特別企画

新しいから面白い!
カシオ EXILIM EX-FR10をマルチコプターで遊びたおす

カメラ/モニター分離型ならではの強み!上空から見事な紅葉を撮る

 カシオ EXILIM EX-FR10は、カメラ部と液晶モニター部が分離できる、合体式デジカメ。分離合体できるからこそ、その遊び方はアイディア次第で無限に広がる。しかし、それは写真好きにとって遊びに留まらず、新たなアングルや映像表現の発見に繋がるのだ。遊びながらも本気でやろう。

 だからこそ、今回はEX-FR10のパートナーに、いま話題のマルチコプターを選んだ。マルチコプターと言えば空撮だが、EX-FR10と組み合わせることで、ムービーのみならず写真の世界も広がる。EX-FR10とマルチコプターの世界で遊んでみよう。

(マルチコプター:DJI PHANTOM 2、状況撮影:三嶋義秀)

何かと話題のマルチコプターとは?その概要を知る

 マルチコプターもヘリコプターの一種で、2つ以上のローター(回転翼)を持った回転翼機のことだ。

 マルチローターとも呼ばれ、1つのローターを持つ一般的なヘリコプターのようにアクロバティックな運動は苦手であるが、反面安定性が高く電子的な自立制御に向いており、無人偵察機などにも利用されている。GPS、ジャイロ、ヨーセンサー、電子コンパスなどハイテクデバイスを搭載し、自立飛行や安定した無線操縦が可能になっている。

 昨今はこれら電子デバイスの低価格により、ホビーとして十分に手を出せる価格となったため、爆発的にユーザーが増え、話題にのぼる機会が増えて来たのだ。玩具程度のものなら数千円から、今回のようにデジカメを乗せて空撮可能なものは8万円程度から、映画や災害調査などデジタル一眼レフカメラを搭載できる機種では100万円前後だ。

 写真家である筆者としてはデジタル一眼レフカメラを搭載できる機種が欲しいところであるが、いくら低価格化したからといって手が出る金額ではない。しかし、こちらも昨今性能向上著しいコンパクトデジタルカメラならば、もう1台カメラを買う程度の負担で空撮を始められる。

 そこで、筆者が選んだのは、DJI JAPANの販売するDJI PHANTOM 2だ。操作が簡単で、買ってすぐに飛ばすことができるのも売りの1つとなっている機種だ。今回はPHANTOM 2にEX-FR10を搭載して、空撮を楽しんだ。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
山頂の木立を越える高さに上げてみると霞んだ街並がなぜか嬉しい。
森の湖の真ん中で撮影した。水に映る空が深く静かで心地いい。
機体を回転し、自分たちを撮ってみる。今まで撮れなかった記念写真だ。
上空高く上げてみると、紅葉の分布がよくわかる。自然に感心する時だ。

 上の写真はEX-FR10で撮影したものだが、視点が上がることはとても新鮮で、見慣れた土地でも新鮮な驚きがある。飛行機ほど高すぎない、山のように地面が繋がっているわけではない。いつも、高い崖から下を見下ろすようでドキドキだ。それが空撮にはまってしまう理由だ。

意外と難しいマルチコプター撮影

 マルチコプターはハイテクデバイスを集めたラジコンである。それらは、繊細であると同時に、目には見えない電波や磁気を扱うものだけに、細心の注意が必要だ。特に磁気の異常や電波の混信に気をつけたい。機体自体にセルフチェック機能があるが、どのようなものが異常につながるか、Webサイトなどで常に最新の情報を知るようにしよう。

GPS電波を十分に捉え、機器が正常であれば手放しでもその場にホバリングする。少し前のラジコンヘリコプターでは考えれなかったことだ

 これまでに知られていることで言えば、磁気コンパスのキャリブレーションの失敗やWi-Fi電波の干渉は、機体コントロールに重大な影響を及ぼす可能性がある。鉄板や鉄筋のあるところでは離陸させない、Wi-Fi機器は遠ざけるなどの対策が必要だ。

 そして、マルチコプターの安定性の一翼をになっているのが、GPSであるが6個以上のGPS衛星を捕捉しなければ安定飛行できない。GPS衛星からの電波は谷間や森の中などでは十分に捕捉できないし、GPS衛星の運行状況によっては、視界内の空に十分な数の衛星がいないこともある。そうした情報を常に収集することが安全に楽しむための唯一の手段である。

 また、マルチコプターの動力は電池であり、残りの電力というものを把握しにくい。PHANTOM 2では、機体が残りの電力を計算して一定以下になった場合、自動的に離陸したポイントに戻って着陸する機能を持っている。しかし、それも十分にGPS衛星を捉えている場合だ。

PHANTOM 2の送信機。プロポと呼ぶ。日本国内では、2.4GHzの周波数帯を使う。この周波数帯はWi-FiやBluetoohにも割り当てられており、Wi-Fi電波は干渉の可能性が高い。また、ラジコンの周波数は国によって違うため、海外通販で購入すると違法になってしまう可能性が非常に高い。購入は国内の販売店にしよう

 なお、推奨される搭載物の重量は300gほどであるが、それを大きく越えていたり、気温が低く電池の性能が低下している場合や、残電力が足りないほど遠くに飛ばしている場合も、自動で帰還することはできない。

 脅すわけではないが、全体で1kg以上あるものが上空から落下すれば、相応の衝撃となることは肝に銘じておくべきだ。電波、磁気、電力など目には見えず、体にも感じにくいものを扱っているのだ。しかし、全体的に見れば安全なホビーであることも事実である。

 常に様々な機器やスマートフォンなどを使って情報を収集し、すこしでも不安があれば飛ばさない。楽しく空撮するためには、これに尽きる。

 簡単に扱えることがマルチコプターの良さだが、それでも、危険や制約がある。飛ばすだけで何年もかかったヘリコプターなどよりは、簡単になっただけと認識しよう。

そこでEX-FR10をチョイス!実に空撮向きのデジカメなのだ

 まず、マルチコプターには搭載重量の制約が厳しい。PHANTOM 2はホビーとしての空撮用途で最も売れている機体であるが、搭載重量は 300gほど。飛行時間を犠牲にすればもっと載せられるのだが、遠くに飛ばしすぎて帰って来れないなんて事態もあり得る。乗せるカメラは軽ければ軽いほどいいのだ。

 EX-FR10はカメラ部単体なら、メモリーカード込みで約63g。モニター部と接続するヒンジを入れても約95gだ。機体への取り付けを工夫すれば、100gを少し超える程度で余裕なのだ。

 空撮中の映像を見ることを FPV(First Person View)と呼ぶが、構図を決めるためには飛んでいる最中に映像を見たい。実はこの FPVのための機器はとっても高価なのだ。EX-FR10ではBluetooth接続で離れたモニター部で映像を見て構図を決められるし、シャッターも切れる。

 仕様では映像の到達範囲は5mとなっているが、開けた場所であれば 10m程度まで映像を見ることができた。ちょっと不満に思えるかも知れないが、EX-FR10は35mm換算 21mm相当、画角で言えば約90度の広角レンズを搭載している。5〜6mまで高さを上げて、構図をチェックすれば十分なのだ。

 実のところ、高価なFPV装置を使っても、操縦中は見ている余裕はない。基本的には機体そのものを見て操縦するからだ。

カメラ部とモニター部が分離、合体
さまざまな撮影スタイル

ここでもう1つの制限、電波の問題であるが、EX-FR10は映像の送受信にBluetoothを使っており、これもプロポの周波数と重なる2.4GHz帯だ。混信を心配してしまうところだが、Bluetoothは割り当てられた周波数帯の中で周波数を順次変更しながら接続する方式であるため、ラジコンの電波に影響を与えにくいのだ。Wi-Fiは影響を与えるため、空撮時にはEX-FR10のWi-FiをOFFにする事を忘れてはいけない。

 そして、カシオらしいG-SHOCK感も重要なポイントだ。防水は1mに30分間、耐衝撃は2mまで。墜落しないまでも、着陸の失敗はままあることでカメラは丈夫な方がいい。マルチコプターに限らず、空を飛ぶものは離陸よりも着陸が難しいのである。

ショルダーベルトにつけて“ながら撮り”
カメラ部を手に持ちアングル探し

 EX-FR10の機能はとてもシンプルだが、露出やホワイトバランスの選択など、最低限撮影に必要なものが揃っている。静止画と動画の撮り分けは、カメラ部、もしくはモニター部に設置された、静止画シャッターボタンと動画録画ボタンで行うので、撮り間違いがなくていい。

 縦位置横位置も、ヒンジのなかでカメラを回転できるなど、操作系はアナログとデジタルがバランスよく同居しており、撮影に間違いが少ない。

 また、特徴的なのはインターバルタイマーだが、静止画と動画を同時に撮影できる。カメラを体につけておき、インターバル撮影をすると無意識な自分の行動が写って面白い。

EX-FR10の主なメニュー。1:撮影モード選択画面を表示
2:インターバルタイマー画面へ
3:セルフタイマー画面へ
4:撮影に戻る
5:自分撮りモード。表示を左右反転させる
6:REC MENUを表示
撮影モードは6種類。プログラムオートの他、5種類のフィルターを選ぶことができる。通常撮影はプログラムオートのみ
REC MENUでは、画像サイズやカメラの設定の他、露出補正、ホワイトバランスの変更ができる
気持ちのいい光が差して来た。逆光でも、ちょうどいいバランスの露出だ。
山頂へ向かう道でのながら撮り。カメラはショルダーベルトにつけたまま。
カメラだけ手に持って、ローアングルから。青い空が気持ちいい。
登って来た道を振り返る。急な坂道を登っていても気軽に写真を撮って見る気になった。

EX-FR10をマルチコプターに装着。現場でできる簡単DIYでOK!

 小さいこと、軽いことは取り付けも簡単であるのと同じだ。さらに衝撃にも強ければ、さらに取り付けは簡単になる。取り付けのベースには市販のプラスチック段ボールを使った。機体の足の部分をスキッドというが、そこに板状のプラスチック段ボールを針金で巻いただけだ。

プラスチック段ボールと針金で簡単取り付け。工具はハサミと1.5mmほどのドライバーかキリがあれば十分だ

 EX-FR10のオプションにはベルトなどに挟んで取り付けるクリップ(EAM-2)があるが、これを使って段ボールを挟めば完了だ。事前に準備をしておかなくても、撮影の現場で10分もかからず作れてしまう。

まずは機体を取り出して取り付け方を確認。簡単な工作だが、先にフィッティングするのが大事だ
スキッドの隙間に合わせて、プラスチック段ボールを切り出し、巻き付け用の針金を通したところ。穴あけにドライバーかキリを使う
針金はビニールコートされた結束タイを使うといい。普通の針金よりほどけにくい。電線を束ねる時に使うものだ
スキッドには銀色のデバイスが取り付けれているが、これが磁気コンパスだ。ここに針金を巻いては行けない。3p程度はなすようにする
EX-FR10にEAM-2を装着。EAM-2はショルダーベルトなどに挟んで取り付けるためのオプションだ
段ボールをEAM-2で挟んだら、ネックストラップ用の穴に針金を通し、直接スキッドに結ぶ。万が一の際の落下防止策だ

安全への配慮について。現場の情報収集も重要

 PHANTOM 2では、パソコンと機体をUSB接続して機体の状態確認やセットアップ、ファームウェアのアップデートなどができるので、常に最新の状態にしておく。

 現場では、風速、磁気、GPS衛星の位置を確認しよう。また、ラジコンに使うバッテリーは容量も大きく強力なもので、使わない時は全容量の 20〜50%にしておく必要がある。満充電状態では、ちょっとした短絡などでも発火する可能性があるからだ。そのため、空撮に出かける直前に満充電する。もし、充電を忘れていた場合、少し残っているからと飛ばしてしまうと急激に電圧が降下して墜落してしまう場合もあり得る。電池の管理も十分に行おう。

必ずラジコン操縦士登録をする。機体を購入すると申込書が同梱されているので、必要事項を書いて送付するだけで良い。同時に損害保険に加入されるので、必須のものだ
プロペラは丁寧に扱う。1台分の4枚は同梱されているが予備も購入しておく。バランスが大事なので着陸失敗などで傷ついたものは再使用しない。純正品を必ず使用することも安全対策である
当日は南東の遠くに台風があり、曇り時々晴れ。雲の流れから上空の風は早いが、地表では弱く最大風速3.5m/秒で、突風などは吹かない状況。地表付近でのフライトであれば、問題なく行えると判断した
風速計もいまや安いものなので、必須と考えよう。10分ほど計測して最大風速が3m程度までなら、初めてでも問題なくフライトできる
コンパスは離陸場所の磁気を計る。地表から30cm上くらいまでを上下してみて、大きく方位が変るようなら、離陸に向かない場所だ。スマートフォンのコンパスを利用するのもよい
GPSレシーバーは必須ではないが、視界内のGPS衛星の状態を把握できる。位置だけならJAXAのQZ-FinderというiOSアプリでわかるので利用してみると良い

初めてのフライトはドキドキと楽しさがいっぱい

 それは、離陸までの手順を追ってみよう。初めてのフライトに限らず、見える範囲に人がいないことが望ましい。まずそうした場所や季節を探しておこう。また、GPSの電波を受信しやすいよう視界の開けた場所を選ぶ。

登山道を登りながら、EX-FR10で気軽に1枚。背中に背負っているのがマルチコプターのケース。DJIの製品ではなく社外品だが、空撮用具一式がキレイに収まる。重さはケース込みでちょうど5Kg。軽い荷物である
離陸したら自分より少し高いくらいでホバリングして動作確認をする。離陸はスロットル全開で行う方が安定する
富士山をバックにホバリングするPHANTOM 2とEX-FR10。軽量なEX-FR10なら、多少の風があっても安心だ。飛行時間も余裕たっぷり

 現地に着いたら離陸前に情報収集である。GPS衛星数、風力、磁力を確認する。GPS衛星数は機体のLEDでも確認できるが、少ない場合は時間を待てば解決する。風力は天気予報と合わせて判断しよう。

 前述したが風速は馴れないうちは3m/秒以下を目安にする。磁力は、路面下に埋め込まれた鉄筋などの影響も受けているので、土の上など場所を変えれば解決するはずだ。それらの確認後、いよいよ機体の準備である。

まずプロポの電源をON。暴走を防止するため、全てのラジコンの基本だ
次に機体にバッテリーを挿入して電源を入れる。起動音が鳴り、プロポと通信が始まる。まだ、モーターは起動しない
カメラの電源を入れる。EX-FR10のAFは、静止画の時は撮影ごとに、動画のときは録画開始時に働きあとは固定だ
モニター部の電源をいれて、通信を確立させる。AFの特性があるので、動画撮影は離陸させてから始めると良い
初めての時や場所を大きく移動した時は、コンパスのキャリブレーションを行う。プロポ右上のスイッチを5回以上、上下するとキャリブレーション開始
機体下部のLEDが黄色に点灯したら、水平に360度を少し越えて回転させる。LEDが緑になればOK。回転方向はどちらでも良い
次に機体前方を真下に向け、その場で360度回転させる。LEDが緑の点滅になれば完了だ。その後、赤と緑の点滅に変わり、GPSの捕捉が始まる
数分待つと緑の早い点滅が2回、その後、ゆっくりした緑の点滅になればGPSを6個以上捕捉したという合図。そこでモーター起動、動作確認をする
動作確認して、問題なければ一旦モーター停止。プロペラを取り付ける。最後の安全確認までモーターは起動しない
全ての準備が完了したら、再度周りの安全確認を行う。OKなら2mほどの高さでホバリングして、再度動作の確認を行う

思いのほか難しい着陸のコツ

 離陸は手順が多いものの簡単である。それに対して着陸には操縦の難しさがある。マルチコプターは他の飛行体よりも操縦は簡単であるが、着陸は思いの他難しい。馴れることだけが解決方法なのだが、いくつかコツがあるので紹介する。

通常の着陸:一定スロットルでは自機のプロペラの風が地面から巻き返すので安定した着陸ができない。そこで、自分から2〜3m離れた位置、高さ50p程度に一旦、ホバリングさせる。そこからゆっくり降下させ、高さが5p以下になったら一気にスロットルを絞ると良い

 もちろん、離陸と同じく周囲の安全確認がまず先だ。他者からは20〜30mの間をおいた方がよい。離陸するときは無人であっても、フライトしている間に人が来てしまうこともある。その場合は事情を説明して、自分の後ろにいてもらおう。ほとんどの場合、一緒に空撮を楽しんでもらえるはずだ。

ハンドキャッチ:3m程度の高さで機体方向を整えたら、機体の下に自分が移動する。そこからゆっくりと自分の背の高さより高く、手を上げれば届く位置にホバリングさせる。予期せぬ風が吹くと顔などにあたり怪我をするので、必ず自分よりも高い位置である。ホバリングが安定したら、手でスキッドを掴みスロットルをOFFにして、モーターを止める。操縦になれない時や、風向きが安定しない場合などはハンドキャッチがおすすめだ

 上空から降下するときは垂直に最小スロットルで降下してはならない。無風状態の場合、そのまま墜落してしまう可能性があるためだ。向かい風を受けるか、前方に移動しながら1/3〜1/2のスロットルで降下する。

 3m程度まで降下したら、ホバリングし機体方向と自分の視線を合わせる。自分から見て、機体の後方(バッテリー側)が見えていればOKだ。

いよいよ山頂で空撮!高さが変ると新鮮な写真に

 安全確認やらフライト準備やら、面倒なことを書いたが馴れてしまえば10分程度だ。離陸してしまえば、あとは楽しい限り。遠くに飛ばしたくなるが200m程度で機体を見失う。

10mほど離れてホバリング。自分撮りをしてみた。これまで撮れなかった写真が撮れることが面白い
映像の伝送は仕様では5m程度だが、これだけ広い場所だと10mほどでもOKだった。レリーズだけなら、15m位いけそうだ
構図のチェックは最小限に。常に機体の位置と方向を目視で把握しておこう
赤のLEDが機体前方、緑が後方。機体に異常がある場合は、緑のLEDの色や点滅の仕方が変わるので、常に見ておく

 その際はGo HomeやHome Lockなど、見えなくても帰還できる機能が用意されているので、説明書をよく読んでおこう。しかし、ラジコンで遊ぶのではなく、空撮目的と考えるなら数十mの範囲で、十分驚きの映像と出会えるはずだ。

山頂での自分撮り。高さ10mほどでもこんなに変る。広々した感じがより出て新鮮だ。EX-FR10は1,400万画素。高画質な写真を期待できる。
ほぼ目線の高さから撮影。ごく普通の記念撮影。広角レンズで広い画角だが、上空からの広々感には適わない。
アングルの調整は1度着陸して行う。カメラを水平にして富士山を狙った。白い雲と山並みの先に浮かぶ富士山。ああ、こういう景色が見たかったのだと思う。
2.5m程度の高さで撮影したもの。EX-FR10なら、カメラ部を外して手で高く持ち上げれば可能な高さだ。
15mほどに上げると映像は途切れたが、リンクは保たれているので、撮影は可能。木立の向こうに八ヶ岳の全貌が写った。今度は八ヶ岳にも行ってみよう。
目線の高さでは、木立が邪魔して、八ヶ岳の山頂が少し見えている程度だ。木立の高さを超えないと八ヶ岳は見えない。

美しい湖畔の動画を撮る!空撮ならではの映像

 紅葉の森の中に美しい湖を見つけた。風はなく水面に映る森と空が美しい。湖畔には全く人影がなく、空撮向きだ。早速に空撮を始めることにしたが、水面に映る森の美しさと、森の向こうに街並が広がることを期待して、動画での撮影とした。

こんなに美しい湖も時期を選べば、全く人はいない。夏はにぎわう場所なので空撮は無理だ。秋の1日美しい風景に出会えた
ムービー撮影時は、離陸後ホバリングさせてから録画を開始する。離陸前に始めると、地面にピントが合って、ピンぼけ映像になってしまう
湖面の上を飛ぶ PHANTOM 2。墜落即水没なので、もの凄く緊張するのだ。何度もテストをしてから、撮影に臨んだ

 アングルが変ることで被写体が移り変わって行くのは、新鮮で美しい。マルチコプターでの空撮ならでは可能な撮影シーンである。

湖畔はキャンプ場になっているので、管理者に許可を得て撮影を行った。許可を貰える場所の方が、安心して撮影できて良い。秋、冬のキャンプ場は許可を得られる可能性が高く、おすすめだ



水面1mほどから撮影を始め、森の手前で高度を上げ始め、上空100mほどまで高度を上げた。思った通り遠くの街並を映すことができた。マルチコプターでムービーを撮ると振動が多いので、動画ソフトで振動と風によるブレを補正した

紅葉の谷間でパノラマ撮影。地上からは撮れない写真を狙う

 深い谷間に流れる渓流に場所を移した。元県道であったところが、新しい道ができて廃道になり、遊歩道になった場所だ。

深い谷間では、GPS電波を受信しにくい。GPSレシーバーで必要な数のGPS衛星を捕捉できる場所を探し、渓流の上を渡る橋の上から離陸させることにした。橋の上では磁力の影響を受けない場所を探した

 この渓流の上空にマルチコプターをホバリングさせ、遊歩道から撮ることのできないアングルでパノラマ撮影をしようと目論んだのだ。

橋から渓流までは高さ50m近い。マルチコプターを橋よりも下に下ろすとすぐにGPS電波を受信できなくなり、1カ所にホバリングできなくなる。こうした場合は、即座に上昇させ機体から見て視界が開けた場所に移動させ、再度GPS電波を受信するのを待つ。動きが悪いときは、まず上昇することがマルチコプター操縦のコツだ

 ここでは、マルチコプターと自分の位置が離れてしまうため、EX-FR10カメラ部からの映像を受信できない。そのため、動画で撮影し、撮影された動画から静止画を切り出した。EX-FR10の動画は フルHD記録だ。そこから切り出した静止画は、Webには十分以上だし、プリントしても2Lサイズくらいならシャープなプリントだ

スタッフとともに、ここでも自分撮り。空撮でなければ絶対に撮れないアングルが楽しい。自分の記念写真が増えそうだ
橋の下に降ろして縦位置で渓流を撮影した。機体コントロールは難しくなり、リスクが高い。十分に操縦に馴れてから行うべき撮影だ
谷の向かい側にあった立派な古木を上空から撮影。広角レンズで上からならではの広がり感のある写真が撮れた

 今回は、動画から切り出した静止画使ってパノラマに合成した。この一連の作業はPhotoshopで簡単に行えるものだ。まさにデジタル時代の撮影方法であると1人しきりに感慨に浸った。

EX-FR10の2台装着で効率よくパノラマ撮影

 パノラマ撮影に当たっては、機体を少し改造してEX-FR10を2台装着した。軽いEX-FR10なら2台搭載しても重量は余裕だ。1台のカメラで360度パノラマを撮影する場合は機体を360度回転させる必要がある。しかし、2台なら半分の180度で済むのだ。

EX-FR10が2台と取り付けに使った金具を合わせて約200g。2台にしても余裕の重さだ。パノラマ撮影なら2台とも水平だが、それぞれ違う角度にしておくと機体の回転だけで違うアングルが撮れて効率的だ

 ゆっくり回転させないとブレてしまうので、時間が半減するメリットは大きい。その理由は飛行時間ではない。いくらGPSで安定したホバリングができるといっても時間が長くなれば風の影響で位置が変わってしまう。

マルチコプターオプションのカメラ取り付け金具(市販品)にEX-FR10カメラ部を針金で2台とも固定した
マルチコプターにも金具を取り付け、カメラ側の金具とはゴムブッシュで繋ぐ。ゴムブッシュで振動も減るのだ
取り付け金具同士を針金もしくはプラスチックのタイラップで結んで、落下防止とする
EX-FR10は Bluetooth接続でペアリングされているので複数のEX-FR10を同時に使用することができる

 もっと重要なことは、谷間では上空の視界が狭いため、いまGPS電波を受信していても撮影中にGPS衛星の位置が変わり、山陰に入ってしまうとGPS電波を受信できなくなるからだ。GPS電波を受信できている間に撮影を終わらせてしまいたいのである。

離陸させたら、近いところで録画を開始させ、その後撮影ポイントに移動させる。あとはゆっくり機体を180度回転だ
360度パノラマを平面で見ると橋が2本あるようで不思議だ。実際は両側に写っている橋は1つでその上に我々がいる。次回はQuickTime VR(全天パノラマ)に挑戦してみたい

一脚に装着すれば、どんなアングルも軽快自由!

 マルチコプターでの撮影を紹介して来たが、もっとお手軽なのは一脚にEX-FR10を取り付けることだ。また、マルチコプターは開けた広い場所でないと飛ばせないが、一脚なら狭い場所でもOKだ。そこで、先ほどの谷間からさらに上流に行き狭い渓流沿いの紅葉撮影を楽しんだ。

一脚への取り付けは同梱の三脚ナットを使っても可能だが、別売アクセサリーのEAM-1を使うとクイックリリース可能で使い勝手が良い

 紅葉のクローズアップも望遠レンズで撮るのとひと味違う。望遠レンズで紅葉した葉をアップにすると紅葉の葉そのものしか写らないが、EX-FR10の21mm相当広角レンズではクローズアップされた紅葉の葉の背景に周りの状況が写り込み、その場所の雰囲気を伝える写真になるからだ。分離したモニター部を手に持ち、じっくりと構図を決めて秋の色と渓流のせせらぎを楽しむのである。

3mほど上にあった手の届かない紅葉をクローズアップ。背景も広く写るので、空の気持ちよさや黄色い黄葉も写って華やかで気持ちよい写真になった。
渓流の向こうにひと際赤い紅葉の木。手の高さより少し高く、見下ろすようなアングルにした。岩場も写り、静かでひんやりとした渓流の雰囲気を写すことができた。
一脚をぐっと渓流に突き出して、渓流の上から撮影。深山の雰囲気と渓流の速い流れをバランスよく、ダイナミックに捉えることができた

一脚への取り付けは超簡単!

 普段から写真を趣味にしていれば、一脚を持っている方も多いだろう。一脚は手ブレ防止や望遠レンズに使うのが通常だが、EX-FR10との組み合わせではハイアングル、ローアングル撮影装置に早変わり。

筆者は長めの一脚を用意した。これなら狭い場所でも、ハイアングルなど手の届かない場所から写真を撮れる。EX-FR10は軽いので物干竿や釣り竿でも代用が可能だ

 イメージとしては高枝きり鋏みたいな感じだ。普通のデジタル一眼レフカメラでは重すぎて、一脚でハイアングル撮影は無理があるが、EX-FR10のカメラ部だけなら約95gだ。

 一脚の先に何も着いていないような感じだ。筆者は、たまたま高さ5mにもなる特別な一脚を持っていたのでこれを使ったが、ごく普通の1mほどの一脚でもずいぶんとアングルが変るので、持っていれば手持ちのもので十分だ。どうしても、もっと高い場所から撮影したければ、物干竿をつかうのも良いアイディアだ。アルミ製の伸縮式のものなら、十分以上に役立つし、使わないときも実用的だ(笑)。

オプションのトライポッドマウンターEAM-1には三脚ネジ穴がある。いわゆるカメラネジ(1/4インチ)だ。これを一脚のネジにねじ込めばいい
ネジ穴の周りはゴム張りなので、しっかりと固定できる。カメラ部を固定できる他、排他利用だが、モニター部を固定するためのアダプターも付属している
固定したEAM-1にカメラ部のヒンジをかちっと音がするまで、挿入する。取り外しは両サイドのボタンを押しながら、引き抜く。移動時カメラを外すのに便利だ
カメラの角度はヒンジの角度とカメラの回転で決めれば良いので、別途雲台は必要ない。物干し竿などの場合はEAM-1を粘着テープでつけてしまうといい

 渓流ということで、防水のEX-FR10だからこそできる超ローアングルの新たな視点にも挑戦した。

渓流を渡る小さな橋の上は絶好の撮影ポイント。撮りやすい場所なので休日にはカメラがずらっと並ぶ場所だ
橋の上から一脚を長く伸ばしてカメラ部を渓流の水面に。小さな橋といってもそれなりの高さがあるので、手持ちでは届かない
片手でモニターを見ながら、水面ぎりぎりから渓流の紅葉を狙う。水没を気にしなくていいので気楽だ
EX-FR10の防水性能は、水深1mに30分間。渓流では水の勢いがあるぶん水圧がかかるが、撮影の間ちょっと水没するくらいでは全く問題なかった。USBコネクタやメモリーカードのフタを閉めるときに、埃や糸くずが着かないように注意しよう
橋の上から普通に撮影。ここはみんなが撮る場所でポイントも決まっているので、あまり工夫のしようがない。レンズを変えて画角を変えるぐらいだ。それでも美しい景色であることに違いないが。
渓流の水面上3pくらいにカメラを配置してみた。これまで見たことも考えたこともない新鮮なアングルになった。そして、渓流の白波が泡のように粒だっているのだと初めて知ることができた。EX-FR10は新たな視点だけでなく、新たな気付きも生んでくれた

天体望遠鏡を使えば月のアップも

 紅葉を楽しんだ夜、山間には、雲の合間にぽっかりと綺麗な月が見えた。天体観測は筆者の子供時代からの趣味で、本格的な天体撮影機材も所有している。しかし、それらは大きく重く、天体撮影を目的にしない限りも持ち歩かない。

この日の宿の駐車場でお手軽天体撮影。望遠鏡の接眼鏡にEX-FR10をテープで貼付け、離したモニター部からシャッターを切る。ブレとは無縁なシャープな絵が撮れるのだ

 でも、天体好きとしては、アウトドアにいく場合は必ず肉眼観望専用の軽い望遠鏡を持って行くのだ。軽く簡単な望遠鏡はブレやすく撮影には全く向いていない。手で触るだけでブレてしまうようなデリケートなものなのだ。もちろん、デジタル一眼レフカメラなど重い物の取り付けも無理だ。でも、綺麗な月が見えたなら、その姿も残しておきたい。



望遠鏡に取り付けると上下逆さに写るので、後ほど補正した。雲が行き過ぎて行くさまがいい。月が動いて行くのは、地球の自転のためだ。地球の自転を実感する時だ

 その点EX-FR10の軽さは望遠鏡に負担をかけないし、無線接続のコントローラーならブレも関係ない。入門用の天体望遠鏡やスポッティングスコープでも十分だ。振動を嫌う撮影だからこそEX-FR10を活用して月の撮影にもチャレンジしてもらいたい。

ヒンジ部からカメラを取り外す。カメラ部単体ではなんと63g。カメラを持っているという気が全くしない軽さだ
望遠鏡の覗く部分のレンズを接眼鏡と呼ぶ。カメラのレンズと接眼鏡のレンズが一直線に向かい合うようにして、粘着テープで留める
EX-FR10を貼付けた接眼鏡を望遠鏡に装着。軽いから粘着テープで十分なのだ。気軽に撮影できることも性能の1つだ
ピントはAF任せでよいが、カメラを貼付ける前に、目視でおおよそ合わせておくと確実で早い
月の撮影なら、それほど暗いところでなくて大丈夫だ。今回は街灯のある駐車場で撮影した。望遠鏡は分解・折りたたみ式の 15p反射望遠鏡。もっと手軽な望遠鏡でも十分写る

小さく軽く、そして多彩な接続方法が可能性を広げる

 さまざまなアングルと撮影方法を一緒に楽しんだEF-FR10だが、カメラとして大別するとアクションカムに類別できる。まだまだ新しい分野であり、それぞれに特徴的な製品が出ているがそれらと比較して EX-FR10が優れている点は、まず本体のみで実現している耐ショック性・防水性だ。

 他のアクションカムでも耐ショック性・防水性を謳っているが、それはカメラ本体とは別の防水ケースに入れた場合の話だ。多くの場合、ダイビングにも耐えるような立派な防水ケースが用意されている。そのた
め、防水ケースに入れると大きく重くなってしまうことが実情だ。

 ユーザーの全てがダイビングをするわけではない。床に落としてしまったり、海や砂浜に落としてしまったりとほんの少し日常性を超える耐ショック性・防水性があれば大多数のユーザーには十分なのだ。筆者もその1人である。その分軽く小さいことのほうがメリットが大きい。だからこそ、さまざまな使い方ができるのだ。

今回試してみた接続法を並べてみた。こうして見ると実に多彩だ。そしてそのどれもが、特別な工具を必要とせず現場のアイディア次第でどうとでもなってしまうことが面白さ、楽しさの秘密だったのだ

 なにに取り付けるか、それによって楽しみ方が大きく変わることが面白いのだ。その時、如何に簡単に取り付けできるかが重要なポイントだ。EX-FR10には取り付けのための便利なオプションが用意されているが、実は取り付けが簡単であることの秘密はそのデザインにある。

 カメラ部とモニター部を接続するヒンジ部分がその重要ポイントだ。このヒンジは角度が変更できる上、カメラの縦位置、横位置の変更が可能だからだ。これはカメラを自由な向きに固定できることであり、別途雲台を必要としない。

 だから、実使用においてさらに軽くなるのだ。するとさらにどこにでも簡単に取り付けできるというプラスのループになるのである。さらに無線接続方法もBluetoothとWi-Fiの2種類が採用されている。電波干渉を避けたり、手軽な運用ならBluetoothであるし、伝送距離を少しでも伸ばしたい場合やスマートフォンから撮影したり、写真をSNSにアップロードしたければWi-Fiを使うのだ。物理的な接続方法、無線の接続方法ともに多彩であることが、他にはない、EX-FR10の美点なのである。

 そんな自由さが楽しさを作り出してくれるEX-FR10が、更なる高画質を目指して進化して行ってくれることを期待している。

制作協力:カシオ計算機株式会社

茂手木秀行

茂手木秀行(もてぎひでゆき):1962年東京都生まれ。著書に「Photoshop×Camera RAWレタッチワークフロー」「美しいプリントを作るための教科書」がある。