月16日

ばあから荷物が届く。じいとばあが撮った写真(計58枚。重い!)だった。

その晩ばあからの電話。「このカメラ重いからいやよ~」とのクレーム。

平成27年8月8日

ばあを撮影中「カシャンカシャンカシャンカシャン」とシャッター音4連発。見渡してもじいしか居ない。気のせいかと撮影続行。

後日、F3のフィルムを現像してたまげる。傑作4連写と命名。

続く。

新宿ニコンサロン 2016年6月 - 写真展 - ニコンサロン

会場・スケジュールなど

  • ・会場:新宿ニコンサロン
  • ・住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
  • ・会期:2016年6月28日(火)~7月4日(月)
  • ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

  • ・会場:大阪ニコンサロン
  • ・住所:大阪市北区梅田2-2-2ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13階
  • ・会期:2016年9月15日(木)~9月21日(水)
  • ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

ギャラリートーク

2016年7月2日(土)12時30分~13時30分

作者プロフィール

1990年生まれ。和歌山県和歌山市出身。2013年東京ビジュアルアーツ写真学科卒業。

写真展に、13年「平成24年度東京ビジュアルアーツ写真学科卒業制作優秀作品展」(ニコンサロンbis新宿)、「肖像Ⅰ/planar」(J3gallery) 、14年「キノクニ」(Juna21新宿ニコンサロン、Juna21大阪ニコンサロン)がある。