リコー、「GR DIGITAL IV」の新製品発表会を開催

〜「ホワイトエディション」の実機写真を掲載

 リコーは15日、同日発表したコンパクトデジタルカメラ「GR DIGITAL IV」の新製品発表会を都内で開催した。GR DIGITAL IVの詳細は、リコー、手ブレ補正を搭載した「GR DIGITAL IV」をご覧頂きたい。

「最強のストリートスナップカメラ」と確信

 リコーパーソナルマルチメディアカンパニープレジデントの湯浅一弘氏は、最新モデルのGR DIGITAL IVもこれまでの同シリーズと同様、「基本性能重視への回帰」を踏襲すると強調。「世界中の写真を愛する人に使ってほしい」という思いを述べた。

リコーパーソナルマルチメディアカンパニープレジデントの湯浅一弘氏

 湯浅氏はGR DIGITALシリーズについて、「常に使える、プロも使える道具を意識している。高画質と携帯性を兼ね備え、そうでないものはGR DIGITALではないと社内で決め、死守している」と話した。これらを最新モデルでも踏襲し、さらに進化させていくという。

GR DIGITALシリーズの開発思想シリーズの系譜

 同日、GR DIGITAL IIIの機能拡張ファームウェア第5弾の公開も予告。一部はGR DIGITAL IVで搭載する機能をGR DIGITAL IIIにも反映するものだといい、「手持ちのカメラが古くさくなっていくことを避けたい」という思いでやっていると湯浅氏は話す。一方「新製品はぜひ買っていただきたいが」とも補足し、会場の笑いを誘った。

GR DIGITAL IIIの機能拡張ファームウェア第5弾公開を予告

 GR DIGITAL IVのコンセプトは、基本的に従来のGR DIGITALシリーズを踏襲。「最強のストリートスナップカメラ」にしたいと考えており、また最強であると固く確信しているという。湯浅氏は「驕った言い方かもしれないが」と前置きした上で、「GRの代わりはGRにしかできない。そうでなければいけない」と意気込みを語った。

GR DIGITAL IVの開発コンセプト
GR DIGITAL IV
背面操作部をGR DIGITAL III(右)と比較グリップの形状もわずかに変更した(右:GR DIGITAL III)
新アクセサリーのメタルレンズキャップを付けたところ。電源ボタンをロックする機能を持つ

最強を裏付ける進化ポイント

 続いてリコーパーソナルマルチメディアカンパニーICS設計室長の阪口知弘氏が登壇。新製品のポイントを説明した。

リコーパーソナルマルチメディアカンパニーICS設計室長の阪口知弘氏

 GR DIGITAL IVはレンズや撮像素子をGR DIGITAL IIIから継承しつつ、光学フィルターや画像処理の最適化によりSFR特性を向上したという。また、GR DIGITAL IIIではややマゼンタ寄りとなることもあったカラーバランスや、ホワイトバランスも見直した。

画像処理の最適化で解像感を高めたという。中域のレスポンスに差が見て取れる色再現性も向上したとしている

 GR ENGINE IVの採用により、高感度撮影時の色ノイズも低減。GR DIGITAL IIIではのっぺりした部分の色ノイズが目立っていたが、GR DIGITAL IVではかなり改善したという。高輝度側の色再現も改善した。

GR ENGINE IVのノイズ低減階調特性も向上したという

 AF速度・精度の向上も進化ポイントとする。初代GR DIGITALまで搭載されていた外部AFセンサーが復活し、コントラストAFと組み合わせた「ハイブリッドAF」での合焦時間はGR DIGITAL III比で最大1/2に短縮。距離固定のスナップ撮影時に外部AF測距を使用すると、合焦速度は約0.1秒という。

速写性能を向上。AF合焦時間を短縮した外部AFセンサーが復活

 GR DIGITAL IVでは、独自開発のパッシブAFセンサーを採用。2つのCMOSセンサーを用いて三角測距を行なう。初代GR DIGITALは汎用センサーを使用し7点での測距だったが、GR DIGITAL IVに採用するセンサーは最大190ポイントでの測距という。

 また、手ブレ補正機構をGR DIGITALシリーズで初搭載。レイアウト設計やシミュレーションを行ない、画質が犠牲にならないことを確認し、採用に至ったという。

3.2段分という効果の手ブレ補正機構

 そのほか、撮影設定の拡充や、業界初という「インターバル合成モード」の搭載もトピック。白飛び・黒潰れを抑える「ダイナミックレンジ補正」は1枚の画像から処理を行なうもので、通常撮影とほぼ変わりなく使用できるとしていた。

撮影設定を拡充。最大5コマの多重露光撮影が可能になった星景写真向けのインターバル合成モードを新搭載
ダイナミックレンジ補正を搭載。通常撮影とほぼ使い勝手が変わらないという電子水準器はアオリ方向にも対応。1つのインジケーターで2軸を表示する

 カスタマイズサービスも引き続き実施。レンズ鏡筒の表記をブラック仕上げとする「レンズネームリング交換サービス」(2,100円)、シャッターボタンの重さを微調整する「シャッターボタンアジャストサービス」(3,150円)、複数台のGR DIGITAL IVでAE/AWBの個体差を近づける「AE/AWBアジャストサービス」(4,200円)を用意する。

 また、GR DIGITAL IVでは新たに「グリップ交換サービス」を数量限定で実施する。グリップをカーボン調、木目調、レザー調の樹脂製グリップに交換でき、価格は5,775円。これまでのカスタマイズ同様、リコーカメラサービスセンターで受け付ける。

カーボン調木目調
レザー調

全世界1万台の「ホワイトエディション」

 発表会では続いて、湯浅氏が再び登壇。「最後にもうひとつご報告がある」といい、ホワイトボディの「GR DIGITAL IVホワイトエディション」を披露した。全世界1万台限定で、発売のタイミングは通常モデルと同じく10月中旬。本体のほか、同色のキャップやストラップも付属する。店頭予想価格は通常モデルの8万円前後に対し、8万5,000円前後としている。

GR DIGITAL IVホワイトエディションを発表ポケットからホワイトエディションのGR DIGITAL IVを取り出した湯浅氏
化粧箱も白い

 新製品の発表に伴い、各種プロモーションも告知。RING CUBEへの先行展示、東京・大阪での先行体験イベントのほか、期間限定スペシャルサイトの「GR Festa!」などを用意しているという。詳細は関連記事を参照されたい。

東京・大阪での先行体験イベントや、フォトコンテスト、モニターキャンペーン、Twitterキャンペーンなどを実施する
15日の夕方からRING CUBEにGR DIGITAL IVを展示するというTwiterキャンペーン「GRカー」の模型と見られるミニカーも会場にあった

 発表会の質疑応答で湯浅氏は、10月1日付けでリコーがHOYAからペンタックスのデジタルカメラ事業譲渡を受けることによるGR DIGITALシリーズへの影響を問われ、「具体的な話はできないが、GR DIGITAL IVはすでに量産に入っているから変わらない」、「GR DIGITAL Vの時にどうなるかは議論・想定もできていない」と話した。

 また、レンズ交換可能なGR DIGITALの予定については「今のところ全く考えていない」とコメントした。



(本誌:鈴木誠)

2011/9/15 19:12