マキイマサルファインアーツ、「建築系ラジオとその仲間たち 画像建築展」


 マキイマサルファインアーツは、「建築系ラジオとその仲間たち 画像建築展」を1月19日に開催する。

同展のフライヤー

 建築と画像(写真)の関係をテーマとした、1日だけの企画展。参加者の1人である糸崎公朗氏は建築写真を立体化した「フォトモ」、路上の建築を撮影した「反-反写真」のシリーズを出展する。なお、同日は14時~15時30分にシンポジウムとラジオ収録を行なう。テーマは「画像になった建築/画像しか無い建築」。また16時~18時に親睦会も実施する(会費:2,000円)。

建築を写真に撮ろうとすると、写らない。写らないという意味は、肉眼で、その建築の内部や外部を見ている時の実感が、写真のファインダーを通してみると見えないないのです。それは写真のレンズが単眼であることや、視野が狭いことがあるのです。
写真というものが持つ特性は、何も建築を撮影する時にだけ起きるのではないのですが、建築においては特に意識されるように思います。それでも建築は写真に撮られているし、写真を通して私たちは多くの建築を体験することになるのです。
絵画でも写真に写らないものがあって、実物を見ないと絵画に対する判断を間違えるのです。が、にもかかわらずアンドレマルローの「空想の美術館」の指摘のように、《近代》のモダンペインティングというのは、実は画集として流通する印刷美術であったのです。つまり実際の作品は原画に過ぎなくて、私たちの絵画鑑賞の大半は、印刷絵画によるものだったのです。実は建築においても、建築写真という画像が流通することで大きな影響を持った時代であったのです。つまりベンヤミンが指摘したように複製建築の時代が《近代》であったのです。
建築はものであるので、実物よりも写真や画像としての建築だけがあればよいという、建造されない建築(アンビルドの建築)の考え方は愚かなもののはずです。しかしアンビルドの建築は,実は生産性を持ってきたように思います。必要なのは実物の建築ではなくて、建築の画像だけなのだとする考えは、まったくの「さかしま」であるにもかかわらず、奇妙な真実を指し示しているように私には思えます。実際アンビルドの試行の面を抜きにしては、建築の歴史は無かったのです。画像だけの建築は、制作費は安いのですが、だからといって簡単という訳でもないのです。実用建築とは、画像建築はどこかで何かが根本的に違うのです。それは何なのでしょうか?
(本展企画責任者 彦坂尚嘉氏のコメントより引用)

 参加者は以下の通り(順不同)。

 五十嵐太郎氏(建築史、建築批評、東北大学教授)、南泰裕氏(建築家、国士舘大学理工学部准教授)、北川啓介氏(建築家、国立大学法人名古屋工業大学大学院工学研究科准教授)松田達氏(建築家、京都造形芸術大学・桑沢デザイン研究所非常勤講師)、大西麻貴氏(東京大学大学大学院博士課程藤井明研究室所属)、大西麻貴氏+百田有希氏共同主宰、彦坂尚嘉氏(美術家、立教大学大学院特任教授)、糸崎公朗氏(写真家、美術家)、高橋堅氏(建築家、東京理科大学非常勤講師)、後藤充氏(写真家)、エサシトモコ氏(彫刻家)、大木裕之氏(映像作家)、鵜飼悠氏(写真家)、菅野英人氏(写真家)、建築設計ユニットStudio@(建築設計事務所、上海)、Cubit Studio Inc.(建築設計事務所、横浜)、中川晋介氏(アニメ作家、美術家)、栃原比比奈氏(美術家)。

  • 名称:「建築系ラジオとその仲間たち 画像建築展」
  • 会場:マキイマサルファインアーツ
  • 住所:東京都台東区浅草橋1-7-7
  • 会期:2011年1月19日
  • 時間:11時~18時



(本誌:武石修)

2011/1/14 15:04