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【発表会レポート】往年のフォルムに現代らしい機能も
ターレット式AFレンズのインスタントカメラ「Polaroid Flip」
2025年5月29日 11:08
VISTAL VISIONは5月22日(木)、Polaroidのインスタントカメラ「Polaroid Flip」の発表会を新宿 北村写真機店で開催した。ここではその模様をお伝えする。
既報の通り、Polaroid Flipは往年のフリップ式ポラロイドカメラをモチーフにしたモデル。価格は3万9,800円となっている。カラーはホワイトとブラック。発売は5月16日(金)。
4レンズ切り換え式でシャープな描写
かつてのポラロイド600シリーズなどにインスパイアされたというポラロイドカメラらしいデザインながら、最新のテクノロジーを投入したという1台になっている。
現在のポラロイドブランドのカメラで開閉機構を持つフリップ式は初めて。フリップに電源が連動しているので、開けるとすぐに撮影状態になる。加えて、閉じることでレンズや距離センサーといったパーツを保護するカバーの役割も果たすのがフリップ式の大きなメリットになっている。
USB Type-C端子で充電して使用する。そのため600フィルムに加えてバッテリーを内蔵していないi-Typeフィルムも使用可能だ。
ハードウェア開発全体を統括しているWilliam Duffy氏は、「ポラロイドは常にイノベーションを追求してきました。ポラロイドカメラを開発したエドウィン・ランド氏のビジョンは技術を簡易化し消費者が使いやすいものにすることでした。現代のポラロイドでもこの考えを引き継いでいます。過去の製品のインスピレーションを取り入れつつ現代風に展開しました」とPolaroid Flipを紹介した。
William氏によると、現代はスマートフォンで簡単に写真を撮ることに消費者が慣れていることから、Polaroid Flipの開発では使いやすいシンプルなカメラを目指したという。
シンプルということでは入門機として「Polaroid Go」があるが、むしろPolaroid Flipは最上位モデル「Polaroid I-2」の要素や信頼性を加えた上位モデルと説明されており、Polaroid I-2のすぐ下という位置付けになっている。
上位モデルということでターレット式のAFレンズを搭載。このカメラで最も使われるであろうという近距離に多くのレンズを割り振った設計になっている。
会場ではモデル撮影を試すことができた。写りはインスタントカメラから想像されるものよりもシャープで、バストアップだとまつげまでくっきり写っているレベルだった。
AFでは測距に超音波センサーを採用している。現代ではこうしたセンサーを採用するカメラはあまりないが、今回パーツの機構設計とソフトウェアの調整で誤動作を防いだ理想的なセンサー動作が実現できたとのこと。
またストロボの強化もトピックだ。William氏は、「インスタントカメラではスマホなどに比べて多くの光を必要とすることから重要なポイント」だとした。光量を増したことで室内や暗所でもユーザーが心配せずに写せるようになったという。
製品名の”Flip”は可動機構のことだが、William氏によると撮影時に気をつけるポイントの意味も込められているそうだ。
Fはフラッシュを焚くかどうか考える。lはライトで、光の当たり方を考える。iはイマジネーションで、撮りたい写真のイメージを膨らませる。pはパララックス(視差)で、近接撮影ではファインダーの像を少しずらす。「アナログカメラを楽しむ4つの視点がこっそり隠れているんです」とWilliam氏。
アプリでマニュアル撮影も
発表会ではフォトグラファーのHayashi Kosuke氏とAkio Nakai氏が作品を披露し使用感などを語った。
Hayashi Kosuke氏:「普段ストリートスナップを撮ることが多く、スローシャッターをよく使います。Polaroid Flipはアプリと連携してシャッタースピードなどを全部マニュアルで設定できます。ポラロイドカメラでもこうしたスローシャッターの表現ができるということです」
Akio Nakai氏:「アプリを使えばストロボの強さを細かく調整できるので、夜に地明かりを生かした撮影もできます。それから、多重露光はアプリを使わないでできるのがすごいですね。素晴らしいのでぜひ試してみてください」
また会場にはPolaroid Goの新色となるパープルの展示もあった。5月22日から1万6,880円で販売されている。