稲守敏朗写真展「蘭の島・ボルネオ」(ペンタックスフォーラム)


雨がやみ、差し込む光が陽と陰の世界をつくり出す。木々も大地もエメラルド色の苔で覆われ、踏み込むたびに新しい世界がひろがる。
「空気がかたい」。
私は密林に踏み入るなり、しっとりと穏やかに包み込む空気に堅さを感じる不思議な感覚におそわれた。そして、体の奥底からわき起こる興奮を密かに感じていた。森の中は、未知の謎に包まれたいきもの達が今も進化しながら生きている。なかでも、密林の奥深くひっそり息づくランの姿は神秘性に包まれ艶やかで美しく、魅惑的な精気を漂わせている。
ランという花は面白い植物だ。自ら変身し、他とは異なった能力を身に着ける事で分布域を広げてきた。現在、原種のランは世界中で2万5千種から3万種にもおよび、その数は毎年増え続けている。私は、場所、季節を変え、密林の中に入り込んでいった。ひたすら歩き続ける私に、ランの花々はいつも違った姿、形で現れた。
以来、私のボルネオ熱帯雨林の旅が始まった。
稲守 敏朗
(写真展情報より作者コメントを引用)

  • 名称:稲守敏朗写真展「蘭の島・ボルネオ」
  • 会場:ペンタックスフォーラム
  • 住所:東京都新宿区西新宿1-25-1新宿センタービルMB(中地下1階)ペンタックススクエア内
  • 会期:2011年11月2日~2011年11月14日
  • 時間:10時30分~18時30分(最終日16時まで)
  • 休館:火曜日

(本誌:鈴木誠)

2011/10/19 17:04