ワコム、マルチタッチ対応の液晶ペンタブレット「Cintiq 24HD touch」


 ワコムは、液晶ペンタブレット「Cintiq」(シンティック)シリーズに「Cintiq 24HD touch」と「Cintiq 22HD」を追加し、7月26日に発売する。

Cintiq 24HD touchCintiq 22HD

 Cintiq 24HD touchは、Cintiqシリーズの新たなフラッグシップ機となるモデル。静電結合方式によるマルチタッチに対応した24.1型WUXGAの液晶パネルを搭載する。価格はオープン。直販価格は32万8,000円。

マルチタッチ機能とカラーキャリブレーション対応のCintiq 24HD touch

 1,920×1,200ピクセル、10bit入力に対応するIPS液晶パネルを採用。Adobe RGBカバー率は97%(発売済みの24HDは92%)。水平垂直178度の視野角。LEDバックライトによる細かな輝度調整を特徴とする。

スタンド部パネル両サイドの操作部をCintiq 24HDから継承
設定画面やソフトウェアキーボードを直接呼び出せるボタンも備える設定画面。マルチタッチジェスチャーの設定を利用可能

 カラーキャリブレーションソフト「Wacom Color Calibration」が付属。エックスライトのi1やColor Monkeyを用いたハードウェアキャリブレーションにも対応し、14bitガンマ補正によるなめらかな階調表現を可能としたとしている。作業内容に応じた画質プリセットも設定可能。

 最大輝度は300cd/平方m。コントラスト比は850:1。応答速度は13ms。入力はDVI、アナログRGB、DisplayPortに対応。前面ガラス部分を変更し、映り込みを抑えたという。外形寸法と重量は769.3×463.7×64mm、約28.6kg(スタンド除く)。

 Cintiq 22HDは、新たにフルHD対応となった21.5型モデル。発売済みのCintiq 21UXの後継機種となる。タッチ入力には非対応。直販価格は19万8,000円。

フルHD対応になったCintiq 22HD

 Cintiq 21UXと同様、垂直から30〜80度のチルト機構に加え、左右180度の回転機構を備えるスタンドが付属。LEDバックライトの採用で表面温度を抑えた。新たにOSDなどの各種機能を呼び出すボタンを本体右上に設置。両サイドのボタンおよび背面スクロールパッドは前モデルを継承した。

 輝度は230cd/平方m。シリーズで最も高いコントラスト比1,000:1を特徴とする。応答速度は14ms。入力はDVI、アナログRGBに対応。外形寸法は650×400×55mm(スタンド除く)、重量は約8.5kg(スタンド含む)。

回転機構を備えたスタンドを採用背面
前面両サイドのハードウェアキー背面にスクロールパッドを装備

 都内で行なわれた発表会では、同社ジャパン・アジアパシフィック統括本部 タブレット営業本部 本部長の米嶋貢氏が、2001年に初めて発売したCintiqシリーズの特徴を「紙と鉛筆のように液晶ディスプレイ画面に直接描けることがメリット」と説明。同日発表の2機種が加わり、より多彩なプロのニーズに応えられる製品になったと思っていると述べた。

同社ジャパン・アジアパシフィック統括本部 タブレット営業本部 本部長の米嶋貢氏新しいCintiqのラインナップ

 続く製品紹介では、コンテンツ創造のため、ペン入力を補助するためのマルチタッチ機能を強調。「昨今は多くのマルチタッチ体験ができるようになってきたが、それらはコンテンツを見るためのもので、クリエイターが求めるものは、必ずしもそうではないと考えている」(プロダクトマーケティング部 田中氏)と説明した。

Cintiq 24HD touchのデモ。ペン操作をしながら、マルチタッチで画像を描きやすい角度に回転させるといったデモを行なった同社プロフェッショナル製品ライン。CintiqもIntuos 5と同様にマルチタッチ対応となった

 次にアドビシステムズ マーケティング本部の栃谷宗央氏が登壇。ワコムとアドビシステムズのパートナーシップについて、2社はイラストレーター・デザイナー・フォトグラファーといった「同じお客様」を共有していると述べ、Photoshopユーザーの現場には必ずと言っていいほどIntuosやCintiqがあると語った。

アドビシステムズ マーケティング本部の栃谷宗央氏スポット修復を指先で行なうデモを披露。液晶ペンタブレットならではの操作性をアピールした

 また栃谷氏は、Cintiq 24HD touchを試用して気に入った点として、カラーマネージメント対応、デザインの良さ(注目度の高さ)、マルチタッチジェスチャーを挙げた。マルチタッチの使用感は映画「マイノリティ・レポート」のような気分だったという。

 加えて画像編集に液晶ペンタブレットを使うメリットとして、スポット修復のような細かなゴミ取り作業において、その点を指先でタッチしていくだけでレタッチが行なえる操作性をアピール。色再現性の向上を謳うパネルやカラーマネジメントへの対応については「ディスプレイではAdobe RGBがもはやデフォルト。カラーマネージメント対応も(Cintiqは)プロがターゲットなので必須」とコメントした。

 発表会では説明がなかったが、コーレルは同日「Painter 12」のアップデートプログラムを公開。Intuos 5およびCintiq 24HD touchのマルチタッチ・ジェスチャーのサポート強化が含まれている。




(本誌:鈴木誠)

2012/7/10 15:03