キヤノン、タッチパネル式バリアングル液晶採用の「EOS Kiss X6i」
キヤノンは、エントリークラスのデジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss X6i」を6月下旬に発売する。撮像素子面に位相差AF画素を組み込んだ「ハイブリッドCMOS AF」を採用。ライブビューや動画記録の使い勝手を向上した。
価格はオープン。店頭予想価格は、ボディのみ9万円前後、レンズキット10万円前後、ダブルズームキットおよびSTMレンズキットが13万円前後の見込み。
商品構成 | 付属レンズ | 店頭予想価格 |
ボディのみ | − | 9万円前後 |
レンズキット | EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS II | 10万円前後 |
ダブルズームキット | EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS II EF-S 55-250mm F4-5.6 IS II | 13万円前後 |
STMレンズキット | EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STM | 13万円前後 |
EOS Kiss X6iレンズキット | EOS Kiss X6i STMレンズキット |
2011年3月発売の「EOS Kiss X5」に続くEOS Kissシリーズ最新モデル。撮像素子面に位相差AF用の画素を配した「ハイブリッドCMOS AF」を採用するのが特徴。また、EOS DIGITAL初のタッチパネルモデルでもある。
ユーザーターゲットは、入門者およびファミリー層。引き続き若年層は、下位モデル「EOS Kiss X50」(2011年3月発売)が担当する。EOS Kiss X5は併売される。
製品名に含まれる「i」は、「Integrate」「Inteligent」を意味するという。
撮像素子はAPS-Cサイズ相当のCMOSセンサーで、有効画素数はEOS Kiss X5と同様に1,800万。レンズマウントはキヤノンEFマウントで、引き続きEF-Sレンズにも対応する。
■ライブビューと動画に適した「ハイブリッドCMOS AF」
ハイブリッドCMOS AFは、位相差AF用の画素を搭載した新撮像素子により実現。ライブビュー時や動画記録時に作動する。従来のコントラストAFと撮像素子像面位相差AFを併用することで、ライブビューでのAFを高速化したという。特に、STMレンズキットに含まれる「EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STM」(単体では7万1,400円、6月下旬発売)との組み合わせが有効。
静止画撮影時における具体的な動作は、撮像素子像面位相差AFがおおよその測距を高速に行ない、その後コントラストAFが合焦まで持って行く。コントラストAFのみで測距するより合焦地点を前後するオーバーランが少なく、効率的な測距が可能になる。
ハイブリッドCMOS AFを実装した有効1,800万画素CMOSセンサー | センサーユニット |
また、ライブビューでAIフォーカスとAIサーボが使えるようになった。顔追尾、被写体追尾にも対応する。ライブビューおけるAF方式は、顔認識+追尾優先AF、ライブ多点AF、ライブ1点など。全方式でタッチによるAFフレーム選択が行なえる他、タッチ→合焦→露光を行なう「タッチシャッター」も設定できる。被写体がある程度ピントを外れると、合焦地点の近くまでフォーカス駆動を行なう「コンティニュアス(プリ)AF」も利用可能。
光学ファインダー使用時は、位相差AFのみが働く。測距点はEOS Kiss X5と同じく9点。ただし全点がクロスセンサーになった。全点クロスセンサーは、エントリークラスで唯一。中央1点はF2.8光束に対応している。なお、EOS Kiss X5は中央のみクロスセンサー、中央1点がF2.8対応。
位相差AFセンサー。全9点がクロス測距になった |
動画記録時にハイブリッドCMOS AFを利用することで、「動画サーボAF」が初めて可能になった。動く被写体にピントを合わせ続けるAFモードで、同時発表の「EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STM」および「EF 40mm F2.8 STM」で撮影するとより効力を発揮。静音かつスムーズなAF駆動が可能になるという。STMとはステッピングモーターの略。
「動画サーボAF」が使用可能になった。動画記録中に被写体を追い続ける |
動画関連では他にも、内蔵マイクのステレオ化、録音レベル調整の追加といった強化が行なわれている。ビデオスナップのカメラ内編集も今回から可能になった。
■連写性能が約5コマ/秒に
映像エンジンは、EOS Kiss X5のDIGIC 4から、最新のDIGIC 5に進化した。最高感度はISO12800。感度拡張でISO25600相当での撮影が可能。EOS Kiss X5よりそれぞれ1段ずつ高感度になっている。
映像エンジンに最新のDIGIC 5(右)を採用する |
EOS初のタッチパネルは静電容量式を採用。2本指での拡大縮小といったマルチタッチ操作にも対応している。液晶モニターには、タッチパネルの電極を光学弾性体で挟んだ「クリアビュー液晶II」を採用。低反射で明るい外光下でも見やすいという。
ほぼすべてのインターフェイスがタッチパネル操作に対応。場面によってはマルチタッチ操作も行なえる |
連写性能も引き上げられた。EOS Kiss X5は約3.7コマ/秒だったが、EOS Kiss X6iは約5コマ/秒を実現。連写性能を活かし、「手持ち夜景」、「HDR逆光補正」、「マルチショットノイズ低減」といった連写合成系の機能が追加されている。そのうち「手持ち夜景」と「HDR逆光補正」は、モードダイヤルに置かれている。
シーン自動認識の「シーンインテリジェントオート」も継承。クリエイティブフィルターには「油彩風」と「水彩風」が追加され、計7種類になった。
メニュー表示言語には、日本語と英語に加え、簡体字中国語が用意される。EOS-1D X、EOS 5D Mark IIIに続く採用。
外観はEOS Kiss X5とほぼ同じ。記録メディアはSDXC/SDHC/SDメモリーカードを使用。UHS-Iもサポートする。GPSレシーバー「GP-E2」にも対応する。
EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STMを装着 |
EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STMを装着 | EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STMを装着 |
EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS IIを装着 |
EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS IIを装着 | EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS IIを装着 |
バッテリーグリップ「BG-E8」(1万6,000円)を使用可能。EOS Kiss X5とEOS Kiss X4と共用できる | GPSレシーバー「GP-E2」(2万5,000円)にも対応する。APS-C機では初 |
「スピードライト270EX II」(1万7,000円)との組み合わせ例 | 「スピードライト320EX」(2万5,000円)を装着 |
■主な仕様
製品名 | EOS Kiss X6i | EOS Kiss X5 | EOS Kiss X50 |
撮像素子サイズ | APS-C相当 (約22.3×14.9mm) | APS-C相当 (約22×14.7mm) | |
有効画素数 | 約1,800万 | 約1,220万 | |
感度設定(拡張含む) | ISO100〜25600 | ISO100〜12800 | ISO100〜6400 |
液晶モニター | バリアングル式 ワイド3型 約104万ドット | 2.7型 約23万ドット | |
タッチパネル | ○ | − | |
ファインダー視野率 | 約95% | ||
ファインダー倍率 | 約0.85倍 | 約0.8倍 | |
アイポイント | 約19mm | 約21mm | |
最高シャッター速度 | 1/4,000秒 | ||
連続撮影速度 | 約5コマ/秒 | 約3.7コマ/秒 | 約3コマ/秒 |
ライブビューAF | ハイブリッドCMOS AF | コントラストAF | |
動画圧縮方式 | H.264 | ||
最大動画記録サイズ | 1,920×1,080 (30p/25p/24p) | 1,280×720 (30p/25p) | |
GPS(GP-E2)対応 | ○ | − | |
撮影可能枚数(常温) | 約440枚 | 約700枚 | |
クリエイティブフィルター | ○ | − | |
幅 | 約133.1mm | 約129.9mm | |
高さ | 約99.8mm | 約99.5mm | 約99.7mm |
奥行 | 約78.8mm | 約79.7mm | 約77.9mm |
質量 | 約575g | 約570g | 約495g |
※質量はバッテリー、記録メディアを含む
2012/6/8 14:00