レンズ交換の楽しさを知って写真力アップ!(前編)ボケを作ってドラマチックに

今年も2月13日(木)から16日(日)まで、カメラと写真のイベント「CP+」(シーピープラス)が横浜で開催されます。その中で私こと水咲奈々も、リコーイメージングのブースでPENTAX Q7を使用したワークショップを担当することになりました。

PENTAX Q7は小さくてかわいいレンズ交換式カメラ。CP+の予習として、交換レンズの使いこなしを2回にわたって解説します!

テーマは、Qマウントのレンズそれぞれを知って、レンズ交換の達人になること。いつも同じレンズばかり使っている方は、これを機に「つけっ放しレンズ」を卒業しませんか?

このページでは、ワークショップの予習を2回に分けてお送りしたいと思います。ワークショップは少人数参加型(無料・定員制)になります。お申し込みはこのページの最後をご覧くださいね。

それでは、今回は「01 STANDARD PRIME」と「06 TELEPHOTO ZOOM」の2本のレンズについて予習をしましょう。

誰でも簡単に大きなボケが得られる単焦点レンズ

01 STANDARD PRIME
レンズ構成5群8枚
焦点距離8.5mm
開放絞りF1.9
絞り方式自動絞り
最短撮影距離20cm
最大撮影倍率約0.05倍
全長23mm
重さ約37g

最初に紹介するレンズは「01 STANDARD PRIME」。Q7に装着すると35mm判換算で約39mmの画角が得られる単焦点レンズです。ズームができない代わりに開放F値がF1.9と明るく、最短撮影距離も20cmと短いので、背景をボカして小物を撮ったり、カフェなどで座ったまま料理の写真を撮るのに向いています。

大きなボケを楽しむためには、絞りは開放で、なるべく被写体に近付いて撮影します。主役の被写体から遠い奥の方に脇役として、例えばコーヒーカップや小物などを配置すると、主役の被写体だけにピントが合って奥の脇役の被写体はボケるので、遠近感のある写真になります。

主役は手前のワッフル。奥にコーヒーカップを配置してボカすことによってワッフルが目立ちます。また、その奥にテラスがボケて写っているので、さらに遠近感が強調されました
最短距離が短いレンズなので、レストランでは座ったまま料理を撮影することができます。メインの肉料理のみにピントを合わせて奥のポテトはボカすことによって、一皿の上にも奥行きを出すことができました
右手前の犬の小物の目にピントを合わせて、背後の親・兄弟犬たちをボカしました。ナチュラルな自然光で撮影したので、冷たい陶器の小物も優しい滑らかな風合いに写りました
街歩きが楽しい小さなレンズでもあります。歩いていてふと見つけたユニークな置物も、ポートレートのようにカメラに近い方の目にピントを合わせて背後をボカすことによって、記録画像から作品にランクアップします

STEP UP!

ズームのできない単焦点レンズはフットワークを軽くして、自分が前後左右に動いて撮影してみましょう。

例えば、観覧車の全体が写るように後ろに下がって撮影すると……全体像は見えるけど、なんだか普通の観光写真になってしまいました。

そこで、カメラを抱えて観覧車に走り寄ってみましょう。ほぼ真下から観覧車を見上げるようにパチリ。さらにカスタムイメージという機能で「ポップチューン」を選ぶと、自分だけの1枚ができあがりました!

GOOD!
BAD!

遠くのものをぐぐっと寄せて背景をボカす! 小さな望遠ズームレンズ

06 TELEPHOTO ZOOM
レンズ構成10群14枚
焦点距離15〜45mm
開放絞りF2.8
絞り方式自動絞り
最短撮影距離1m
最大撮影倍率約0.05倍
全長56mm
重さ約90g

さらに大きなボケや奥行き感のある画、主題が明確なインパクトある画が欲しければ「06 TELEPHOTO ZOOM」の望遠ズームレンズを使いましょう。

「06 TELEPHOTO ZOOM」は、Q7に装着すると35mm判換算で約69〜207mmの望遠画角が得られるズームレンズです。開放F値はズーム全域でF2.8と明るいので、大口径ならではのドラマティックなボケ味を堪能できます。

また、遠くの被写体を大きく写すことができますので、近付いたら逃げてしまうような小さな生き物や、花壇の中の花なども撮影しやすいです。

絞りは開放にして望遠側にして撮影をすると大口径のボケを活かせますが、カメラや被写体のブレが気になりますのでできれば三脚を使用し、風の少ない状況が好ましいです。

シャッタースピードが遅くなるようでしたらISO感度を上げましょう。このレンズのボケはふんわりとキレイなので、ぜひ前ボケにも挑戦してみてください。

マツボックリの手前にピンク色の花があったので、その隙間からピンクと緑のフレームを作るように撮影しました。囲むような前ボケは主役の被写体を彩ってくれます
実は後ろには木の家具があります。溶けるようにボケているお陰で、優しい色合いの花を引き立てる黒いバックと化しています
かわいらしい天使像は左の天使の唇付近にピントを合わせています。通常なら顔モチーフの小物は目にピントを合わせるのですが、この被写体なら……見る人の目がいく愛らしい唇ですね(笑)
花の蜜を吸いに来た蝶に逃げられないように撮影。今回の作例はすべて望遠側で撮影していますが、こちらは望遠で被写体を引き寄せた例です

STEP UP!

大口径レンズならではの遊びとして、丸ボケを作り出す撮影方法があります。丸ボケは木漏れ日などでも作り出せますが、今の時期はあちこちで見かけるイルミネーションが最適でしょう。

まずは主役の被写体を見つけたら、そのバックにイルミネーションが点灯している位置を探しましょう。被写体とバックのイルミネーションとは距離があったほうがいいです。

そして大敵のブレを軽減するために三脚を立てましょう。三脚を使用する場合はカメラ側の手ブレ補正はOFFにします。絞りは開放か、ボケが長細いレモン状になる場合は、1〜2段ほど絞るとキレイな丸になりやすいです。

今回は大人っぽいチューリップにしたかったので、デジタルフィルターのソリッドモノカラーを使用してシックな色合いに仕上げてみました

いかがでしたか? 来週はまた違うレンズを使ったテクニックを紹介します!

後編はこちらです

水咲奈々さんのワークショップへの申込みは、こちらのページから!

Qマウントレンズ交換術レンズ交換の楽しさを知って写真力アップ!
※事前に受付が必要になります。参加は無料です

(2014/1/30)
(みさき なな)東京都出身。知り合いの写真家の作品撮りにモデルとして関わったことがきっかけで写真に興味が沸き独学で写真の勉強をし、作品を持ち込んだ出版社に編集として入社。2010年独立。現在はカメラ雑誌の編集やWebでのカメラレビュー、写真講座の講師として活動中。「Pentax+」でも記事を連載。 Twitter:@cosaruruブログ:http://misakinana.com