中井精也のエンジョイ鉄道ライフ「ジョイテツ!」
また訪ねたい海外の思い出「ジョイテツ! in the World」vol.06 タイ編(その2)
2021年6月10日 07:00
ジョイテツ! in the Worldの6回目は、前回に引き続きタイの鉄道をご紹介。今回はナムトック線を旅します。ナムトック線は太平洋戦争時に旧日本陸軍によって建設された泰緬鉄道の線路をそのまま使用している路線で、映画「戦場にかける橋」で有名なクウェー川鉄橋や、ほぼ戦時中の木橋の姿を今に残すアルヒル桟道橋など見どころも多く、世界中からの観光客が訪れる人気観光スポットになっています。
旅のスタートは、タイの首都バンコクのはずれにあるターミナル駅、トンブリー駅です。設備が切り替わったばかりなのでしょうか、1枚目の写真の通り、訪ねた2018年1月時点では使われなくなった腕木式信号機がまだ健在でした。バンコクではかなり大きい駅なのですが、駅構内を子どもたちがウロウロしている感じが、たまりませんね。
「戦場にかける橋」効果でしょうか、ナムトック線の列車はいつも大盛況。世界中の観光客が集まっている感じです。前回のメークロン市場といい、バンコク近郊には鉄道がからんだ名所が充実しているなぁ。ホームの雑踏のなか、パンチあるTシャツを着た観光客のおじさんがいたので、モノクロでパチり! Tシャツを目立たせるため、あえてお顔は画面から外したら、インパクトのある写真になりました。
こちらは大学生グループ。お揃いのポーズが可愛いですね。これから旅をするぞ〜って感じの、楽しそうな雰囲気が伝わります。それにしてもタイの学生さんは、レジャーも素朴ですね。日本の女子大生が、みんなで列車に乗って観光地に行ったりするかしらん?
アルヒル桟道橋
列車に3時間半ほど揺られ、到着したのは「アルヒル桟道橋」。ここは泰緬鉄道時代の木橋がほぼそのまま残されている、この路線のハイライト。崖っぷちに敷設された木橋を列車が走る姿はかなりスリリングです。ナムトック線の前身である泰緬鉄道は、タイからミャンマーに物資を輸送するために日本軍が多くの連合軍捕虜を強制的に労働させて建設した路線で、大量の死者が出たことから「Death Railway」(死の鉄道)と呼ばれていたといいます。戦後、ミャンマーに接続する線路は撤去されており、現在はナムトック線の終点であるナムトックサイヨークノイ駅で線路は途切れています。
アルヒル桟道橋は見てのとおり崖っぷちの線路で、待避所などもわずかしかないのに、観光客が線路を自由に歩くことができます。ふだんなら絶対できないことだけに、僕たち日本人は線路を歩いているだけでもなかなかの罪悪感を持ってしまいますが、みんなはぜんぜん平気で、なかには崖っぷちの木橋に座る猛者も。スウェーデンから来たという彼女、自由すぎです(笑)。
アルヒル桟道橋を渡る列車を、ギリギリの位置から広角レンズで撮影。日本なら完全にアウトな距離感ですが(笑)、よく見ると機関士さんが手を振ってくれていますね。自己責任の国って素敵だなぁと、ここでもしみじみ感じちゃいました。
戦場にかける橋
次に訪ねたのは映画「戦場にかける橋」の舞台として有名なクウェー川鉄橋。ちなみに日本軍はこの橋のことを、「メクロン河永久橋」と呼んでいたようです。1944年秋、日本軍のビルマ(現ミャンマー)への補給ルートを断つために、米英軍はクウェー川鉄橋を破壊しました。中央付近のトラスだけが四角いデザインになっていますが、そこが爆撃を受けた部分です。
そんな壮絶な歴史がある橋も、いまは平和そのもの。の〜んびりと女学生が散歩しています。平和っていいな。
ここもアルビル桟道橋と同じように、鉄橋まで自由に渡れるようになっているので、観光客は堂々と橋を歩き回ります。しかも列車のダイヤは乱れまくりでいつ来るかわかりませんし、列車が来てもみんなおかまいなし。ふと見ると、観光客が和んでいる奥から、ライトをつけた列車が近づいてきているじゃあ〜りませんか!? ぼくはドリフを見ながらテレビに叫んだ子ども時代のように、「志村〜っ!うしろ〜っ!」と叫びたくなったのでした(笑)。
そして鉄橋の待避所から、広角レンズで目の前を通過する列車を撮影。これも日本では絶対にできない体験です。爆撃を逃れ当時の姿をそのまま残す、オリジナルのワーレントラスの曲線が美しいですね。このクウェー川橋梁があるカンチャナブリには、コロナ前は年間600万人の観光客が訪れていたと聞きます。コロナ禍の今は、どんな感じになっているのでしょうか。また行きたいな。
高いところから俯瞰で橋の全景を見たくて、開業前のホテルの屋上に入れてもらいました。きっとここは名所になること間違いなしの絶景です。今は営業しているのかな? 定刻通りにくれば、夕日とタイミングがバッチリだったのですが、列車が遅れに遅れ、太陽がどんどん沈んでいきます。もうダメだ!と諦めかけたとき、なんとかギリギリのタイミングで来てくれました。かつては戦争の舞台となったこの場所に、のんびりと夕日が沈みます。平和っていいな……と、つくづく感じました。
中井精也からのお知らせ:6月の「Zoom講演会」予約受付中
コロナ禍で思うように外出ができない今、何かできないかを考え、Zoomウェビナーを使ったオンライン講演会「ゆる鉄画廊オンライン」を開設しました。人と接触することが難しい時代だからこそ、ステイホームしながら写真を楽しみ、チャットやQ&Aなどの機能を使ってコミュニケーションもとれる新しい講演会をどうぞお楽しみください。
通常のZoomではなく、Zoomウェビナーはホストである僕が一方的にプレゼンをするスタイルですので、視聴者であるみなさんの姿はカメラに映りません。リラックスしながらご視聴いただけます。パソコン、タブレット、スマホなどの端末とインターネットに接続できる環境があれば、どなたでも簡単に視聴できます。
ご視聴方法はコチラ(PDF)
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予約システムの関係で、クレジットカード決済のみとなります。
(MasterCard、VISA、AmericanExpress)
オトクな5回分の回数券も設定しています。
回数券はこちら
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6月12日(土)21時〜「青春鉄路 懐かしの昭和の鉄道〜西日本編」
https://coubic.com/fotonakai/660298#pageContent
今では見ることができない、懐かしの昭和の鉄道を当時の写真とエピソードと共に振り返ります。
6月13日(日)21時〜「チャオ!イタリア」
https://coubic.com/fotonakai/468903#pageContent
文化と歴史の国イタリア。かっこいいデザインの列車やレトロな街並みの中を走る鉄道などご紹介いたします。コロナ禍の今、イタリア旅行気分で楽しんじゃってください。
6月19日(土)21時〜「せいや流!カメラ設定のキホン」
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「カメラを買ったはいいけど、どう設定したら良いかわからない」など、はじめての方にも中井精也が分かりやすく解説いたします。ご自分のカメラを見ながら一緒に設定を見ていきましょう!
6月27日(日)21時〜「奇跡の瞬間!写真って素晴らしい!」
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全国各地の鉄道を見てきた中井精也が、これまでに出会った奇跡的な最高の瞬間をご紹介いたします。数多くの作品が生まれるヒントがここに!
6月26日(土)ゆる鉄画廊写真教室「小湊鐵道撮影会」
小湊鐵道での日帰り写真教室を予定しております。時間・料金についての詳細は、中井精也「1日1鉄!」ブログでご案内いたします。
初夏の道東撮影紀行3泊4日
先着15名様限定で、釧路3連泊で根室本線などの撮影を行います。
釧路空港集合・解散。後日、詳細をご案内いたします。
期間:7月9日(金)~7月12日(月)4日間
旅行費用:18万2,000円
詳細はワールドファンツアーズ市村まで
info@funtours.jp
最新情報は「1日1鉄!」ブログでご確認ください。
https://ameblo.jp/seiya-nakai/