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【CP+】645D 2014(仮称)をはじめ盛りだくさんのリコーイメージング
田中希美男氏がステージで新645Dのスペックに迫る
Reported by 関根慎一(2014/2/14 09:07)
CP+2014のリコーイメージングのブースでは、既報の通りPENTAXブランドの新製品として、中判デジタル一眼レフカメラの「PENTAX 645D 2014」(仮称)、中判デジタル一眼レフ用交換レンズ、Qマウント用交換レンズ、フィルム複写用アクセサリーを参考展示していた。いずれも詳しい仕様、発売日、価格は未発表。
PENTAX 645D 2014(仮称)は、イメージセンサーをCCDからCMOSに変更したことをはじめ、ハードウェアを大きく刷新し、レスポンスも向上させたという。
外観上の最も大きな変更点は、液晶モニターをチルト式とした点。参考展示したボディには、ところどころマスキングテープで隠された部分もあった。担当者によると、645Dではプロ・アマチュアを問わず防塵・防滴仕様が好評だったことを踏まえ、「風景だけでなく、色々な用途に使ってもらえるカメラに仕上げたい」としている。発売は2014年春の予定。
645マウントの超広角ズームレンズも参考出品した。AF/MF切替スイッチの他、何らかの機能のON/OFFが選択できるようだ。
Qマウント用交換レンズ「TELEPHOTO MACRO」(仮称)は、単焦点望遠マクロレンズという情報が開示されたのみ。フィルター径40.5mmとの表記が確認できた。
フィルム複写用アクセサリー「フィルムデュプリケーター」(仮称)は、スレーブ発光させたストロボの光で透かしたフィルムを撮影し、複写を行なうシステム。フィルムはマウントとスリーブの両方を使用可能。対応フォーマットは、35mm〜6×9判。
ブース内ではタッチ&トライを中心とした体験型の展示を展開する。PENTAX K-3やPENTAX Q7といった最新機種の試写やレンズ交換が楽しめるほか、望遠レンズで会場内を撮影できるコーナーも設置した。3月7日の発売が決定したKマウントデジタルカメラ用リアコンバーター「HD PENTAX-DA AF REAR CONVERTER 1.4X AW」も試すことができる。
防水・耐衝撃性能を有するRICOH WG-4 GPS/WG-4およびRICOH WG-20のコーナーでは、アクションカメラとしての活用方法を紹介。自転車やサーフボードに装着するためのアタッチメントも併せて展示していた。なお、WG-20と無線LAN内蔵SDHCカード「FLUCARD FOR PENTAX 16GB O-FC1」は2月27日に発売が決まった。
全天球カメラ「RICOH THETA」の体験コーナーでは、ライブのステージに見立てた四角い部屋の壁全面に、観客の写真を配置した。マイクの置かれた部屋の中心からTHETAで室内を撮影することで、さながらロックスターになったかのような写真を撮影できる趣向。
田中希美男氏が新645Dのスペックに迫る
CP+2014初日の2月13日16時より、田中希美男氏のセミナー「スペシャル対談『ペンタックス・リコーの秘密に迫る!』」が開催された。主な内容は、今回参考展示された4つの新製品について、田中氏がリコーイメージングの商品企画担当者に質問し、その回答と現在明らかになっている情報を照らし合わせて、新製品の詳細を「予想」するというもの。聞き手は同社で商品企画を担当する前川泰之氏。
田中氏はそれぞれの新製品について、スペック、価格、発売時期などに関する質問を繰り出していた。
田中氏の「予想」によると、PENTAX 645D 2014(仮称)は、イメージセンサーの画素数が4,000〜5,000万画素、AFセンサーにSAFOX XIを搭載、連続撮影可能コマ数が3枚/秒、最高感度がISO102400もしくは204800、シャッター耐久回数は10万回、USB 3.0に対応。機能面ではライブビューと動画撮影が可能であり、テザー撮影へのデフォルト対応、K-3と同等の多重露光が行なえるというもの。発売は遅くとも4月中であり、価格は100万円以下としていた。
田中氏はライブビューと動画撮影が可能になる根拠として、イメージセンサーがCCDからCMOSに変更されることと、参考展示機で新たに"赤い丸"のボタンが追加されていること、チルト式液晶モニターを新搭載したことを挙げている。
その一方、ISO感度(高感度画質)については、商品化ギリギリのタイミングまで調整を重ねるほどシビアな項目であるとの見解を示した。前川氏もこの点については「どこまでいけるかは、今が頑張りどころだと考えている」と返答していた。
この他、田中氏からは具体的な言及がなかったものの「画質やシャッターに関する面白い機能が搭載される気がする」との発言も残している。
対する前川氏は「現時点でははっきり回答できない」とのコメント。終始、田中氏が述べるほとんどの質問や予想については、肯定も否定もしない流れで進行していた。ただし、いくつかの点については、明確な意向を示す場面があった。
具体的には、イメージセンサーについて「すでに発表されているフェーズワン社のデジタルバックと同じものを使っている」ことを明らかにした。センサーサイズも645Dの44×33mmから変更するが、フォーマットの都合から、大きくは変えないという。
また、現行機のユーザーから多く寄せられた要望のひとつとして「動作・処理・記録の速度向上」を挙げ、この点の改善には力を入れたとコメントした。また、価格についても「リーズナブルにしたい」との意向を示している。
シャッタースピードについての質問には、「1/4,000秒を1/8,000秒にするにはハードルが高い」と回答。手ブレ補正機構SRの搭載については「センサーサイズの関係でセンサーシフトの制御が難しい」とし、Wi-Fiの内蔵については、同社で取り扱う「FLUCARDを利用してほしい」とのスタンスを示した。
中判デジタル一眼レフ用交換レンズについて田中氏は、現在最も画角の広い「smc PENTAX-FA645 33-55mm F4.5 AL」よりもさらに広角なレンズが登場すると予想した。
Qマウント用交換レンズ「TELEPHOTO MACRO」(仮称)については「(独自のルートで)とても性能が良いと聞いた」と話した。前川氏も「開発の間でも話題になっている」と返答。田中氏が価格についても言及したところ「良いレンズは高価になるものです。これが高くなるかはともかく」と言葉を濁していた。
フィルム複写用アクセサリー「フィルムデュプリケーター」(仮称)は、質問というよりは紹介に近い内容となった。田中氏は、蛇腹部分にレンズを固定しないのでどのメーカーのカメラでも使用できる点と、デジタルカメラによるフィルムの複写を通して、メーカーとして「古くから存在している645や67フォーマットのユーザーをカバーしよう」という姿勢を高く評価していた。
東芝のウルトラブック「KIRA」がずらり
ところでリコーイメージングのブースでは、東芝のウルトラブック「dynabook KIRA」が多数並べられている。作例や動画などの表示を行なうためのものだが、カメラのイベントでこの手のウルトラブックが活躍している光景は珍しい。
そもそもKIRAは、13.3型WQHD(2,560×1,440ドット)の高精細液晶を採用。さらに出荷前に1台ずつ色調整を行なうという、モバイル志向のノートPCとしては珍しく表示画質に気を配った製品だ。東芝もアマチュア写真家のモバイル用途としてアピールしているほど。
また、静止画向けの超解像技術「レゾリューションプラス」も利用可能で、特に写真の繊細な箇所をを鮮鋭感高く表示できるという。今回の展示でも、吉村和敏氏の作例でその実力が披露されていた。
リコーイメージング株式会社マーケティング統括部宣伝グループの加納雅記氏によると、ブースでの採用の決め手は、やはり作例表示の品質の高さだという。アマチュア写真家におすすめのウルトラブックとして紹介しているとのことだ。
また、PENTAX K-3の4K対応インターバル動画を紹介するコーナーでも、動画の映像出力にKIRAが用いられている。最初はウルトラブックでの再生表示が心配だったとのことだが、問題なくデモを行なえているという。