韓国フォトイベント「PHOTO & IMAGING 2011」体験レポート


 フォトイベント「PHOTO & IMAGING 2011」(2011ソウル国際写真映像機資材展、Seoul Int'l PHOTO & IMAGING Industry Show 2011)が、韓国・ソウルのCOEX(コエックス)センター内ホールAで4月21日から24日まで行なわれた。

「PHOTO & IMAGING 2011」の会場入り口

 PHOTO & IMAGING 2011は、1989年の初開催から2011年で20回目を迎えるという写真映像産業の展示会。主な出展アイテムは、カメラ、現像機、スタジオ機材、ソフトウェア、アルバム、衣装など。イベントWebサイトでは「アジア最大の国際写真映像展」としている。

 主催は株式会社Coex、韓国光学機器協会(KOIA)、韓国写真機材協会(KPIMA)。後援は韓国知識経済部、SLRCLUB、大韓写真映像新聞、米プロ写真家協会(PPA)。スポンサーにはサムスンの名前があった。会場面積はCP+2011(パシフィコ横浜展示ホール)の半分ほど。出展規模は117社563ブース。

 入場料は5,000ウォン(約500円)だが、Webサイトからの事前登録および店頭などで配布している招待券の持参で無料。筆者は事前登録などを行なっていなかったが、「日本のカメラ誌なのでレポートしたい」との旨を受付で伝えたところ、入場パスを無料で発行してくれた。

 本誌では日本カメラメーカーのブースを中心に、最終日(24日)の模様をお伝えする。なお、日本のデジタル一眼レフカメラメーカーではソニーとペンタックスの出展が見当たらなかった。

発行されたのは一般来場者向けのVISITORパスだったが、ひとまず取材許可を得た昼時を過ぎても入場者の列は途切れなかった

 オリンパスブースは、マイクロフォーサーズのペンシリーズおよびコンパクトデジタルカメラ「XZ-1」を中心に撮影体験コーナーなどを用意。ブース面積も広く、複数のステージでモデルによるショーを行ない、多くの来場者が詰めかけていた。

オリンパスブースステージにはモデルのほかにDJもいた
Tough TGシリーズの防水デモひときわ盛り上がっていたステージの様子

 キヤノンブースは、望遠レンズ体験コーナーや暗い照明の部屋での高感度撮影体験コーナーといった「CP+」でもお馴染みの内容を中心に展示を行なっていた。モデルウォーキング以外ではレンズ体験コーナーが盛況だったが、プリンターのコーナーにも人だかりができていたのが印象的だった。

キヤノンブースEOS 1100D(EOS Kiss X50)には日本未発売のメタリックブラウンカラーが
日本でもお馴染みの望遠レンズ体験コーナープリンターにも高い関心が集まっていた

 現地企業であるサムスンは、レンズ交換式デジタルカメラ「NX」シリーズを中心としたブース展示を実施。自分撮り用液晶モニターを備えるコンパクトデジタルカメラなど、特徴的な機能をアピールする展示も用意していた。いずれも日本未発売だが、個性的なモデルが多く興味をひかれた。

サムスンブースNX11(ホワイト)
新製品体験コーナーだが、みな自前機材でモデルを撮影していた前面に構図確認用モニターを備えたコンパクトデジタルカメラ

 ニコンブースは、会場周辺でキヤノン、ソニーと並んで多くのユーザーを見かけた同社デジタル一眼レフカメラを中心にアピール。会場近くにはCOOLPIX P300の車体広告を施した路線バスも走っていた。若者向けと思しきポップなイメージをエントリー機からプロ機まで統一して展開していたのが特徴的で、日本市場とはアピールの方向性が多少異なるようだ。

ニコンブースメインステージの様子
デジタル一眼レフカメラの展示コーナー展示していたアクセサリー類も、日本と異なるデザインの製品がほとんど

 パナソニックブースは、現行製品のタッチ&トライをメインとした展開。会場周辺の同社交通広告ではEVF非搭載のマイクロフォーサーズカメラ「DMC-GF2」をメインとしたものが多かった。コンパクトデジタルカメラは、同社に限らずコンバージョンレンズやクリップオンストロボなどのオプションを取り付けた状態での展示が目立ち、日本国内のイベントとはコンセプトに違いを感じた。

パナソニックブース日本未発売カラーの「LUMIX DMC-LX5」
タッチ&トライコーナーの様子レンズラインナップを一堂に展示

 シグマのブースでは、CP+2011の実機デモが話題となったデジタル一眼レフカメラ「SD1」などの展示は見当たらず、交換レンズの撮影体験に絞った展開のようだった。来場者が持参したカメラボディを「APO 200-500mm F2.8/400-1000mm F5.6 EX DG」などに装着し試していた。

シグマブース撮影体験コーナー

 タムロンブースは、「18-270mm F3.5-6.3 Di VC II PZD」や「SP AF 17-50mm F2.8 XR Di II VC」などのレンズ体験コーナーを用意。各社ブースの交換レンズ体験コーナーはレンズ本体のみ置かれていることがほとんどで、来場者はカメラボディを持参しているのが前提となっているようだった。

タムロンブース各種交換レンズを試せるコーナー

 そのほかにもアクセサリーメーカーなど、多くの出展があり賑わいを見せていた。以下にその一部を紹介する。

2010年に低価格レンズが日本でも話題となったサムヤンのブース。同社交換レンズのほか、シンクタンクフォト、クランプラーのカメラバッグも置かれていた
フォトクラムのブース。日本では近代インターナショナルが取り扱っているシルイの展示(国内取り扱いは常盤写真用品)
サンディスクのブースも盛況ソニーエリクソンもAndroid端末のXperia arcをメインに出展
会場では照明機材などスタジオ関連の展示も多く見られた
アルバムなどプリント写真にまつわる展示が多かったのも印象的。こちらはフォトフレームを主に展示するブース衣装も展示している
一眼レフカメラ用のカラフルなシリコンカバーDiCAPacの防水ケース
NARUMTECHのリモート撮影機材。ワイヤレスでライブビュー撮影などが行なえる

 会場のCOEXセンターは、江南(カンナム)の地下鉄2号線「三成」(サムソン)駅から連絡通路で直結している。イベント会場の地下には面積が東京ドームの約3倍というショッピングモール「COEX MALL」(コエックスモール)があり、アクセスのよさもあってか常に賑わっていた。

 筆者は初めての韓国だったため普段との違いはわからなかったが、地下のショッピングモールでもフルサイズ機やプロ用デジタル一眼レフカメラを手に歩く男性や、アパレルショップの女性店員に声をかけ撮影する女性グループといった光景を見かけた。いずれも年齢層は20代が中心と見られ、イベントに集うカメラファンの中心年齢層は日本より若いという印象を受けた。

 韓国のカメラ市場は、日本のカメラ量販店などでも最近よく見かけるように、デザイン性を意識した韓国製アクセサリーが豊富という印象だった。しかし、会場付近で見かけたカメラユーザーの多くはミラーレス機も含め、メーカー純正ストラップを装着している割合が高かったように思う。いわゆるプロストラップは見かけなかった。カメラバッグはリュックタイプが人気のようだ。

 また、イベント会場内で印象的だったのは、ステージ前にタッチ&トライコーナーを設けるブースにおいて、自前機材でモデルを撮影する来場者の人だかりで肝心の製品に近づけない状況が多々あった点。出展企業によってはモデルが登場するステージを複数用意しており、ブースの賑わいもそれに比例しているようだった。

 会場外の場所でも、自動車の展示スペースなどモデルが立っているところには同イベントに訪れたと見られる人々が詰めかけており、韓国カメラファンの熱気を感じる大変興味深いひとときだった。

COEX内の別ホールでは写真関連イベントを同時開催。アジア初の写真専門アートフェアという「SEOUL PHOTO 2011」(左)と、オリンパスの「Photo Exhibition」(右)の開催を確認した
おそらくフォトイベントとは関係のない展示だが、カメラを手に人々が詰めかけていた

(本誌:鈴木誠)

2011/4/26 00:00