ニッコールクラブ「大自然に抱かれた最果ての地、極東ロシア・サハリン」撮影ツアー作品展(ニコンサロンbis新宿)


本展は、今年7月14日から19日のスケジュールで実施された「大自然に抱かれた最果ての地、極東ロシア・サハリン」撮影ツアーへの参加者と、ニッコールクラブ顧問・海野和男、スタッフの合同写真展である。
極東ロシア・サハリンは、かつては「樺太」と呼ばれ、多くの日本人が暮していたところである。近年では北部のエネルギー開発などの産業が盛んだが、いわゆる観光開発はほとんどされておらず、まさしく手付かずの原風景や素朴な人々の素顔がそこにあった。
広大な原野が続く中をサハリン鉄道が走り、ツアーではその鉄道に乗車して、列車内でモデル撮影やスナップ撮影を行った。また、様々な草花が咲き誇る州植物群特別保護区でネイチャーフォトに挑戦し、ロシア伝統の家庭菜園付き別送“ダーチャ”群や小さな集落を訪れて、地元の人々とふれあいながらのスナップ撮影は、参加者も印象深かったと思う。
日本時代に建築された遺構が数多く残されており、神社跡や製紙工場跡など特別許可を得ての撮影もあった。海岸には廃船等も残されており、彼の地ならではの風景も大変魅力的であった。
ツアー参加者の中にはサハリンで生まれ育ち、66年前にコルサコフ港から日本本土に渡られた方もいて、66年ぶりに訪問した生まれ故郷、僅かな記憶を頼りにその生家のあった場所をツアー参加者の協力で探しだすことができたことは、意義ある出来事であった。
かつて宮沢賢治が、亡くなった最愛の妹の魂の行方を求めて行き着いたのが樺太(サハリン)だった。当時の樺太鉄道(サハリン鉄道)に乗って北を目指した賢治、その旅の経験が代表作『銀河鉄道の夜』のモチーフになったと言われている。
サハリンは、たしかに風土は厳しく、風景は少し寂しげだが、人々は親切で温かく、陽気でとても魅力的な笑顔が印象的であったように、一般のツアーとは異なる特別なツアーの良さを余すところなく写真で表現した作品を展示する。
(写真展情報より)

  • 名称:ニッコールクラブ「大自然に抱かれた最果ての地、極東ロシア・サハリン」撮影ツアー作品展
  • 会場:ニコンサロンbis新宿
  • 住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
  • 会期:2011年11月8日~2011年11月14日
  • 時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • 休館:会期中無休


(本誌:鈴木誠)

2011/10/24 13:46