中古カメラのススメ

中古カメラのススメ(第3回)AFレンズ編

高級レンズをお得にGET!良いレンズの見分け方も伝授

中古カメラの魅力について紹介する本連載「中古カメラのススメ」も3回目を数える。

今回は、同じ中古でもカメラではなく、交換レンズの場合を見てみることにしよう。交換レンズの中でも一眼レフカメラ用のAFレンズをテーマとし、ライカ用などのオールドレンズの世界については、また別の機会に改めて取材して紹介したい。

参考としてお話を伺ったのは、神奈川県大和市のサイトウカメラ新橋通り本店店長・肝付滋さんである。

サイトウカメラは神奈川県大和市に店舗を構えるカメラショップ。場所柄、鳥や航空機を被写体とするお客が多く、そのため望遠系のレンズには特に力を入れているという。相鉄線および小田急江ノ島線の大和駅から徒歩5分。
今回お話を伺ったサイトウカメラ新橋通り本店店長・肝付滋さん。「都心から少し離れていますが、ぜひ遊びにお越し下さい。従業員一同懇切丁寧にご対応いたします」とのこと。

中古レンズのメリットは?

中古で交換レンズを購入するメリットは、兎にも角にも新品に比べリーズナブルなことだ。予算を少しでも抑えたいとき、中古という選択は至極当然の成り行きといえる。さらに、中古なら新品と同じ予算で、ワンクラス上の交換レンズの購入を可能としたり、テレコンバーターなどアクセサリー類を追加で買うこともできる。

サイトウカメラにおける中古交換レンズの動向について訊くと「目立ったところでは、シグマAPO 150-500mmF5-6.3 DG OS HSMやニコンAi AF VR Zoom-Nikkor 80-400mm F4.5-5.6D ED、キヤノンEF100-400mm F4.5-5.6L IS USMなど高倍率の望遠ズームです。いずれも旧製品のため、リーズナブルな価格で購入できます。なかでもキヤノンは、先般後継モデルが市場に投入されたばかりですので動きは活発」という。

確かにEF100-400mm F4.5-5.6L IS USMの販売価格を見ると、現行の最新レンズ(EF 100-400mm F4.5-5.6 L IS II USM)の半分以下。望遠ズームをできるだけ予算を抑えて手に入れたい人は、これを見逃さないわけにはいかないことだろう。

店内にはカメラメーカー各社の新品および中古のカメラ、交換レンズがショーケースに整然と並ぶ。写真は1階の様子だが、2階には中古の中判カメラや三脚などの売り場となっている。
超望遠レンズはサイトウカメラの得意とするところ。写真はその一部だが、取材時には、マニア垂涎のハチゴロー(800mm F5.6)も並んでいた。

気になるのが、その性能である。現行モデルの中古ならまだしも、一世代前あるいは二世代前の交換レンズとなると描写的に厳しいところがあるように思える。

それに関して肝付さんは「正直にいえば、最新の交換レンズとの描写の差はあります。しかし、それが気になるのはパソコンの画面で大きく拡大して厳密に見たとき。そして、逆光など極端な条件で撮影したときなどといえます」とのこと。

「特にグレードの高い旧製品の交換レンズの場合、通常楽しむにはほとんど気にならないレベルの描写と考えてよいと思います」(肝付さん)

現在最高の描写をとことんまで追求するのであれば現行モデルの中古を狙うしかないが、少ない予算で撮影を楽しむことを優先するのであれば、旧製品の購入も一考に値しそうだ。

中古レンズ選びの極意を伝授

では、ショップで欲しかった交換レンズを見つけたらどうしたらよいだろうか。

まずはお店の人に状態を訊くようにしよう。その際、専門的な用語が出て来るかも知れないが、そのときは遠慮せずにその意味も訊くとよいだろう。

ちなみに、中古の交換レンズの状態を現す代表的な用語とその意味は下記のとおりとなる。

商品のコンディション・程度を表す用語

●カビ:レンズにカビが生えている状態。保管状態によっては、カビの生えている範囲がさらに広がることもある。描写に影響することが多い。

●カビ痕:レンズの清掃を行い、カビを拭き取ったが、その痕が残っていることをいう。カビがコーティングを傷めている可能性がある。

●クモリ:その名のとおり、レンズが曇っていること。清掃で拭き取れるものと、そうでないものがある。極薄いクモリは描写にほとんど影響しないが、濃いものは影響することが多い。

●コバ:コバ落ちともいう。レンズの切断面には内面反射を防ぐために、墨入れしてあるが、それが剥がた状態をいう。レンズ正面から見たときに、白い点々などが見受けられるが、描写に影響することは少ない。

●コートスレ:レンズのコーティングに薄いキズがあることをいう。多くはレンズを拭いたときに付けてしまったもの。描写に影響しないことが多い。

●コートカブレ:コーティングが一部剥がれていたり、ブツブツと点状ものが発生していること。大きさによっては描写に影響する。

●チリ:レンズのなかに入ったホコリ。まれに新品でも入っていることがある。描写にはほとんど影響しない。

●バルサム:レンズ同士を貼り合わせてある部分が、剥がれていること。バル切れなどともいう。点々に剥がれているものを点バルともいう。古い製品に多い。

●アタリ:鏡筒にぶつけた痕があり、変形していることをいう。状態によってはレンズの位置がずれるなどし、描写に影響することもある。

●スレ:鏡筒に付いた擦りキズなど。描写には影響しない。

なお、今回取材したサイトウカメラでは、交換レンズの状態を全て包み隠さず説明するよう努めている。

「後でクレームになるのはお客さまにとっても、お店にとってもいいことではありません。それよりも商品の状態をよく知っていただき、納得した上で安心してご購入いただきたいと思っております」(肝付さん)

次に交換レンズを手に取って見てみよう。見たところでよく分からないと思うかもしれないが、少なくとも手にしたときの重さや操作感、パッと見のレンズの状況くらいは分かるはずだ。肝付さんおすすめの確認手順は以下の通り。

状態の見極め方

1:前後のレンズキャップとフードを外す。

2:レンズを光にかざすようにして、後玉側から(マウント側から)見る。キズやカビ、ホコリの有無などを確認。

3:同様に前玉から(レンズ先端側から)見る。

4:ピントリング、ズームリング、ピントリングを動かし、スムースに動くかを確認。

5:マウント面がキレイか確認する。

6:カメラに装着しAFが動くかをチェックする。

7:シャッターを切り、絞り羽根の動きをチェック。

8:液晶モニターに撮影した画像がきちんと写っているかどうかを確認する。

操作確認や試し撮りをするカメラはお店で貸りるか、普段使っている自分のカメラを持っていくとよいだろう。

ショーケースに並ぶ中古ニッコールレンズの一部。“不変のFマウント”を採用するニッコールは、二世代ほど前の交換レンズでも人気が高い。
ニコンと人気を二分するキヤノンの交換レンズも充実。他の交換レンズも含めしっかりと検品されているので、初めてでも不安がる必要はない。
ソニーAマウントの中古交換レンズは、ミノルタ時代のものから最新のソニー製のものまで揃う。
シグマ、タムロンといったレンズメーカー製の交換レンズも充実した品揃え。純正レンズに比べて、よりリーズナブルなので注目しておきたい。

安く賢くレンズをGET!!

保証についても確認するようにしたい。良心的な店では保証がついている場合がほとんどだが、古いものや廉価なものなど対応していないこともあるからだ。サイトウカメラでは、販売価格3万円以上の交換レンズは3カ月、3万円以下のものが10日間の保証がついている。

最後に、中古カメラショップによってはプライスタグに委託品と書かれたカメラ・交換レンズを見かけることがある。

一般的な中古のカメラ・交換レンズはカメラショップが買い取ったものを販売し、お店の責任として保証を付けている。一方、委託品はカメラ・交換レンズを売りたい客がお店に委託して販売しているため、保証に関しては付かない場合がほとんどとなる。そのため、欲しい交換レンズが委託品だった場合、そのことを理解したうえで慎重に購入を決めるようにしたい。

中古の交換レンズもカメラと同じように一期一会。常に欲しい交換レンズがカメラショップに並んでいるわけではない。そのため欲しいと思ったら電話やメールなどで事前にカメラショップに問い合わせするか、中古カメラ検索サイトなどで探してみるとよいだろう。新しい交換レンズが自分のコレクションに加われば撮影に対するモチベーションは当然上がるし、何より表現の幅が一層広がるはずだ。

編集協力:株式会社玄光社 カメラファン
取材協力:株式会社サイトウカメラ(カメラファン加盟店)

大浦タケシ

(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。