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Lマウントフルサイズシネマカメラ「Blackmagic Cinema Camera 6K」が国内初披露

iPhone用のプロ向け無料カメラアプリも

Blackmagic Cinema Camera 6K(EVFはオプション。以下同)

Blackmagic Designは、同社初のLマウント対応シネマカメラ「Blackmagic Cinema Camera 6K」(以下BMCC6K)を都内で開催したイベント「Blackmagic Day」で国内初披露した。

会場は東京・渋谷の「LUSH HUB」

Blackmagic Dayは10月12日・13日に行われ(12日は招待制)、BMCC6KのほかiPhone用カメラアプリ「Blackmagic Camera」などの新製品が展示された。

多くの来場者で賑わった
BMCC6Kのほか高級ラインのURSAシリーズも展示
撮影体験コーナーの様子

国内初お披露目の「Blackmagic Cinema Camera 6K」

目玉となるBMCC6Kは9月15日に発表された新機種で、国内では10月13日に税込41万9,800円で発売。同社で初めてとなる35mmフルサイズセンサー搭載機で、Lマウントの採用も初のモデルとなっている。

イメージセンサーの全域を使った撮影(オープンゲート)で、最大6K(6,048×4,032)、36fpsの撮影に対応している。これまで同社のカメラはスーパー35やマイクロフォーサーズといったセンサーサイズを採用していたが、市場からの要望が多かったためフルサイズセンサーを採用したという。

解像度が6Kまであると4Kに仕上げる際にトリミングできたり、手ブレ補正で周囲が切れても画質の劣化無く4K映像を作れる余裕があることから、6K対応カメラは業界で増えつつある。なおBMCC6Kは4K記録であれば60fpsの撮影も可能となっている。

レンズマウントは電子接点付きのLマウントを採用しており、シグマ、パナソニック、ライカなどのLマウントレンズを使用可能。ワンショット(シングル)のみになるが、対応レンズであればAFも可能となっている。

Blackmagic Designは自社でレンズをリリースしていないため、今回はアライアンスとして規格が利用できることからLマウントを選んだとのこと。また、マウントアダプターを使うことで、キヤノンEFマウントやシネマ用のPLマウントレンズも利用可能としている。

マウント部分

Blackmagic Designのシネマカメラは「Blackmagic RAW」と呼ばれる独自のRAW形式で記録できるのも特徴となっている。写真のRAW形式と同様に、編集時に大幅な露出や色の変更をしても破綻が起きにくい。

RAW形式では16bitで収録でき、13ストップのダイナミックレンジがある。また他社ミラーレスカメラでも採用例があるが、基準感度を2つ持つ「デュアルゲインISO」機能があるので高感度でもノイズが少ないという。

外観はこれまでの「Blackmagic Pocket Cinema Camera」シリーズを継承したもので、シネマカメラというよりもスチルカメラに近い。背面には5インチのタッチモニターが付いており、角度をチルトすることもできる。

カメラマークのボタンはスチルのシャッター。2,460万画素でRAWの静止画を記録可能
5インチの背面モニター

本体にファンを内蔵しており、気温40℃までであれば発熱で停止すること無く撮影ができるという。ボディの上面と底面にファンの通気口がある。

底面。通気口もある

左側面のインターフェースはフルサイズのHDMI端子、ミニXLRの音声端子×2、ロック付きの電源端子など充実している。

インターフェース部

本体内での記録先としては、従来のSDカードやCFast 2.0が廃止され、CFexpress Type Bになった(シングルスロット)。動作検証済みの推奨メディアを同社で公開している。またこれまで通り、USB Type-C接続のSSDに直接記録することも可能となっている。

カードスロットは右側面にある
オプションの外付けEVF「Blackmagic Pocket Cinema Camera Pro EVF」はチルト式

バッテリーは「NP-F570」タイプを採用。オプションでNP-F570が2本入るバッテリーグリップ「Blackmagic Pocket Camera Battery Pro Grip」を使うと、本体と合わせて計3本のバッテリーで運用できる。

同梱のバッテリーは3,350mAhで、これまでのLP-E6系よりも大容量
オプションのバッテリーグリップ
バッテリーグリップは内部を引き出してバッテリーを入れるタイプ
バッテリーグリップを装着したところ

撮影画面などは従来モデルを踏襲しており、日本語にも対応している。撮影時はRGB別のヒストグラムなども表示できる。

撮影体験コーナーのセッティング
撮影時の画面

収録形式は従来のApple ProResが非対応となり、RAW形式のみとなった。なお、プロキシファイルの同時生成が可能となっており、こちらはH.264形式で保存される。

収録設定のメニュー画面
記録先はCFexpressと外付けSSDから選べる
LUTの設定画面。カメラの色処理は最新の第5世代が採用されている

会場にはシグマのLマウントレンズのほか、キヤノン、シグマ、ライカのPLマウントレンズが用意されていた。

会場に用意されたレンズの一部
SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Artの装着例
同上
SIGMA 85mm F1.4 DG DN | Artの装着例
キヤノンSumire Prime CN-E35mm T1.5 FP Xの装着例(PLマウント。マウントアダプター使用)

iOSアプリ「Blackmagic Camera」

「Blackmagic Camera」も9月15日に発表されたもので、iPhone対応の無料カメラアプリとなる。すでに配信が始まっている。Android版のリリースは未定。

同社シネマカメラと同じようなインターフェースで撮影ができるアプリとなっており、AFにも対応するが露出などはマニュアルでの撮影がしやすく作られている。

撮影画面
同社のカメラ同様、シーンナンバーなどのメタデータも入力できる

4K、60fpsなどの記録に対応し、最新のiPhoneであればProResやApple Logでの記録も可能など本格的な撮影に対応している。

コーデックの設定画面
HDRのカラースペースなども設定可能
LUTファイルの読込や適用にも対応している

Blackmagic Designがサービスを行っている「Blackmagic Cloud」に対応しており、iPhoneの撮影データをすぐにアップロードできる。Blackmagic Cloudの有料サービスを使うと多人数で素材を共有して編集作業などができるようになる。

「Blackmagic Cloud」にストレージが追加

Blackmagic Cloudはこれまでもあったサービスだが、今回クラウドストレージ機能が追加された。これまでのように他社のクラウドストレージを使うこと無く完結するようになった。

Blackmagic Cloudの設定画面
クラウド経由で素材を共有できる
Blackmagic Cloudを設定したDaVinci Resolve。iPhoneのデータがクラウド経由で読み込まれた
Blackmagic Cloudの料金は月額制で、例えば2GBだと786円となる。なお、プロジェクト共有ができないストレージだけ(2GB)の無料プランもある

今後の予定として、一部の同社製カメラから直接Blackmagic Cloudへのアップロードができるようになるとのことだ。

BMCC6Kなどから直接クラウドへのアップロードができるようになるという
編集ソフト「DaVinci Resolve」の最新版ではBlackmagic Cloudにおけるストレージ対応のほか、多くのアップデートがあった
DaVinci Resolveやカラーグレーディング用コントローラーなどのデモも行われた

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。