岡嶋和幸の「あとで買う」

262点目:ドキュメンタリー写真家が捉えたコロナ禍の東京

初沢亜利の写真集『東京 二〇二〇、二〇二一。』

私のAmazonのショッピングカートには、そのままレジに進むのではなく、「あとで買う」に移して様子見をしているアイテムが沢山あります。それらは値下がりなど何かのタイミングで購入するものもあれば、気持ちが覚めてしまって削除するものも……。この連載では、カメラや写真関連のアイテムを中心に、日々増え続ける私の「あとで買う」の中身をお届けします。いずれも購入前なので使った感想や評価はありませんが、どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、岡嶋和幸の日々の物欲をお楽しみください。

初沢亜利の写真集『東京 二〇二〇、二〇二一。』

自宅でのデスクワーク中心の毎日も2年近くになりました。外出するのは基本的に撮影のときだけです。特に作例写真ではマスク姿の人が画面に入らないようにするなど、コロナ禍であることを感じさせないような切り取り方を意識しています。

もちろん今の現実を素直に捉えられている方もたくさんいて、それらはSNSなどで良く目にします。ただ出版や展示といった形で発表された作品はまだ多くない印象で、そのような中で初沢亜利さんは早い段階からスピード感を持って行動されています。

2020年の写真集『東京、コロナ禍。』に続いて出版されたのが本書で、販売価格は3,850円。256ページ、168点というボリュームです。初沢さんは現在、東京・日本橋小伝馬町のRoonee 247 Fine Artsで写真展「匿名化する東京」を開催されています。こちらも気になります。

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)、「海のほとり」(エプサイトギャラリー)などがある。