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Adobe Premiere Proが音声のテキスト化に対応。M1 Macへのネイティブ対応で全体パフォーマンスの向上も
2021年7月21日 11:30
アドビは7月20日、動画編集ソフトウェア「Adobe Premiere Pro」をアップデートした。更新バージョンは15.4となる。
アップデートの主な内容は大きく分けて2点ある。ひとつはM1を搭載したMacへのネイティブ対応。ふたつ目は、音声のテキスト化への対応となっている。両機能ともに、動画編集ワークフローにおける作業時間短縮化に有用なアップデートだと、同社は案内している。
また、今後のアップデート内容に関してはUI/UXの刷新も進めていくとしている。刷新内容は、書き出し設定などで利用したいプラットホームを選ぶだけで最適な設定で動画が書き出される流れになるなどといった変更が含まれている。これらがどのように変わるのかについては、公開中のベータ版から確認できるとのことだ。
M1へのネイティブ対応の効果は
同社が公開しているM1搭載Mac(13インチのMacBook Pro)におけるベンチマーク結果によれば、ベータ版のAdobe Premiere Proが、同等スペックのIntelベースのMacと比べて、平均して約77%の高速な動作が確認できたという。また、高速化は読み込み、再生、書き出しの基本的な操作でも見られたとしており、速度向上は起動速度にもあらわれているという(50%の高速化)。
このほか、高速化はAI技術Adobe Senseiにも及ぶ。Adobe SenseiのAIとML機能をApple Neural Engine用に最適化したことにより、「シーン編集の検出」機能も大幅に高速化を達成。また、バッテリー駆動時間についても向上が確認できたという。
音声のテキスト化機能とは
任意の動画クリップに納められている音声を、文字通りテキスト化してくれる機能。本機能の実装により、手作業による文字起こしが不要となり、キャプションの作成フローの効率化が見込まれる。同機能はAI技術Adobe Senseiの機械学習を活用したもの。
作成されたテキストは動画クリップの発話タイミングに沿って起こされる。テキストパネル上で任意の単語をダブルクリックすると、タイムライン上の該当位置にプレイヘッドが移動するなど、編集・操作面のシームレスなフロー改善も図られている。
対応言語は日本語を含めて13種類。
このほか1秒間に表示する文字数の調整や、複数名のスピーカーがいる場合の認識指定など、細かな調整にも対応。複数話者の認識・テキスト化では、話者の名称変更も可能となっているなど、使い勝手の面にも手が入れられている。
また、キャプションのテキストは、エッセンシャルグラフィックスパネルのデザインツールを用いてカスタマイズすることも可能となっている。
本アップデートに際して開催された同社による機能の説明会では、M1を搭載したMacBook Pro 13インチによる実演も披露された。内容は2名の話者が登壇する15秒ほどの動画クリップからの音声のテキスト化を実演する、というものなど。動画からの音声認識・抽出というと、もっと大げさな時間がかかりそうなイメージを抱くが、時間にして1〜2分と、かなり実用的な速度・認識精度となっていることが確認された。
タイトルやキャプション作成機能の強化
エッセンシャルグラフィックスパネル上のタイトルやキャプションの作成機能も強化される。
内容は、テキストレイヤーに複数のドロップシャドウが適用できるようになったことと、背景に色をつけたり角Rをつけたり、といった操作が可能になった、というもの。
同社ではレガシータイトル(Adobe Premiere Proで動画に装飾を追加したテキストを入れる方法のひとつ)のエッセンシャルグラフィックスへの移行を進めており、時期は未定ながら近い将来でのレガシータイトル廃止を決定している。今回の機能実装は、これらの移行に向けた対応の一環となっている。
これらレガシータイトルは国内で多く用いられているとのことで、同社では今後もどのようなレガシータイトルの移行に対応していくのか検討を進めている段階だという。ヒアリング調査も進めているとのことで、、要望があればぜひ寄せて欲しいとのことだった。