受賞出版記念 樋口健二写真展「原発崩壊」(オリンパスギャラリー東京)


原発の最大のアキレス腱ともいうべき原発下請け(協力企業ではない)労働者の放射線被曝の実態は現代日本の闇である。原発が生み出す被曝労働者もすでに50万人に達する。原発が差別の上に成り立っているのは、下請け、孫請け、ひ孫請け、人出業(親方制度)という重構造の前近代的労働形態が示す通りである。その上賃金のピンハネが二重の差別を生み出す。放射線うずまく原発内は危険な労働が待ち受けている。すべて底辺労働者にまわされ、彼らは日常的に被曝しているが、事故、故障時や年1回行われる定検では、1日1500人以上の人海戦術労働で被曝が最も多い。推進側はマスコミを動員して「安全でクリーン」「次を担うエネルギー」「CO2を出さない」「平和利用」だと「原発安全神話」を国民に信じ込ませて来た。さらに近代科学の粋を集めた結晶などと持ち上げ、コンピュータ操作で原発を動かしているかの錯覚を与えてきた。だが、東日本大地震で安全神話はもろくも崩壊した。放射能禍で被曝した労働者が注目を集めたが、私は38年間、告発してきた。原発は地域社会はいうに及ばず、生活、文化まで今回の原発崩壊で象徴化した。私は原発建設から、崩される風土、反原発運動、核燃料輸送、原発被曝労働者、原発下請け労働者、東海村JOC臨界事故、福島原発崩壊を写真で記録した。
その集大成の写真展としたい。
(写真展情報より)

  • 名称:受賞出版記念 樋口健二写真展「原発崩壊」
  • 会場:オリンパスギャラリー東京
  • 住所:東京都千代田区神田小川町1-3-1 NBF小川町ビル
  • 開催日:2012年4月12日~2012年4月18日
  • 時間:10時~18時(最終日は15時まで)
  • 休館:日、祝日

(本誌:武石修)

2012/3/29 00:00