中井精也のエンジョイ鉄道ライフ「ジョイテツ!」
初心者でも楽しく撮れる!「はじめての鉄道お立ち台ガイド」vol.05
富士急行・関東鉄道
2020年9月25日 06:00
鉄道写真の世界にたくさんある「お立ち台」と呼ばれる有名撮影ポイント。条件の良いそんな場所には百戦錬磨の鉄道ファンが多く集まるため、慣れていない方だとちょっと近寄りがたい雰囲気があるかもしれません。この企画では、ふだん鉄道を撮らない初心者でも安心して撮れるオススメの「お立ち台」をご紹介いたします。
「撮影地が広くたくさんの人が集まっても安心して撮れる」「カメラ位置が限定される車両アップではなく風景と鉄道をからめて撮影できる」などなど、鉄道撮影がはじめてでも気楽に撮影できる条件のポイントを選びました。今回も「絶景ポイント」と「ゆる鉄ポイント」に分け、作例をお見せしながら解説いたします。ふだんあまり鉄道は撮らないという人も、ぜひ鉄道写真にチャレンジしてみてくださいね!
絶景編:富士急行「新倉山浅間公園」(山梨県)
この富士急と富士山を撮れる絶景ポイントは、五重塔(忠霊塔)と富士山を一緒に写せることで有名な風景写真のお立ち台「新倉山浅間公園(あらくらやませんげんこうえん)」です。その定番の風景写真がコチラ。撮影時は海外のカメラマンを含めて20人くらいがひしめき合っていました。富士急の線路が見えるポイントはここではなく、地図のポイントで示した近くにある展望通路になります。ですからこの写真に電車は写っていませんので、探さないでくださいね。撮影ポイントまでは下吉田駅から急な階段を使って20分ほどで到着します。展望通路からの撮影なので、五重塔とは違い、たくさんのカメラマンがいてもゆったりと撮影することができます。
こちらは雪が降る前の夕景。富士山が夕陽をうけてほんのりと赤く染まってくれました。雪の絶景と比べると霞んでしまいますが、これはこれで素晴らしい風景だと思います。それにしても、こうしてあらためて見ると、写真の上半分と下半分でまったく違う風景かと思うほど、市街地から突然そびえる富士山ってスゴいなぁと実感してしまいました。市街地と富士山の間に雲が出ていますが、これもまた幻想的で素敵。雪が積もっていない状況でも列車はちゃんと存在感を保っていているところにも注目です。
さらに粘って夜景も撮影。宝石のように散りばめられた街の灯と、見守るようにそびえる富士山がとても印象的な1枚です。ヘッドライトが輝き、列車もしっかりと目立ってくれました。富士山のある街の日常風景って、スゴいな。
この2枚は富士山からカメラを左方向に振り、下吉田駅方向を撮影したもの。走ってきたのが真っ白な塗装の観光列車「フジサン特急」だったので、列車が背景にとけこみ存在感が少し薄れてしまったのが残念ですが、こちらもなかなかの絶景です。このように風景と列車をからめて撮影する場合は、まず列車を写す場所を探し、そこを軸として構図を作ります。つまり手前に列車を遮る建物がないポイントを探し、縦位置、横位置にこだわらずに、手前や奥の風景をバランス良く構図のなかに配置していきます。ほぼ同じ場所で、同じ時間に撮った2枚ですが、ここまで印象の違う写真にすることができるのです。
さきほどの下吉田駅方向を、雪のない夕方に撮影したカット。夕方の光線を受けて、見渡す限りの家並みの屋根がいっせいに輝き、幻想的な光景になりました。富士山の絶景もいいけど、僕はこの作品もけっこう好き。こういう絶景ポイントでは定番のカットだけを狙いがちですが、もともと条件のいいポイントだけに、手つかずの構図が残されていたりするものです。視野を広く持って、隠れた絶景を探しましょう。
ゆる鉄編:関東鉄道 三妻〜南石下(茨城県)
ゆる鉄編は、茨城県を走る関東鉄道常総線と田園風景を、いろいろな角度から撮影できるポイントをご紹介します。広大な田んぼのなかに真っ直ぐな線路が伸びているので、ゆる〜い作品も狙いやすいポイントです。イベント列車などが走らない限り、ほかのカメラマンに会うこともないので、気兼ねなく撮影を楽しめます。こちらの作品は背景に筑波山を入れて撮影したもの。もっと山を大きく撮りたいところですが、よく見ると送電線の鉄塔が多く、あまりアップにすると目立ってしまいます。逆を言えば、こんな状況でも広角で広く撮れば、それほど送電線を目立たせずに撮れることもわかりますよね。こういうときにどれくらいまでなら目立たないかを知りたいときは、ファインダーや背面モニターでチェックするだけでなく、試し撮りした写真をタブレットに転送して、大きな画面でチェックするようにしています。
広々とした田んぼなので、季節ごとにさまざまな表情を狙うことができます。田んぼに水が入る初夏になると、水田が空の色を映し、とても幻想的な風景になります。電柱などの邪魔なものがないため、線路脇もスッキリさわやか。この路線は常磐線の取手駅が始発なので、電化されていてもおかしくない近郊路線なのですが、電化すると沿線にある地磁気観測所に悪影響が出るということで、非電化のまま運行されることになったとか。そのおかげで近場でありながら、のんびりとディーゼルカーが走る風景を撮ることができる、貴重な路線なのです。
田んぼの真ん中を超える跨線橋があり、高い位置から撮影することも可能です。広々した田んぼと夏雲を入れて、爽やかな一枚に仕上げました。風が強く田んぼの稲がなびいていたのですが、それが微妙な風紋をつくり、風を感じられる作品になりました。あえて少し画面を傾けて、画面に変化をつけています。
9月初旬には田んぼが色づき、黄色い絨毯になります。なんとなく1枚目のように撮ってしまいがちですが、2枚目のように画面全体を田んぼで埋め尽くした構図にすると、季節感たっぷりの作品にすることができます。一面だけ刈り取り後だったのが残念っ! 関東近郊でここまで広大な田園風景を撮れる場所はなかなか無いですし、1時間に2往復の列車が来るので、練習するにはかなりオススメのポイントです。
次回もまた、素敵な鉄道お立ち台をご紹介しますのでお楽しみに。
中井精也からのお知らせ
11月開催、中井精也と行く三陸鉄道撮影ツアー、募集スタート!
GoToキャンペーン対象、2泊3日鉄道撮影ツアーのご案内です。2020年11月21日〜23日の2泊3日で、三陸鉄道撮影ツアーを開催いたします! 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、定員25名のゆったり撮影ツアー。鉄道撮影はもちろんのこと、貸切列車や料理にも力を入れた欲張り撮影ツアーとなります。
GoToキャンペーンの適用により、参加費はお一人様6万7,000円(税込)の据え置き。さらに、現地で使える1万2,000円の地域共通クーポン付も付きます。
集合・解散はともにJR盛岡駅。ツアー中は常に中井精也が皆様と同行いたします。中井精也へ直接質問をしたり、アドバイスを受けたりできるのはこのツアーだけ! ぜひともご検討ください!
<ツアー概要>
- New Lifestyle Trip -
鉄道写真家 中井精也と行く!撮りごろ食べごろ鉄グルメ満喫ツアー三陸鉄道貸切の旅 2泊3日
日程:2020年11月21日〜23日(土〜月祝)
料金:ひとり 9万5,000円 →GoToキャンペーン適用後 6万7,000円(税込)
特記:1万2,000円の地域共通クーポン付
定員:25名(最低実施人数20名)
お申し込み締め切り: 11月6日(金)
・ツアーチラシはこちら(PDF)
・お申し込み方法
下記のフォームへ必要事項をご記入頂き、送信ボタンを押してください。後日、ツアー担当「ワールドファンツアーズ」よりお手続きのご案内をEメールにでお届けします。
・お申し込みフォームURL
https://forms.gle/9eaDp8WUt1NMRHzu7
・ツアー企画、実施、お問い合わせ
株式会社ワールドファンツアーズ 担当:市村
メールアドレス:info@funtours.jp