岡嶋和幸の「あとで買う」

276点目:大阪から北海道へ。アマチュアからプロへ

中西敏貴『だから、写真で生きていく 辺境の地 移住者のまなざし』

私のAmazonのショッピングカートには、そのままレジに進むのではなく、「あとで買う」に移して様子見をしているアイテムが沢山あります。それらは値下がりなど何かのタイミングで購入するものもあれば、気持ちが覚めてしまって削除するものも……。この連載では、カメラや写真関連のアイテムを中心に、日々増え続ける私の「あとで買う」の中身をお届けします。いずれも購入前なので使った感想や評価はありませんが、どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、岡嶋和幸の日々の物欲をお楽しみください。

中西敏貴『だから、写真で生きていく 辺境の地 移住者のまなざし』

若いころから多くの写真家に憧れてきました。どのようなことがきっかけで写真やカメラと出合い、どのようにして写真家になったのかなど、彼らのサクセスストーリーが好きでした。これまで書籍や雑誌の記事などでそれらの情報を集めていました。デジタルカメラマガジンでも同様の連載があり、同世代の写真家の過去から現在を知ることができ興味深かったです。テレビ番組だと「情熱大陸」で写真家が取り上げられるときは必ず視聴しています。友人知人の写真家も数名登場しましたが、個人的に印象的だったのは金村修さんの回です。最近はYouTubeでも同様の切り口の動画を見かけたりしますが、私はやっぱり読み物が好きです。

雑誌『フォトコン』(日本写真企画)での連載を1冊にまとめる際に、学生時代や修行時代のエピソードなどを加筆しました。ところがメインの作品制作論よりも、私自身の挫折や失敗談などの方が反響がありました。他人の不幸はやっぱり蜜の味がするのでしょう。でも成功者の苦労話は為になるし、励みにもなります。

今読みたいのは、発売されたばかりの中西敏貴さんのこの本です。販売価格は2,640円です。私が知っているのは、それまでの仕事を辞めて大阪から北海道へ移住されたことくらいです。中西さんにお会いしたときに、これまでのことをあれこれ質問攻めにするのもよいのですが、しっかり時間をかけて言語化された文章の方が理解が深まるでしょう。撮影ジャンルに関係なく、これから写真家を目指す人にとって参考になる言葉がたくさんあると思います。

Amazonで購入

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)、「海のほとり」(エプサイトギャラリー)などがある。