レンズ交換の楽しさを知って写真力アップ!(後編)標準ズームと広角ズーム、それぞれを活かした画作りとは?

前編に引き続き、今回もCP+2014のワークショップでお話しする内容の一部を先取りして紹介しましょう。PENTAX Q7を使ったレンズ交換のお話です。

PENTAX Q7は小さなレンズ交換式カメラ。レンズを変えると撮れる写真がどんどん変わります!

PENTAX Q7はボディはもちろん、交換レンズも持ち運びやすい小さなサイズですので、持っていくのがめんどくさいなどと言わずに、どんどんレンズ交換しましょう!

※前編はこちら

さて、今回取り上げるレンズは「02 STANDARD ZOOM」と「08 WIDE ZOOM」です。

旅行やスナップに最適な標準ズームレンズ

02 STANDARD ZOOM
レンズ構成7群8枚
焦点距離5〜15mm
開放絞りF2.8〜4.5
絞り方式自動絞り
最短撮影距離30cm
最大撮影倍率約0.06倍
全長48mm
重さ約96g

「02 STANDARD ZOOM」は、Q7に装着すると35mm判換算で焦点距離約23〜69mm相当となり、どんな被写体でも撮りやすい画角が得られる標準ズームレンズです。毎日のスナップ、旅行や休日のレジャー、風景やポートレートはもちろん、最短撮影距離が30cmと短いので料理写真や小物撮影など、オールマイティーに活躍してくれます。

望遠側で撮影するときは絞りを開けるとボケを強調でき、広角側で撮影するときは絞って使うとシャープな画が得られます。旅先などのレンズ交換が難しいシーンでも、これを覚えておくだけで迫力ある風景も、ボケを活かしたムードある料理も撮影することができます。

撮影のポイントとしては、画が単調にならないように主役を決めてググっと寄ったり、カスタムイメージやデジタルフィルターを使って自分らしい1枚を追及していきましょう。

南の島の鮮やかなムードを強調したかったのでカスタムイメージを「鮮やか」にして撮影しました。かさばらない小さなボディとレンズは海外旅行の強い味方です
自然光が入るレストランでは窓に近い席に座りましょう。サイド光でパスタにふんわりと陰影が付きました。望遠で絞りを開ければ背景もしっかりボケてくれます
レンズの広角側を使い、右手前の大きな木と、その後方から奥に向かって並んでいる同じ種類の木を三角形に配置することで、遠近感を強調しました
この写真を縦に3分割すると空が1/3、象が2/3となります。象を真ん中に配置して日の丸構図にしてしまうと被写体が小さくなりすぎてしまいます。構図に迷ったら、画面の2/3を主役の被写体で占めるような構図にしてみてください
太陽が上がりきらない朝の時間の冷たさを撮影。絞りを絞ると手ブレしやすくなるので、三脚を使ったりISO感度を上げるなどしてブレないように対処しましょう

STEP UP!

ライトアップされたアイスチューリップを撮影。広角側で絞りをF8に絞り、三脚を使用しています。カメラを少し傾けて、奥のイルミネーションも構図に入るようにしました。

そのままでもキレイだったのですが、もっとポップなイメージにしたかったので、カスタムイメージを「鮮やか」にしました。

被写体の新たな側面を見せてくれる超広角ズームレンズ

08 WIDE ZOOM
レンズ構成8群10枚
焦点距離3.8〜5.9mm
開放絞りF3.7〜4
絞り方式自動絞り
最短撮影距離25cm
最大撮影倍率約0.03倍
全長38mm
重さ約75g

大きなボケの作り出せる望遠レンズも魅力的ですが、広い範囲をダイナミックに写し出せる広角レンズも、ハマると抜け出せなくなる面白いレンズです。

「08 WIDE ZOOM」は、Q7に装着すると35mm判換算で焦点距離約17.5〜27mm相当の画角が得られる超広角ズームレンズです。

広い範囲が写し出せるだけではなく、肉眼で見るよりも遠近感が強調された画になるので、いつも見ている被写体もこのレンズを通すとまったく別のものに見えてしまう、楽しい驚きをプレゼントしてくれるレンズなのです。

撮影のポイントとしては、広い範囲をダイナミックに写し出せるレンズなので、風景などの遠景を撮影するときは絞りを絞って全体がシャープに写るようにすると迫力が増します。

また、広角レンズに慣れていない方は、思っているよりも被写体が小さく写りますのでなるべく被写体に近付いて撮影しましょう。風景を1枚の絵のように切り取るのでしたらいいのですが、遠近感の強さを楽しみたい場合はメインの被写体が小さいと寂しい画になってしまいます。

遠近感を強調するためにはなるべく被写体に近付いて、正面ではなく斜めの位置から撮るようにします。

例えば上から犬の鼻にピントを合わせれば鼻が大きくデフォルメされたぬいぐるみのような犬になるし、人物を足元からあおるように撮ればスラリ足長さんのできあがりです。

逆に、建物など歪ませたくない被写体を撮るときは、カメラを上下左右に振らないように平行に構えて撮りましょう。

主役のクマのオブジェには手が触れられるくらい近付いています。仰ぎ見るように撮ることで遠近感が強調できて空と雲に迫力が出ます
広角レンズならではの構図です。標準レンズで撮ってもこのようには撮れません。建物の真下から空を見上げて撮影します
自分のすぐ足元など、自分に近過ぎるくらいの被写体も撮りやすいのが広角レンズです。露出補正をマイナス1にしてシャドー部を強調します
建築物を撮影するときはカメラを上下左右に振らずに、被写体まで真っ直ぐに構えるようにすると柱が不必要に歪んだりしないので構図が安定します。そのためには自分が前後に動いたり立ったりしゃがんだりして、フットワーク軽く動きましょう
超広角レンズだってテーブルフォトは撮影できます。手前のグラスの星の模様にピントを合わせて絞りを開放にして撮影しました。グラスのフチの歪みを見せないために、一番目立つ手前のグラスのフチはフレームアウトさせました

STEP UP!

標準レンズに慣れていると少ししゃがんで写しただけに見えるかも知れませんが、実際は噴水のフチぎりぎりの水飛沫がかかるくらいまで近寄って撮影しています。

広角レンズは被写体から遠ざかるほど写したくない余計な看板などが入り込んでしまいますが、逆に近付けば近接したメインの被写体以外は遠近法で小さく写ります。せっかくの広角レンズなので、ズームして被写体の大きさを調節するのではなく、自分が動いて遠近感を強調できる位置で撮影しましょう。

今回はこのライトアップにノスタルジックな雰囲気を足したかったので、デジタルフィルターのトイカメラを使って仕上げました。

いかがでしたか? まだちょっとわからないなぁ〜という方は、ぜひCP+のリコーイメージングのワークショップにいらしてください。大きなモニターを使って直接解説をさせていただきます。

「よし、レンズ交換にチャレンジするぞ」と思われた方、ワークショップでは私が用意した被写体を実際に撮影できる体験時間がありますので、そこで実際に色々なレンズに触れてみませんか?

レンズ交換の達人になるために、マンネリ写真を脱出するために……横浜でお待ちしていま〜す!

協力:アドベンチャーワールド

水咲奈々さんのワークショップへの申込みは、こちらのページから!

Qマウントレンズ交換術レンズ交換の楽しさを知って写真力アップ!
※事前に受付が必要になります。参加は無料です

(2014/2/6)
(みさき なな)東京都出身。知り合いの写真家の作品撮りにモデルとして関わったことがきっかけで写真に興味が沸き独学で写真の勉強をし、作品を持ち込んだ出版社に編集として入社。2010年独立。現在はカメラ雑誌の編集やWebでのカメラレビュー、写真講座の講師として活動中。「Pentax+」でも記事を連載。 Twitter:@cosaruruブログ:http://misakinana.com