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主要な編集アプリを横断して自動化できる「Adobe Firefly AI アシスタント」

言葉による写真検索やレイヤーを「すっきりさせる」機能なども

Adobe Firefly AI アシスタント

アドビは4月28日(火)、複数のアドビ製アプリを横断して作業を自動化できる「Adobe Firefly AI アシスタント」を発表した。パブリックベータ版として公開され、対象となるユーザーは無料で利用できる。

エージェントAIとして「Adobe Photoshop」「Adobe Lightroom」「Adobe Premiere」などのアプリを横断し、テキストのプロンプトで指示するだけで様々な編集作業を自動で実行してくれる。

また、PhotoshopやLightroomのアップデートも行われている。すでに機能が公開されている「オブジェクトを回転」や「Firefly Image 5」に加え、操作性を向上させる新機能がPhotoshopに追加。Lightroomも検索機能を大幅に向上させるなどのアップデートが行われている。

アプリ横断で作業を自動化

新たにパブリックベータ版として提供される「Adobe Firefly AI アシスタント」は、ユーザーが実現したい内容をチャットインタフェースに入力することで、自動トーン補正、生成塗りつぶし、背景削除、ベクター化など、アドビ製品に搭載された60種類以上の機能をエージェントAIが活用して実行する。単一のアプリ内で処理するだけでなく、Creative Cloudの複数アプリにまたがって実行される。

アシスタントには「クリエイティブスキル」と呼ばれる機能ライブラリが用意されている。これは写真のバッチ編集、ムードボードの作成、人物写真のレタッチ、各SNSプラットフォームに特化した投稿バリエーションの生成、製品モックアップのデザインなど、テンプレートとして簡単に利用できるようになっている。

例えば「写真のバッチ編集」では、複数の画像をまとめてチャット欄にアップロードして実行するだけで、アシスタントが写真を解析し、すべての写真に対して適用するプリセットを提案。提案に対してはテキストで別の作業を指示することも可能で、「自動カラー補正を適用し、コントラストを均一にして、ノイズ低減をする」などといった指示もできる。

他にも、ロゴとパッケージの画像をアップロードし、「ロゴをパッケージ上に自然に配置する」と指示するだけで、サイズ、位置合わせ、照明や遠近感の調整が施されたモックアップを生成するといった作業も自動化できる。作成されたデータはCreative Cloudストレージに直接保存され、PhotoshopやIllustratorなどの他のアプリからシームレスにアクセスし、作業を継続できる。

AIアシスタントが実行するステップでは、常にどのような作業を行うかが表示されており、ユーザーが内容を確認できるようになっている。また、途中で質問や提案が行われるため、その都度修正や微調整なども行える設計となっている。

アドビは、さらなる新機能を開発中であり、今後も随時アップデートを行っていくとしている。

「Nano Banana」もPhotoshopから利用可能に

Photoshopデスクトップ版(バージョン27.6)のアップデートでは、主に生成AIの精度向上と操作性の改善が実施された。新機能「オブジェクトを回転」は、すでに以前の記事でも紹介したもの。

元の画像データを活かしたまま、オブジェクトを自然な形で回転・傾斜させ、別の視点から再構成できる機能で、製品版として提供される。

「オブジェクトを回転」機能

搭載されている生成AIモデルも「Firefly Image 5」へとアップデートした。「被写体の向きだけをテキスト指示で変更する」といった作業や、画像全体に対するスタイルの変更なども可能。従来のFireflyは選択範囲への要素の追加・置換といった部分的な編集に強みがあったが、Firefly Image 5では、画像全体のスタイル変更や整形が可能になったとしている。

生成AIのパートナーモデルとの連携が強化され、「参照画像」を使った生成機能も導入されている。Googleの「Gemini 2.5 / 3.0(Nano Banana)」および「Gemini 3.1(Nano Banana 2)」、Black Forest Labsの「FLUX Kontext Pro」「FLUX.2 Pro」といったサードパーティ製モデルを利用した画像生成がPhotoshop内で直接可能となった。

操作性の面では、「レイヤーのクリーンナップ」機能が新たに追加された。これは、レイヤーが増えて複雑になった場合に整理できる機能で、不要な空白のレイヤーを削除したり、レイヤーの名前を内容に合わせて自動変更したりすることで、より分かりやすくレイヤーを管理できるようになる。チームでの共同作業や長期プロジェクトにおけるデータ整理の手間を省き、制作そのものに集中できる環境を支えるとしている。

レイヤーのクリーンナップでは、空のレイヤーの自動削除や名称の自動変更などが可能

Lightroomは「写真を言葉で」検索可能に

Lightroomのアップデートにおいては、写真編集のワークフローを効率化する改善が行われた。検索機能が高度化され、探したい写真の内容を言葉で指定するだけで目的の画像を見つけることが可能となった。

ノスタルジックな表現やトーンの調整を直感的に行える「フィルム風プリセット」も追加。スライダーで適用量をコントロールしながら画像に適用できる。さらに、AIが写真の選別をサポートする「アシスト付きセレクト(Assisted Culling)」の高速化や、スライダー操作の体感速度向上といったパフォーマンス改善が図られており、大量のデータを扱うユーザーの作業負担が軽減される。

フィルム風プリセット

「Adobe Firefly AI アシスタント」のパブリックベータ版は全世界で順次提供が開始され、対象となるのは「Adobe Creative Cloud Pro」または「Adobe Firefly 有料プラン(Pro、Pro Plus、プレミアム)」の利用者。対象ユーザーにはベータ版期間中、専用の生成AIクレジットが毎日無料で付与される仕組みとなっている。

PhotoshopとLightroomの各種新機能については、最新バージョンへアップデートすれば利用可能になる。

小山安博

某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、スマートフォン、キャッシュレスなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプで、「世界最小・最軽量」が大好物。たいてい何か新しいものを欲しがっている。