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富士フイルム新製品発表イベントレポート

X-Pro2やX70などが並ぶ プロサービスの開始も

FUJIFILM Xシリーズは5周年を迎えた

富士フイルムは1月15日、デジタルカメラ「Xシリーズ」の誕生5周年を記念するイベントを開催し、デジタルカメラやレンズの新製品を発表した。ここでは、併せて行われたメディア向け説明会の模様も含めてお伝えする。各カメラの詳細は記事中のリンク先を参照されたい。

「プロサービス」を4月に開始

富士フイルム 常務取締役 光学・電子映像事業部 事業部長の高橋通氏は、デジカメ市場が減少するようになって時間が経つが、まだ減少が止まらない理由を、「スマートフォンの利用が高まったこともあるが、本質的には魅力的なカメラが少なくなっているのが真の原因ではないかと考えている。昔のカメラは持ち運びやすく操作もシンプルで、撮影だけに集中できるものだった。その点が、これまでのホビイストにとっては大きな妨げになっている」と説明。(高橋通氏の高は本来異なる字ですが、環境によって表示されないため、高で代用しています)

デジカメ市場は縮小を続けている

また、撮影後の現像処理などが撮影者にとって大きな負担になっていると指摘。後から手を加えなくても良いカメラを目指すとした。Xシリーズではこうした妨げを取り除くと述べた。

Xシリーズはデジカメ市場が縮小するなか、売上は上昇している。「こうしたシンプルな考え方が、理解されたものと考えている」(高橋氏)と述べた。

FUJIFILM X-T1は一眼レフカメラに比べて1kg軽い。そのぶん、ビール2本を持って行けるという海外カメラマンの声を紹介した
市場需要とは逆に、Xシリーズの販売金額は上昇を続けている
Xシリーズのターゲット

また、日本で4月からプロフェッショナルサービスを開始することを明らかにした。海外でも順次実施する。詳細は未定だが、修理時の代替品の提供なども行うとのことだ。

FUJIFILM X-Pro2

FUJIFILM X-Pro1の後継モデル。新型センサーやファインダーの一新など大きく進化した。(関連記事

ファインダーに視度補正機能が付いた
デュアルスロットを採用。1番はUHS-IIに対応する
構成パーツ

世界唯一となるアドバンストハイブリッドマルチビューファインダーは、撮影範囲の外側も見ることができるため、スナップ撮影など被写体の動きが予想できない場合に有効という。また左目で被写体を直接見ることができるのも被写体とのコミュニケーションに役立つとした。

センサーは新開発のX-Trans CMOS III。これまでのアルミ配線から銅配線にしたことで読み出し速度が向上。レスポンスが高まった他、ノイズの低減やAFの高速化ももたらした。

読み出し速度も大きく高速化した
X-Trans CMOS III
信号増幅も改善し、ノイズを抑えている
モアレを出さずにベイヤーの2,400万画素以上の解像力があるとした
解像力やS/Nは他社のフルサイズ3,600万画素機に近いとのグラフも示した

新画像処理エンジンも新型のX-Processor Proとなり、処理能力が従来の4倍となった。こちらも高画質化とレスポンスの高速化に寄与している。

デザイン面では、シルエットや基本的なダイヤル配置は継承した。特徴的な上面の斜め肩は、構えたときに自然と脇がしまって安定するという。

画像処理エンジンの進化ポイント
シャッターでは静音化も見直した

ファインダーは変倍式を採用しながらも、X-100Tと同じくNDフィルターを使用してファインダー右下にライブビューを表示する方式に対応。2つの像のズレでピントを合わせるデジタルスプリットイメージは、これまでのモノクロからカラーになった。

EVF表示ではフレームレートが最高85fpsと高速化している
光学ファインダー時に、小窓にライブビューを表示可能
デジタルスプリットイメージはカラーになった
各レンズの写る範囲を表示できるようになり、次に交換するレンズの画角を事前に確認できる
新たに像面位相差AFが加わった。トラッキングAFなども可能

同社のモノクロフィルムACROSがフィルムシミュレーションモードに加わった。従来のモノクロモードよりも中間調のコントラストは高くする一方、シャドー部の質感は粘るようにした。また、グレインエフェクトも新搭載。適用すると写真に立体感が生まれるという。いずれもX-Processor Pro固有の機能のため、発売済み機種にファームウェアアップデートで追加することはできない。

フィルムシミュレーションにACROSが加わった
ACROS時のトーンカーブ
グレイン機能も新搭載。強度は2段階から選べる
パワーマネジメントモードは3種類
往年の銀塩カメラのようにシャッターダイヤル内部にISOダイヤルを内蔵した。また、露出補正ダイヤルをCにすると、フロントコマンドダイヤルで±5段の補正が可能になる
背面には8方向のフォーカスレバーが付いた
ボディの4面がマグネシウム外装となっている
メニューデザインはイラストでわかりやすくなったほか、8行化してページ送りを少なくした
会場にはX-Pro2で撮影した6畳大のプリントも展示

なお、同社ではかねて“ダブルフラッグシップ”の戦略をとっている。すなわちX-Pro2は、ハイブリッドビューファインダーが得意とする写真を撮る人向けのフラッグシップ機となる。一方EVFが得意とする写真を撮る人向けには、X-T1がフラッグシップ機となる。

FUJIFILM X-E2S

FUJIFILM X-E2のマイナーチェンジモデル。要望が高かったアップグレードを行った。

動画に強いAFを採用したほか拡張感度をISO51200に広げた。また、シーン自動認識SRオートのダイレクトボタンを装備するなどした。ボディはほぼ前モデルと同じだが、グリップの形状改善などを施している。

なお、X-E2Sの機能をX-E2で利用するためのファームウェアを2月4日に公開する。全27項目で感度拡張やダイレクトボタンの機能などを除くほとんどの機能がX-E2Sと同等になる。

FUJIFILM X70

APS-Cセンサーと28mm相当F2.8レンズを搭載するコンパクトデジタルカメラ。(関連記事

オプションの外付けファインダーを装着したところ

「スナップや風景に最適な焦点距離」(同社)という。フォーカスリングは、AF時は別の機能に自動的に変更され、デジタルテレコンバーターなどが割り当てられる。任意の機能を割り当てることも可能。

レンズ構成図
開放F2.8に抑えたことで画質も向上しているという
コントロールリングの機能
各種アクセサリーも用意する
FUJIFILM X100との比較

フジノンレンズXF100-400mm F4.5-5.6 R LM OIS WR

35mm判換算の焦点距離が152-609mm相当となる超望遠レンズ。(関連記事

EDレンズを6枚試用して色収差の低減を図った。解像力に影響を及ぼす軸上色収差と倍率色収差の双方を補正している。スポーツ撮影なども想定しているとのこと。

リニアモーターを使って高速化したフォーカスユニット
5段分の効果という手ブレ補正ユニット
レンズ構成
MTF曲線

EF-X500

同社のストロボで最大となるガイドナンバー50(ISO100・m)のクリップオンストロボ。本製品のみ開発発表で、発売時期などは未定。1/8,000秒で同調可能(FP発光)なほかワイヤレス機能にも対応する。(関連記事

EF-X500の特徴

(本誌:武石修)