イベントレポート

【CP+2019】カメラバッグ編:「高いけどカッコいい」も「手頃で便利」も素晴らしい

3月3日に閉幕した「CP+2019」に展示されていたカメラバッグの中から、筆者が注目した製品を紹介する。Web専売のものや、量販店でもガラスケースの中に入っていて敷居が高く感じられるものでも気軽に手に取れるのが、こうしたリアルイベントの魅力だ。メーカーや販売代理店にとっても、来場者の興味と意見に触れられる大事な機会となっている。

"カッコよさ"への執着心が光る「ヴォータンクラフト」(鈴木)

オリエンタルホビーが取り扱いを始めた台湾ブランド「WOTANCRAFT」がCP+に初登場。肉厚なレザーの迫力、エイジングを施したコーデュラナイロン素材など、質感への異常なほどのコダワリから生まれる佇まいが魅力。

新製品「トゥルーパー」シリーズは2万円〜5万円弱と、既存モデルよりはエントリーしやすい価格帯。写真のアッシュグリーンのほかに、新色のビンテージグレイもある。
フラップはギボシで留めるタイプ。左右2か所の丸い部分に強いマグネットが埋まっており、スリが開けようとしたら気付くだろう。
ストラップ部分にも"ほつれ"加工を施す徹底ぶり。

当初はパネライやロレックスといった腕時計向けの交換バンドを製作していた革工房だったと聞けば、この肉厚レザーの使い方や、カメラバッグにはやりすぎとも言えるほどの細かな質感演出も理解できる。オリエンタルホビーの代表いわく「彼ら(Wotancraft)はとにかく"カッコ良さ"にこだわる」そうで、カメラバッグ好きにとって今回一番の話題はコレだろう。

こちらはバックパック「スナイパー」(税込5万9,400円)。色はビンテージグレイ。
サイドアクセスに対応。フラップ部分にベルクロ式の小物入れなどを付けられる。
男女問わず注目されていた展示コーナー。他のカメラバッグを買ったばかりのようで、「知ってたらこっちを買ったのに!」と天を仰ぐ来場者もいた。気持ちはわかる。

本物のミリタリーとはこのこと「ハザード4」(鈴木)

七洋交産が扱う「HAZARD4」ブランドの製品は、ミリタリー"テイスト"ではなく、本物のミリタリー製品であることが誇り。製品名に"photo"とつくモデルがいくつかあるが、まだカメラ系の販路は持っていないそうだ。

「Photo-Recon - tactical optics sling pack」(税込3万780円)。写真のブラックのほかに、ベージュ系の「コヨーテ」色がある。
身体の前に回して機材を出し入れできる。
この手のミリタリーバッグは用途を想定しきれないため、大きな1気室を付属の中仕切りで好みに区切れるようになっている。カメラ機材を入れるのであれば、望遠レンズ用に縦に大きく使うこともできるだろう。

"不肖・宮嶋"のドンケ(鈴木)

不肖・宮嶋こと報道カメラマンの宮嶋茂樹氏が使用していたドンケが、銀一ブースに飾られていた。今でもJ-1をメインにし、現場によってはF-2やポーチも使うという。その頑丈さゆえに、宮嶋氏が30年間で調達したドンケは「10個あるかないか」だそうだ。

ショルダーストラップをバッグ本体と繋ぐ樹脂パーツは、頑丈なカラビナに交換されていた。

ハクバ「IND2」(インダツー)の機能的インナーケース(鈴木)

ライカ好きには特に有名な、カメラバッグデザイナーの半杭誠一郎氏。現在は自身のブランド「INDUSTRIA」(インダストリア)と並行して、ハクバ写真産業のカメラバッグシリーズ「IND2」(インダツー)も手がける。こちらは国産のINDUSTRIA製品に比べて手頃な価格も魅力だ。

半杭誠一郎氏。
上の写真で手にしている試作品。短辺方向もジッパーで開くため、縦に入れて上側から機材を出し入れすることもできる。今一番の自信作だそうだ。
A100インナーソフトボックス。中仕切りと短辺側が折れるため、バッグ内で箱型に突っ張らないのが快適そうだ。税込2,970円。

aostaシリーズに高機能インナーバッグが登場(宮澤)

株式会社ケンコー・トキナーは、ATESSAシリーズに新しい製品を追加していた。ボディバッグ製品では、ソニーの35mm判フルサイズミラーレスカメラαシリーズとGマスターレンズ(F2.8クラス)の収納向けに開発したという3WAYバッグ。リュックスタイルのほか、ハンドバッグ、ボディバッグとして使える。

スリングタイプの製品は、同じくソニーのフルサイズαシリーズとF4クラスレンズを収納目安に設計したとのことで、コンパクトなつくりが特徴。側面には500mlのペットボトルがきれいに収まるメッシュポケットも装備している。

上側に見える側面のポケット部分に、ペットボトルの収納に対応するメッシュポケットが収納されている。

同じくaostaにインナーバッグのAMALFIシリーズが追加される。底部に肉厚な低反発ポリウレタンを使用したインナーボックス。折りたたみも可能で、高級機の保護向けに開発したとのこと。価格は3,000円前後を見込んでいるという。

蓋の固定にはマグネットを使用しており、余計なでっぱりがなく、かつしっかりと固定できる。厚みももたせていることで、上部に物を重ねて置く収納スタイルにもある程度対応できるとのこと。

蓋の固定部分にはマグネットが仕込まれている。
製品前面には金属プレート製のシリーズロゴが入る。

トラベル用途に発展するピークデザイン(鈴木)

Kickstarter発、いまや誰もが一目置く存在のピークデザイン。今回は既存製品に加えて新しいトラベルラインの製品を用意していた。参考展示のダッフルバッグはWebアンケートによるユーザー投票で仕様を決定。発売済みのトラベルバックパック45Lと同様に、規格化された「キューブ」を使ってカメラ機材や衣類を収める。

中央が参考出品のダッフルバッグ。
内部。トラベルラインの別売品「カメラキューブ」を入れたところ。これがカメラ機材を守る。
バックパックストラップは収納式。
トラベルラインのポーチ類と、小さいタイプのダッフルバッグ(中央左)。

マンフロットの「背負えるローラーバッグ」(鈴木)

同種の既存製品と見比べると、背負いベルトが反対側に付いている。これにより背中に固い面が当たらず、ローラーが服を汚すこともないというのが理由だ。55×35.5×23cmという機内持ち込みを想定したサイズで、TSAロック付き。

「PL ローラーバッグ SWITCH55」(税込5万9,248円)

「ロールトップ」ブーム到来?(鈴木)

エツミの「バックラー ミラーレスバッグ」は、約15×15cmというミニチュア感が可愛らしいロールトップタイプのカメラバッグ。小型ミラーレスカメラと交換レンズ1本程度、もしくは小物を入れたサブバッグとして持ちたい。

エツミ「バックラー ミラーレスバッグ」(税込4,644円)

同じくエツミのブースには、f.64ブランドの参考展示品があった。プロの現場仕様っぽい雰囲気が特徴のf.64ラインナップに、いくぶんカジュアルな出で立ちが目を引く。下部にカメラ機材を入れて、前面もしくは側面からアクセス可能。こうしたロールトップタイプのカメラバッグは、新たな定番スタイルと言えるほど種類を増やしている。

f.64の参考展示品。

新生クランプラーに力を入れる銀一(鈴木)

ロゴも新しくなった。

15年ほど前から、自転車/カメラ/Macが好きな層に人気のあった「クランプラー」(オーストラリア発)。このところ新製品の話題がなかったが、ブランドの所在が変わるなど紆余曲折を経て、ヨーロッパベースの新生カメラバッグ製品群を銀一が取り扱っている。

鮮烈なカラーリング、衣服が傷むほど強いナイロン素材といったかつてのクランプラーのイメージから一新して、同じ「クランプラー」の名前でこそあるものの、純粋に新しいカメラバッグブランドが誕生したと考えればわかりやすい。特に、軽さにこだわったモデルが多く存在するのは個人的に嬉しい。

新生クランプラーのバックパック群。
バッグ下部にLEDライトが備わる「キングピン カメラ ハーフ バックパック」(税込2万5,920円)。押すごとに点灯/点滅が切り替わる。

高級レザーバッグ「オーヴァーバース」が日本上陸(鈴木)

KPIの取り扱いで、ドイツのカメラバッグブランドOberwerthが2017年から販売されている。海外ではライカショップでも取り扱われている製品。10万円近い価格帯からも、質感重視の大人向けであることが感じ取れる。引っ張って開けるタイプの留め金が独特だ。

メッセンジャーバッグ「ウィリアム」(税込10万2,470円)。
13型ノートパソコンも入るサイズ。35mmフルサイズの一眼レフカメラと交換レンズが収まる。
小型の「フランクフルト」(税込8万4,110円)。
上のウィリアムと同様、インナーは赤。35mmフルサイズの一眼レフカメラやミラーレスカメラが1台入るぐらいのサイズ感。

本誌:鈴木誠

本誌:宮澤孝周