シグマ、「SD1」を正式発表。実売70万円

~センサーを23.5×15.7mmに大型化

 シグマは、X3ダイレクトイメージセンサーを搭載したデジタル一眼レフカメラ「SD1」を6月10日に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は70万円前後の見込み。

 シグマがフォトキナ2010で開発発表したデジタル一眼レフカメラ。今回が正式発表となる。従来機「SD15」(2010年6月発売)から撮像素子を一新、そのほか画像処理エンジンを強化するなど、大幅なスペックアップに成功している。

 撮像素子は、APS-Cサイズ相当のX3ダイレクトイメージセンサー。SD15までのものと異なり、サイズが20.7×13.8mmから23.5×15.7mmへと大判化している。それに伴い、実撮影画角はレンズ表記の約1.7倍から約1.5倍(いずれも35mm判換算)になった。

 また、撮像素子の有効画素数が約1,406万(2,652×1,768×3)から約4,600万(4,800×3,200×3)に増加したのも特徴。X3ダイレクトイメージセンサーは、RGB全色を3層で取り込むため、原理的に偽色や偽解像が発生しないといわれる。そのため、一般的なベイヤー配列の撮像素子と異なり、解像度低下の原因の一つとなるローパスフィルターを必要としない。画像の細密さや立体感について、高い評価を得ているのはそのためだ。ただし表記方法の関係から、記録画素数は有効画素数表記の3分の1となる。例えばSD15の記録画素数は、ベイヤー配列の撮像素子相当の表記で約468万画素。この数値だけで性能を単純に比較できないものの、ベイヤー勢の画素数が増加する中、X3ダイレクトイメージセンサーはSD14(2006年発売)の頃から変化がなく、不満に思う声もユーザーから上がっていた。SD1ではこれを約1,536万画素相当にまで増加。X3ダイレクトイメージセンサーのメリットを守りつつ、現在のベイヤー配列センサーの画素数に近づいたことになる。

 画像処理エンジンは、SD15などで採用例のある「TRUE II」を2つ搭載する「デュアルTRUE II」に進化。従来より高速処理が可能になり、シリーズ初のRAW+JPEG同時記録が可能になった。また、バッファメモリーにクラス最高のDDR IIIを採用するのも特徴。RAWファイルで最大7枚の連続撮影が可能になったという。

 位相差AFセンサーも強化。十字配置の5点測距タイプから、11点ツインクロスセンサーになった。各ラインの位相をずらした千鳥は位置を縦横に構成し、AF精度の向上を図ったという。

 シャッターは10万回の作動耐久性能を検証。最高シャッター速度は、SD15までの1/4,000秒から1/8,000秒に引き上げられた。ミラー駆動とシャッターチャージのそれぞれを専用モーターで駆動させる2モーターシステムを採用する。連写性能はフル解像度で5枚/秒。

 レンズマウントはシグマSAマウントを採用。引き続き、マウント部分に光学ガラスによるシールド機構「ダストプロテクター」を備える。ファインダーはペンタプリズム。視野率は約98%。

 バッテリーは、SD15などと共用のリチウムイオン充電池のBP-21。UDMA対応のCFスロットを搭載する。

 ボディはマグネシウム合金。ボタン類や接合部をOリングなどでシーリングした防塵・防滴仕様となっている。

 オプションとして、バッテリーグリップ「PG-31」(発売日・価格未定)などを用意する。ケーブリレリーズ「CR-21」(3,150円)、リモートコントローラー「RS-31」(2,625円)は引き続き使用できる。


主な仕様

製品名SD1SD15(参考)
撮像素子X3ダイレクトイメージセンサー(CMOS)
撮像素子サイズ23.5×15.7mm20.7×13.8mm
有効画素数約4,600万
(4,800×3,200×3)
約1,406万
(2,652×1,768×3)
画像処理エンジンデュアルTRUE IITRUE II
感度ISO100-6400ISO50-3200
(拡張含む)
ファインダー視野率約98%
ファインダー倍率約0.95倍約0.9倍
アイポイント18mm
AF測距点11点5点
測光分割数77
シャッター速度30-1/8,000秒
バルブ
30-1/4,000秒
バルブ
液晶モニター3型約46万ドット
記録メディアCFSDHC/SD/MMC
145.5mm144.0mm
高さ113.5mm107.3mm
奥行き80.0mm80.5mm
重量(電池除く)700g680g

【2011年5月22日】 「X3ダイレクトイメージセンサーはSD9(2002年10月発売)の頃から変化がなく」を「X3ダイレクトイメージセンサーはSD14(2006年発売)の頃から変化がなく」に修正しました。



(本誌:折本幸治)

2011/5/20 16:16