中井精也のエンジョイ鉄道ライフ「ジョイテツ!」

ゆる鉄探訪 第18回「富山県の鉄道」

海に山に! 豊富な絶景ポイントから厳選紹介

富山湾の奥に広がるのは勇壮な立山連峰。その横を氷見線が走る風景は、まさに富山を代表する絶景でしょう。こんなにも素晴らしい風景ですが、撮影ポイントは道の駅「雨晴」の展望台。美味しい食事やスイーツも楽しめる、天国のような撮影地なのです。ただし作品ではギリギリカットしていますが、画面右側すぐのところに国道が並走しているので、構図は限られてしまいます。展望スペースは三脚禁止ではありませんが、観光客もたくさん来る場所なので、できれば手持ちで、長時間の場所確保は避けたいところです。
ソニーα1/FE 70-200mm F2.8 GM OSS II/絞り優先AE(191mm・F8・1/500秒)/ISO 400/WB:太陽光 [Google Maps]

僕のオススメの鉄道撮影地をご紹介する「ゆる鉄探訪」。県単位のエリアで、複数の路線をまたいで撮影地をご紹介しています。富山県は海に山に絶景ポイントが多く、鉄道路線もバラエティーに富んでいます。そのなかから僕が厳選した大好きな鉄道撮影地をご紹介しちゃいましょう!

氷見線

ソニーα1/FE 24-70mm F2.8 GM/絞り優先AE(70mm・F8・1/640秒)/ISO 400/WB:太陽光

まずは富山を代表する絶景路線として有名な氷見線をご紹介。ただし絶景路線と言ってもかなり限定的で、海岸に沿って走る越中国分駅から雨晴駅にかけての区間が狙い目になります。ここは「もみじ姫公園」と呼ばれるポイントで、パーキング付近から海と列車を撮影することができるお気軽ポイントです。夏草が生い茂り列車が見える部分が少なくなっていましたが、夏らしい入道雲に恵まれて、爽やかなカットになりました。


ソニーα1/FE 16-35mm F2.8 GM/絞り優先AE(29mm・F8・1/400秒)/ISO 400/WB:太陽光

こちらは真横気味に海と列車をからめて撮影できるポイント。2両編成の列車でも撮れますが、ときおり運行される単行の列車のほうがバランスが良くなります。ポイントは線路と並走する道を、手前の緑でできるだけ目立たなくすること。氷見線は国鉄カラーのいわゆる「タラコ」気動車が健在なので、国鉄時代のような懐かしい雰囲気にすることができました。氷見線のタラコも引退が近いという噂がありますので、早めに撮影しておきたいですね。

あいの風とやま鉄道

ソニーα1/FE 24-70mm F2.8 GM/絞り優先AE(68mm・F7.1・1/800秒)/ISO 400/WB:太陽光

続いてはあいの風とやま鉄道の撮影地をご紹介。ここは富山県と石川県の県境に位置する倶利伽羅峠(くりから峠)です。かつてはトワイライトエクスプレスや雷鳥、サンダーバードなどの優等列車がバンバン走っていた有名撮影地ですが、鈍行と貨物列車しか走らなくなった今、とてもひっそりとしていました。僕が訪ねるのも25年ぶりくらいなので、もう撮れなくなったかなと思いきや、夏草が茂る季節でもスッキリと撮影することができました。線路脇の農道の終わりから斜面を登る歩道を進み、石碑があるあたりから撮影できます。


ソニーα1/FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS/絞り優先AE(361mm・F5.6、1/1,000秒)/ISO 400/WB:太陽光

こちらは砺波平野を遠望できる「稲葉山展望広場」からの撮影。ここからは砺波平野を含めた広大な平野の風景を展望できます。よく見ると家の周りに風よけの森がある「散居村」が多く、旅情をそそりますね。奥には北陸新幹線の高架まで遠望できます。かなり遠くに線路があるので、列車が溶け込まないように田んぼバックになる位置を選びました。


ソニーα1/FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS/絞り優先AE(100mm・F10・1/640秒)/ISO 800/WB:太陽光

日本海をバックに走るあいの風とやま鉄道を大俯瞰するポイント。宮崎城跡の展望台から越中宮崎駅付近の線路を一望できます。ただし線路までかなり距離があるので、鈍行列車だと風景に溶け込んでしまい、ほとんど目立ちませんでした(涙)。そこで貨物列車が来るまで粘って撮影したのがこちらのカット。貨物列車の長大編成と、息を飲むほどの絶景が、とってもダイナミックです。普通の高さでは物足りなくなってしまった、俯瞰症のあなたにオススメのポイントです(笑)

富山地方鉄道

ソニーα1/FE 24-70mm F2.8 GM/絞り優先AE(53mm・F22・1/25秒)/ISO 100/WB:日陰

富山地方鉄道には、昔ながらの古い駅舎がたくさん残っており、僕的には、もはや国宝レベルの木造駅舎が現役で頑張っています。こちらは早月加積(はやつきかづみ)駅。たいていの駅舎は鉄道路線に対し、垂直方向に駅舎の入り口がありますが、この駅は線路と並行する方向を向いて出入り口があるのが特徴。昔の大手私鉄では都市部の駅でよく見られた配置ですが、何もない田んぼのなかにポツンとある駅なのにこの配置なのがたまりません。ドアと窓枠がサッシになっているのは残念ですが、なかなか味わい深い木造駅舎。昔ながらの富山地鉄のカラーリングである「だいこんカラー」の電車を入れてぶらしたら、タイムスリップしたかのような雰囲気の作品になりました。


ソニーα1/FE 24-70mm F2.8 GM/絞り優先AE(24mm・F18・1/60秒)/ISO 400/WB:日陰

こちらは西魚津駅。開業したのは1936年(昭和11年)なので、なんと築86年になります。駅舎のファサードに書かれている駅名は、戦前の表記である「右横書き」です。僕が子どもの頃は、東京の大手私鉄にもこんな雰囲気の駅がたくさんありました。国鉄タイプとは違う、私鉄らしいつくりがたまらない駅、ぜひ訪ねてみてくださいね。

万葉線

ソニーα1/FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS/絞り優先AE(215mm・F5.6、1/2,000秒)/ISO 200/WB:太陽光

万葉線は高岡駅前停留所と越ノ潟駅を結ぶ路面電車。この万葉線の名物と言えるのが、毎年8月初旬に開催される「高岡七夕まつり」の七夕飾りと電車の風景です。この写真を撮影した時はまさにコロナ禍で、残念ながら七夕飾りの規模がかなり縮小されていましたが、鮮やかな色彩が郷愁をそそります。こちらは高岡駅前のロータリーから撮影しました。


ソニーα1/FE 16-35mm F2.8 GM/絞り優先AE(16mm・F7.1・1/2,500秒)/ISO 400/WB:太陽光

六渡寺駅駅を出てすぐのところにある庄川の鉄橋は、万葉線随一の撮影スポット。晴れていれば電車を「空抜け」にして、目立たせることができます。電車と並行してかかる新庄川橋を万葉線と重ねることで、すっきりとした構図にするのがコツ。よく見ると奥に海も写っていますし、万葉線としてはレアなポイントと言えるでしょう。


ソニーα1/FE 24-70mm F2.8 GM/絞り優先AE(31mm・F5.6・1/12,800秒)/ISO 400/WB:太陽光

万葉線の終着駅である越ノ潟駅。駅を出ると、目の前に「渡船のりば」があるのが旅情をそそります。通称越ノ潟フェリーと呼ばれるこの渡船は、新湊の建設により廃止された射水線の代替として誕生したもので、かつては有料でしたが、今はなんと無料です。距離は約770mで、所要時間は5分。


ソニーα1/FE 24-70mm F2.8 GM/絞り優先AE(45mm・F2.8・1/12,800秒)/ISO 400/WB:オート

駅のすぐそばにある「新湊大橋」の歩道部分から見ると、電車と渡船を両方入れて撮影できます。渡船と万葉線が同時出発するタイミングに合わせて撮影したのが、この一枚。電車と渡船のコラボ、なかなかレアでしょ?

黒部峡谷鉄道や高山本線など、富山県にはここで紹介したポイント以外にも魅力的な撮影地がたくさんあります。海に山に絶景だらけの富山県の鉄道を、ぜひ旅してみてくださいね。

中井精也からのお知らせ

ゆる鉄画廊NOMAD開催情報

【第25回】ゆる鉄画廊NOMAD栃木もてぎ

鉄道写真家中井精也の写真作品を展示販売するギャラリー&ショップ「ゆる鉄画廊NOMAD」。今回は、7月14日(金)〜17日(月)に、栃木県茂木町にある茂木町まちなか文化会館「ふみの森もてぎ」にてゆる鉄画廊NOMAD栃木もてぎを開催いたします。

期間中は毎日、中井精也は在廊いたします。今回のゆる鉄探訪でご紹介した栃木県にゆかりのある鉄道風景や開催地である茂木町に関連のある鉄道風景を中心に中井精也の代表作までたくさん展示いたします。ぜひ来てね♡

さらに、7月16日(日)14時からは、中井精也のスペシャルトークショーを開催いたします。座席数60席分は事前予約を行なっております。予約方法は、会場となる「ふみの森もてぎ」の受付がお電話で承っております。また、当日のご来場でも立ち見で観覧することができます。

※当日のご来場者数が多い場合にはご覧になれない場合もあります。
※7月16日(日)13時30分頃〜15時頃まで、トークショー開催のため一時的にお店をクローズします。

<詳細>
7月14日(金):13時〜18時
7月15日(土):10時〜18時
7月16日(日):10時〜18時
7月17日(月祝):10時〜16時

会場:ふみの森もてぎ
〒321-3531
栃木県芳賀郡茂木町大字茂木1720番地1
TEL:0285-64-1023

<1日1鉄!ブログ>
https://ameblo.jp/seiya-nakai/entry-12808440714.html

<ゆる鉄画廊NOMADホームページ>
https://garou.ichitetsu.com/

<ふみの森もてぎ>
https://fuminomori.jp/

【今後のNOMAD案内】

現在、決まっている今後のNOMADスケジュールです。あなたの街にも、ゆる鉄画廊NOMADがやってくる!?

◯ゆる鉄画廊NOMAD京都亀岡
8月10日(木)〜13日(日)予定
会場:道の駅亀岡ガレリア
※翌日9月14日(月)に写真教室開催予定

ゆる鉄画廊NOMAD清里

9月2日(土)、3日(日)予定
会場:清里フォトアートミュージアム

◯ゆる鉄画廊NOMAD金沢
9月8日(金)〜10日(日)予定
会場:Gallery souvin
※翌日9月11日(月)に写真教室開催予定

それ以外にも、様々な場所でNOMADを計画しておりますので、詳細が決まりましたらご案内いたします。皆様の街へ「ゆる鉄画廊NOMAD」は出張いたしますので、近くに来た際には、ぜひお越しくださいね。

※場所・営業時間など詳細は決まりましたら、メルマガやブログでお知らせいたします。
※スケジュールは変更になることもあります。

清里フォトアートミュージアム「鉄道愛」展

山梨県北杜市にある清里フォトアートミュージアムにて、「鉄道愛」展が2023年7月7日(金)〜9月24日(日)まで開催されます。中井精也が撮影した小海線の作品16点、ねこ鉄作品15点も会場に展示されます。ぜひお楽しみください。

さらに、鉄道愛展の開催に合わせて、9月2日(土)、3日(日)に同会場でゆる鉄画廊NOMADと記念のトークショーも開催いたします。こちらもお楽しみにっ♡

開催概要

展覧会名:「鉄道愛」
会期:7月7日(金)~9月24日(日)
会場:清里フォトアートミュージアム
主催:清里フォトアートミュージアム委員会
特別協賛:真如苑(社会貢献基金)
開館時間:10時00分~18時00分(入館は17時30分まで)
休館日:会期中7月・8月は無休、9月は火曜休館
入館料:一般800円(20名以上の団体割引料金600円)、学生無料(本展に限り学生無料)、家族割引1,200円(2名~6名まで)

アクセス:
車:中央自動車道須玉I.C.または長坂I.C.より車で約20分
鉄道:JR中央本線小淵沢駅にて小海線乗り換え 清里駅下車、車で約10分

清里フォトアートミュージアムHP
https://www.kmopa.com/

8月開催ドイツツアー「SLメルヘン紀行」

ドイツ撮影ツアーを開催いたします。今回はドイツの可愛らしい軽便鉄道の蒸気機関車を撮影します!!

ドイツの田舎を走る軽便鉄道やベルリンの近郊を走るトラムなど普通のツアーでは訪れれるのがなかなか難しい場所まで行ってトコトン撮影を満喫いたします♪

さらに! ツアー参加者には、後日、日本に帰ってきてからZoomによる写真講評会も開催! 中井精也自ら、皆様の写真を講評いたします。

実施日:8月21日(月)〜28日(月)
定員:15名先着順(最少催行8名)
費用:78万8,000円(税込)
締切:7月21日(金)

<詳細はこちらから>
https://ameblo.jp/seiya-nakai/entry-12810527934.html

今だけ!「第8弾ゆる鉄画廊コンビニエンス」

大好評の限定作品の登場です! 今回は瀬戸内海の絶景路線の作品や、大人気の500系新幹線、先日惜しまれながら引退したSL銀河など10点が登場しました。このプリントができるのは、7月だけ! ぜひぜひ♡この機会にぜひプリント・額装してお部屋に飾ってね。絵柄は今後も増えていく予定です。

ゆる鉄画廊コンビニエンスは、eプリントサービスにて、全国のコンビニに設置してあるマルチコピー機で鉄道写真家中井精也の作品をプリントできるサービスです。プリント絵柄や操作方法に関しては、リンク先をご覧ください。これまでの絵柄は、通常通りプリントできます。期間限定は、今回登場した10枚です。

<eプリントサービス>
https://www.e-printservice.net/content_detail/yurutetsugarou

写真紙L判:400円
写真紙2L判:800円

※ねこ鉄はランダムプリントになります。
※一部店舗ではご利用できない場合があります。
※2L判プリントはセブン-イレブンでは取り扱いがございません。

中井精也

1967年、東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道にかかわるすべてのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影し、「1日1鉄!」や「ゆる鉄」など新しい鉄道写真のジャンルを生み出した。2004年春から毎日1枚必ず鉄道写真を撮影するブログ「1日1鉄!」を継続中。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している。全国を旅しながら自身の作品を販売する「ゆる鉄画廊NOMAD」を展開中。テレビレギュラー番組に「中井精也のてつたび!/NHK BSプレミアム」、「ヒルナンデス!/日本テレビ系列」、「にっぽん鉄道写真の旅/BS-TBS」などがある。https://ameblo.jp/seiya-nakai/