イベントレポート

「ジャパンバードフェスティバル2025」にカメラ・双眼鏡メーカー各社が参加

野鳥撮影ファンに望遠系・連写系の機材をアピール

ジャパンバードフェスティバル2025

「鳥」をテーマとする国内最大級のイベント「ジャパンバードフェスティバル2025」が、11月1日(土)・2日(日)の2日間、千葉県我孫子市の手賀沼周辺で開催された。

ジャパンバードフェスティバル(略称JBF:Japan Bird Festival)は、2001年から開始し、今回で25回目を迎える鳥関連イベント。6カ所の会場に地方自治体やNPO、市民団体、学校など、約100の団体・企業が参加する。

このうち、光学機器・録音機器メーカーが出展していたのは手賀沼親水広場。手賀沼を見渡せる高台にブースがあり、望遠レンズや双眼鏡、フィールドスコープが今年も並んだ。超望遠レンズやフィールドスコープを実践的な環境で試せるのが、このイベントの魅力でもある。

メーカーによっては写真家によるセミナーや撮影会、レンタルなども行われており、こちらも大盛況だった。

開催前日が雨だったものの、開催日両日はやや曇りで過ごしやすい気候だった。バードウォッチングを楽しむ人も多く、カメラを持参する人以上に双眼鏡を携行している人を多く見かけた。

OM SYSTEM

発売日を11月14日(金)に迎える「OM-1 Mark II 100-400mm II 超望遠レンズキット」や、PROレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」などを展示。

前者のキットに含まれる「OM SYSTEM OM-1 Mark II」は、もともと鳥愛好家からの人気が高く、手に取る人が多かったという。

同じくキット同梱の双眼鏡「8×25 WP II」は、オリンパス時代からある息の長い製品。社名が変わったことでロゴが変更された。比較的小型の製品ということもあり、カメラバッグを背負った状態でも負担無く扱える手軽さから、キットに採用されたそうだ。

11月14日(金)に発売を控えた「OM-1 Mark II 100-400mm II 超望遠レンズキット」
野鳥撮影にオススメだという「OM SYSTEM OM-1 Mark II」と「M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO」の組み合わせ

また、「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」向けに、カモフラージュ柄のレンズカバーを参考出展していた。オンライン限定販売で価格は2万円前後を想定。11月下旬での発売を予定している。

「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」用のレンズカバー(参考出展)。製造は株式会社ユーエヌが担当する

このほか、写真家の中村利和氏や菅原貴徳氏による野鳥撮影会・セミナーなどが開催されていた。

今年から「OM SYSTEMフォトツアー」を積極的に企画しているそうで、直近では、菅原貴徳氏の「OM SYSTEM フォトツアー in 湖北」(12月13日・14日)が予定されている。

菅原貴徳氏が撮影会で講師を務めた
セミナーと撮影会を担当した中村利和氏
セミナーの様子

カールツァイス

今年発売の「SFL50」シリーズ「ZEISS SFL 8×50」「ZEISS SFL 10×50」「ZEISS SFL 12×50」のほか、フィールドスコープ「VICTORY HARPIA 95」「VICTORY HARPIA 85」などを展示していた。

今年発売の「SFL50」シリーズの1つ「ZEISS SFL 10×50」。新製品ともあって、手に取る人が多かった。10倍モデルが人気だった
「ZEISS SFL 12×50」(中央)と他モデルとの比較。50mm口径でありながら、42mm径(左:Victory SF 10×42)よりも全長が短い
フィールドスコープの「VICTORY HARPIA 95」。他社と異なり、カバーが装着された状態で並んでいる

キヤノン

連写やAF性能で定評のあるミラーレスカメラの「EOS R1」「EOS R5 Mark II」に加え、野鳥撮影で人気があるという「RF70-200mm F2.8 L IS USM Z」などを展示していた。

また、例年通り「RF600mm F4 L IS USM」「RF800mm F5.6 L IS USM」などの超望遠レンズを手賀沼に向けて展示。手軽に試せないレンズがすぐに使える状態で並んでいるのは、本イベントならではだろう。

2日目には、野鳥写真家の戸塚学氏によるセミナー「EOS R1×EOS R5 Mark II 野鳥写真を斬る」を実施していた。

野鳥撮影向けのセットを聞いたところ、「EOS R5 Mark II」と「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」をオススメされた。軽く取り回しが良いので、女性でも扱いやすいのが理由だという
今年発売の「EOS R50 V」と「RF24mm F1.4 L VCM」(2024年12月発売)
超望遠レンズ「RF600mm F4 L IS USM」「RF800mm F5.6 L IS USM」「RF1200mm F8 L IS USM」が並ぶ
セミナーで講師を務めた戸塚学氏
セミナーの様子

ケンコー

恒例のアウトレット販売を実施。三脚や双眼鏡など、買ってすぐに使えるアイテムが並んでいた。

一例では、8倍の双眼鏡「Do・Nature 8×22FF」(2024年4月発売)が500円。スリックブランドの「GX-S 6400」(2022年9月発売)が2,000円など、お手頃価格の製品が多かった。

また、サンリオとのコラボ双眼鏡も参考出展していた。詳細については、近日発表とのことだ。

参考出展のサンリオコラボレーション双眼鏡
8倍双眼鏡となっており、重さは143g。詳細は近日発表とのこと
500円で販売されていた8倍の双眼鏡「Do・Nature 8×22FF」
2,000円の三脚「GX-S 6400」。箱潰れなどが安さの要因なので、本体には不具合はない。値頃感のあるものほどすぐになくなっていく……

サイトロン

4月25日発売の「SIGHTRON SIII 1450ED Stabilizer」「SIGHTRON SIII 1850ED Stabilizer」や、10月17日に発売したばかりの「SIGHTRON SV 842 ED SWA」「SIGHTRON SV 1042 ED SWA」を含む野鳥観察向けの双眼鏡を多く取りそろえていた。

会場限定価格での販売も行われており、例えば「SIGHTRON SV 1042 ED SWA」なら14万8,500円が10万7,000円になるなど、かなりお得になっていた。

10月17日発売の「SIGHTRON SV 842 ED SWA」(左)と「SIGHTRON SV 1042 ED SWA」(右)
4月25日発売の「SIGHTRON SIII 1450ED Stabilizer」(左)と「SIGHTRON SIII 1850ED Stabilizer」(右)
限定特価販売も実施。1日目では複数あった製品も2日目昼には大分少なくなっていた
2日目の様子

ソニー

フラッグシップの「α1 II」、グローバルシャッター搭載の「α9 III」という布陣。さらに「FE 300mm F2.8 GM OSS」など、野鳥撮影に活躍する超望遠レンズを出品していた。

現在「野鳥フォト&ムービーコンテスト2025」の作品を12月7日(日)まで募集しており、同コンテストの審査員を務める写真家の山田芳文氏による撮影会やセミナーなども実施していた。

野鳥撮影にオススメの組み合わせだという「α1 II」と「FE 400-800mm F6.3-8 G OSS」
「α9 III」と「FE 400-800mm F6.3-8 G OSS」は、手賀沼方面に向けて固定されており、すぐに試せる状態で置かれていた
撮影会とセミナーの講師を務めた山田芳文氏
セミナーの様子

ティアック株式会社

音を録ることに特化した同社のブースでは、32bitフロート対応の新製品「DR-05XP」「DR-07XP」などが並ぶ。双眼鏡と一緒に持ち歩き、観察しながらきれいな鳴き声を録っておく需要に応えるものだ。

こうした録音機材にも「なるべく軽く」という要望はもちろんあり、小型で難しい操作を必要としない製品が人気という。

2月15日(土)に発売した32bitフロート対応の「DR-07XP」
昨年に引き続き「野鳥録音」の腰幕のおかげで来場者に興味をもってもらえているという

ニコン

ミラーレスカメラの「Z9」「Z8」「Z6III」「Z5 II」を並べたニコン。「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」「NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S」などの超望遠レンズも人気を呼んでいた。実際に手にする人も多く、機材の重さや取り回しのしやすさを確認する姿が見られた。

双眼鏡では「MONARCH」シリーズなど野鳥観察で特に人気のある機種が並んでいた。また、10月31日(金)発売の軽量双眼鏡「遊 4x10D CF」の展示もあった。

おすすめの組み合わせだという「Z6III」と「NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S」
「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」も野鳥撮影向けとのこと
新製品の「Z5 II」と「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S」の組み合わせ
「WX 10x50 IF」をはじめとした双眼鏡も並んでいた
10月31日(金)発売の双眼鏡「遊 4x10D CF」

スワロフスキー オプティック

双眼鏡「NL Pure 10×52」、フィールドスコープ「ATC 17-40×56」などを展示。

「AX VISIO 10×32 JPN」(2024年5月発売)にも注目したい。ファームウェアのアップデートに対応した記録対応双眼鏡。5月に行われたアップデートでは、画像撮影時に自動で鳥にフォーカスしてトリミングする「Bird ID」機能などを搭載。現在でも、約9,000種の鳥類が認識できるなど、進化する双眼鏡となっている。

撮影機能も備えた双眼鏡の「AX VISIO 10×32 JPN」。専用アプリを利用して画像の転送などが可能
AIによる被写体認識機能を備えており、鳥類であれば約9,000種類が判別できるという
小型のフィールドスコープ「ATC 17-40×56」。こちらはスポッティングなどを想定した目立つオレンジカラー

ビクセン

7月10日に発売した最新のフィールドスコープ「ジオマIII ED65 ZOOM」「ジオマIII ED80 ZOOM」を展示。最新モデルということもあり、じっくりと試している人が多かった。

また、双眼鏡では、7月17日(木)に発売の「APEX J HR8×32WP」と「APEX J HR10×32WP」などが並んでいた。

参考出品の製品としては、「アリーナH+」の10倍モデルやコールマンとのコラボレーション双眼鏡などが見られた。

最新のフィールドスコープ「ジオマIII」シリーズ
参考出展のコールマンとのコラボレーション双眼鏡
10×21のコラボ双眼鏡
10×25のコラボ双眼鏡
コラボレーション双眼鏡は確認できただけで全部で3シリーズ
WPモデルの8×25コラボ双眼鏡
「アリーナH+」の10倍モデルも参考出展
7月17日(木)発売の「APEX J HR8×32WP」と「APEX J HR10×32WP」

リコーイメージング(ペンタックス)

11月14日(金)に発売を控えた「PENTAX Papilio III 6.5×21 WR」「PENTAX Papilio III 8.5×21 WR」などを展示。

面白いのは、デジタルカメラ「WG-8」にフィールドスコープ「PF-85EDA」を装着して展示していたこと。3Dプリンターで制作したアダプターでつなげたもので、アダプターは社員が自作したものだ。製品化の目処はないと話すが、遊び方の一例として紹介していた。

このほかにも、クラウドファンディングを経て一般販売を開始した3Way双眼鏡「VD 4×20 WP」(2020年9月発売)なども用意。双眼鏡・単眼鏡(シェアスタイル)・望遠鏡(連結で倍率は16倍)と3役をこなすユニークな製品だ。

フィールドスコープ「PF-85EDA」とデジタルカメラ「WG-8」の組み合わせ
マウントアダプターは3Dプリンターで作成したというハンドメイド品
間もなく発売の「PENTAX Papilio III 6.5×21 WR」「PENTAX Papilio III 8.5×21 WR」
普通に置いておくと気付いてもらえないという3Way双眼鏡の「VD 4×20 WP」。写真は望遠鏡スタイル
飯塚直

パソコン誌&カメラ誌を中心に編集者として活動後、2008年からフリーに転向したフリーランスエディター。商業の大判プリンターから家庭用のインクジェット複合機、スキャナー、デジタルカメラなどのイメージング機器が得意。現在、1児の父。子供を撮影する望遠レンズと、高倍率コンパクトデジタルカメラの可能性を探っている。